受験までの限られた時間で大学に合格できる学力を身につけるには、入試の出題傾向を理解し、それに則した適切な対策を講じることが大事!そこで、共通テストと国公立大・私立大の個別試験について、それぞれ受験生にとってハードルとなる出題傾向を指摘するとともに、どのような対策で突破するのか、その秘訣をアドバイスする。
ZEN Study 三浦 淳一 先生
予備校や進学校での大学受験指導のほか、映像授業でも活躍中。『全国大学入試問題正解 英語』の解答者であり、『全レベル問題集 英語長文①~⑥』『入門英語長文問題精講』(いずれも旺文社)など多数の著書がある。
共通テストはリーディング・リスニングとも問題量が多いことに圧倒される。特にリーディングは「試験時間内に解き終わらない」という悩みを持つ受験生が多い。しかし、大急ぎで読んだところで、内容の理解が不十分となり、正解率が下がってしまう。実は本文を読み始める前にしておく大事な準備がある。何の準備もなくいきなり本文に取り組めば、情報量の多さに頭が混乱してしまう。大切なのは、前置き説明やタイトル、資料に目を通して本文の主題を推測し、設問をチェックして必要な情報を明確にすることだ。そのうえで、必要な情報を本文から見出し、設問の選択肢と丁寧に照らし合わせるとよい。注意すべき点は、正解の選択肢は本文とまったく異なる表現を用いつつ正しい内容になっている場合が多いので、表面的な類似性(本文と似たような語句や数値)に惑わされないことだ。リスニングも同様に、事前の準備が重要だ。アナウンスが流れている間の時間も利用して、設問やイラスト、グラフなどの資料を先読みし、「何を聞き取ればよいのか?」を明確にしておこう。ターゲットが不明確だと、たとえ音声を聞き取れても情報過多で整理がつかなくなってしまう。
国公立大2次・難関私立大では、共通テストより高度で抽象的な英文が出題され、それに伴って語彙のレベルも高くなる。市販の単語集を用いて単語を暗記するのは当然として、日頃から英文中で出会った単語をリストアップして覚えることが有効な対策となる。また、国公立大2次では下線部和訳問題などで直接的に、私立大では文法問題などで間接的に、「英文の構造を把握する力」が問われる。1学期~夏休みは、丁寧に文構造を把握しつつ和訳する「英文解釈」の学習に専念しよう。単語の意味をつなぎ合わせて適当に文意を推測する読み方から、1日も早く脱却すべきだ。さらに、苦手意識を持つ受験生の多い英作文だが、その原因を探ると、そもそも英作文に割く時間が少なすぎるようだ。直前期に焦って始めても間に合わないので、夏休みが終わるまでに短文の暗記を繰り返して土台を作り、9月以降に志望校の出題傾向(和文英訳、自由英作文など)に合わせた練習をしよう。加えて、単語の暗記も「英語→日本語」で覚えるだけでは受動語彙(意味がわかる語彙)しか身につかない。「日本語→英語」で覚えて能動語彙(自ら使いこなせる語彙)を増やすことが、英作文対策として重要だ。
英語学習にもっと「音声」を取り入れよう!
英語学習は、机上で単語集や問題集を広げて行うに限らず、もっと「音声」を有効活用するべきである。最近の教材は音源付きのものが多いので、耳で聞いたり自分で発音したりして、英語を「身体で覚える」ようにしてほしい。これはリスニングだけでなく、英語4技能(読む・書く・聞く・話す)のすべてに効果的であり、特に読むスピードが向上するので、壁を突破するためにぜひ取り組んでほしい。
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