河合塾 藤田 貴志 先生
数学的読解力と計算力を向上させる独自の指導法を展開。認識に関する評価基準を取り入れた自己評価の仕組みを構築。高等学校の定期テストや実力テストにも双方向型学習が実現できる新しい採点支援システムを開発中。
本番での出題形式がすべて想定通りとは限らないので、大問ごとに、解き始める前にあらかじめ全体を見渡し、問題の分量や設問の流れをおおまかに把握しておくとよい。共通テストは時間との勝負なので、行き詰まったときは早めに見切りをつけ、テンポよく解き進めよう。マークシートは1つ1つ解くたびに記入していると時間をロスする。一定範囲を解いたらまとめて記入する方法にすると、時間が短縮できるとともに、マークミスも防ぎやすく効率的だ。
本番解答術 おすすめ!TOP1 <I・A/II・B・C>
必要な情報を視覚的に整理して、後の設問に備える
共通テスト特有の長文問題では、全体を俯瞰しながら必要な情報を素早く見つける力が求められる。得られた結果をマルで囲んで強調しておいたり、こまめに図に書き込んでおいたり、「後からパッとわかる」ような視覚的な情報整理に努めたい。最初に問題文を線で囲み、簡単な計算は狭いスペースで済ませると余白を有効に活用できる。また、思考プロセスを矢印で結んだり、他の設問の計算と混ざらないように線で区切っておくのも有効だ。
本番解答術 おすすめ!TOP2 <I・A/II・B・C>
二重枠の空欄を見たら、すぐに選択肢を確認する
空欄が二重枠になっているのは、選択肢が用意された択一式問題だ。このタイプでは、単に計算結果を選ぶだけの問題は少なく、選択肢の中に考察のヒントが潜んでいることが多い。また、中には選択肢を見ないと要求内容が確定しない場合もある。設問の意図とは無関係なところで戸惑ったり、重要な情報を見落としたまま煩雑な計算を強いられて時間を浪費したりしないためにも、解き始める前にあらかじめ選択肢を確認して、考察の着眼点を見極めよう。
本番解答術 おすすめ!TOP3 <II・B・C>
グラフは端的に要点を押さえて、こまめに描く
近年、グラフに関する考察問題はかなりの増加傾向にある。本来グラフには多くの情報が含まれているが、各問題で必要なのはその一部であり、不要な部分まで細かく見ていると時間を浪費してしまう。着眼点が明確な問題では、特にその点に注目してグラフを描いて考えよう。着眼点が不明確な場合でも、関数が登場するたびに要点を押さえた簡単なグラフをメモに残し、必要な情報をいつでもすぐ引き出せるようにして問題を解き進めていくとよい。
本番解答術 おすすめ!TOP4 <I・A/II・B・C>
面倒な計算を避けるための工夫を考える
面倒な計算に遭遇しても、すぐに飛びついて作業に取りかかってはいけない。計算しないで済む場合もあるからだ。それは主に以下の3つのケースである。①前の問題の結果や構造を当てはめることで作業の二度手間が省ける。②その式がもつ意味を考え、図形や公式を利用することで単純に結論が得られる。③問題文の前後の文脈から結果を予想でき、必要な作業量を減らせる。これらをチェックしながら考え進め、一見面倒な計算の時間短縮を目指そう。
本番解答術 おすすめ!TOP5 <I・A>
「データの分析」は、設問を予想しつつ読んで、時間を短縮
「データの分析」は与えられる情報量が多いため、問題文を順に読み進めていくだけでは、適切な判断にかなりの時間を要することになる。この単元の設問の流れは例年ほぼ同様なので、例えば個々のデータからは「代表値」「散らばりの様子」「箱ひげ図との関係」が問われるのではないか、2つの変量が登場したら「相関の正負」「共分散や相関係数」「散布図との関係」が問われるのではないかと予想しながら読み進めていくと、要点が短時間でつかみやすくなる。
<I・A/II・B・C>
1問に固執するあまり、時間不足に陥ってしまう
<I・A/II・B・C>
要求を正しく理解せず、無関係な計算にはまる
<I・A/II・B・C>
計算結果を図に反映せず、状況を見失ってしまう
<I・A/II・B・C>
簡単な数値での確認を怠り、防げるミスを見逃す
<II・B・C>
選択しないはずの問題に誤って着手して時間をロス
TOP1 <I・A/II・B・C>
選択肢の事前確認を習慣化する
択一式問題で選択肢から着眼点を見極め、作業量を最小化する練習を積み、本番で確実に実践できるようにしよう。
TOP2 <I・A/II・B・C>
情報を視覚的にまとめる練習をする
短時間で効率よく解き進めるための視覚的なメモのとり方を研究し、過去問や模試を利用して練習しておこう。
TOP3 <II・B・C>
効率的な計算方法を模索して反復練習
手こずった計算は「もっと効率のよい方法がないか?」と模索し、素早く処理できるまで繰り返し練習しよう。
この時期は、得点アップがより見込める対策に重点を置こう。まず、共通テスト型の問題演習に十分取り組み、形式に慣れておきたい。セットごとに難易度や内容が異なるので、得点に一喜一憂しないこと。それよりも、出題の特徴を見極め、どのように解いていくのがより効果的か模索することが重要だ。常に課題を設定して意識的に取り組めば、特有の形式への対応力を短期間で鍛えられるだろう。一方、単元ごとの基礎力強化も手を抜けない。演習の中で弱点だと感じた部分については、教科書で基本事項を確認したり、計算方法を研究して練習したりしておこう。なお、8割の壁に苦戦している受験生は、大問後半の問いを早く見切りすぎているケースが多い。試験中は得点効率を考えればある程度仕方ないが、時間を気にせず、最後まで解き切る感覚を養う練習も取り入れたい。
各単元の定型問題を確実に解けるようにしておこう。過去問や模試、予想問題集などを利用して、実戦形式の演習を十分に行いたい。同じミスを繰り返さないよう、解きっぱなしにせずに、解き終えたら必ずつまずいた原因を分析し、課題をまとめて次につなげよう。
確実に高得点をとるためには、初見の問題や新傾向の問題にも対応できなければならない。教科書の各単元を「どんなことが問われるだろうか?」と予想しながら読み直し、理解を深めるとよい。個別試験型の問題集にも継続的に取り組み、総合的な数学力の強化に努めたい。
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