遅れを挽回し、逆転で志望校合格を勝ち取るためには、戦略的な受験勉強が欠かせない。特に重要になるのが学習計画だ。ゴール=志望校から必要な受験勉強を“逆算”する計画術で、逆転合格の絵図を描こう!
受験勉強とは、そもそも志望校に合格するための勉強だ。一人ひとり志望校が異なり、学力が異なる以上、必要な勉強もそれぞれ異なる。それなのに、自分に必要な勉強をきちんと見極めず、焦点のぼんやりした受験勉強をしている人が多い。ここに逆転の余地がある。夏休み前の今なら、遅すぎるということはない。以降の手順で必要な受験勉強を逆算し、志望校合格への道を切り拓いてほしい。
ただし、逆算するためには、その前提となる志望校が決まっている必要がある。志望校を決め、受験する科目と目指す学力レベルが決まってこそ、無駄のない合格直結の受験勉強を逆算できるのだ。まだ決めかねている人は、納得できる志望校を早めに決定しよう。
逆算の第一歩は、入試の分析だ。まずは過去問を解こう。時間や得点は気にしなくていい。到達すべきレベルを明確にするのが目的だ。共通テストについては、「思考力・判断力を問う」という出題方針の下、教科書レベルの内容がどのように問われているかを把握する。形式だけでなく、求められる学力をしっかりと見極めたい。志望校の過去問については、各科目でどんな内容がどのレベルで、どういった形式で出題されているかを確認。記述式の制限字数、正解の条件なども含め、詳しく分析しよう。もう1つ確認したいのが、各大学が公表する合格最低点だ。これが入試で突破すべき数値目標となる。年度により上下するので、複数年分を確認しておきたい。
次に、自分の現状学力を分析する。志望校の入試と現状の学力を比較し、そのギャップ(=埋めるべき学力)を把握することで、必要な受験勉強を割り出せる。まずは、今までに受けた定期考査や模試の結果も参考にしながら、科目ごとに既習分野と未習分野、その割合を確認しよう。そして既習分野については、それぞれの分野で理解度・定着度はどのくらいか、苦手の原因は何か、弱点を埋めるにはどのくらいの手間と時間を要するかなど、すべて洗い出して自分の課題を把握する。教科書傍用問題集や網羅型の参考書を見返して、これまで基礎学習に費やしてきた時間と現状の学習到達度を比較すれば、これからの学習に必要な時間の指針も得ることができる。
過去の定期考査・模試結果
教科書・傍用問題集
網羅型の総合参考書 など
□ 既習or未習の分野と割合は?
□ 各分野の理解度・定着度は?
□ 得意or苦手? 苦手の原因は?
□ 志望校の入試とのレベル差は?
□ 伸びしろはどのくらいあるか?
□ 学習の手間はどのくらいか?
ここからは、具体的なプランニングの段階。まずは、合格最低点を突破するための各科目の目標得点を設定する。苦手科目の失点を得意科目や高得点科目でカバーして合格ライン突破を狙うなど、自分の学力特性に合った最も実現可能性の高い得点パターンを検討しよう(2026年入試での科目・配点の変更には注意)。目標得点の設定は、受験までの各科目の学習時間の総量に関係する。入試の出題傾向と現状の学力・課題を踏まえつつ、各科目の得点の伸びしろを慎重に見極めよう。学習にかかる時間・手間に対する得点の伸び幅の大きさも重要だ。能力的相性の悪い科目・分野など、時間をかけてもあまり伸びない場合もある。いわゆる“タイパ”も意識したい。
いよいよ学習を計画する段階。STEP4では、受験までの全体計画を組み立てる。まず、入試分析と現状分析、目標得点を踏まえ、各科目で受験までに必要と思われる学習内容をリストアップしよう。そのうえで、「何にどのくらい取り組むのか」という方法・量と、「いつまでに終えるのか」という期限を決めれば、大枠となる全体計画は完成だ。
なお、受験勉強は、①基礎力養成→②応用力養成→③実戦力養成の3段階を踏んで入試を攻略できる学力を身につけるのが鉄則。「夏休み中を目途に基礎知識のインプットを終え、秋から問題演習によるアウトプット中心の学習にシフトし、入試の実戦対策で仕上げる」という流れでスケジューリングしよう。
大枠が決まったら、当面の学習について「何を・いつやる」を具体化し、スケジュール帳などに記入していく。今なら夏休み終了までの詳細計画を立てるとよい。各科目の使用教材(参考書・問題集など)を決め、夏期講習などの予定を考慮しつつページを割り振っていく。ポイントは「細かすぎず、大まかすぎず」。1日単位の細かすぎる計画は、急な用事などで予定が狂うと、すぐに破綻する。逆に大まかすぎる計画は、進捗状況の確認が難しい。その点、1週間単位でノルマを割り振るのがオススメだ。日曜日を「調整日」としておけば、週内で多少の遅れが生じても帳尻を合わせられる。このように日常の学習を計画し、小さな達成感を得ながら日々を過ごそう。
あとは計画を実行に移すのみ。進捗状況を確認しながら、着実にノルマを消化していこう。しかし、矛盾するようだが、この計画は絶対的なものではない。逆転合格に向けて絶対視すべきは成果や到達度だ。計画を実行すると、「見込んだ成果を得られない」「予定通りに学習を進められない」「新たな課題が見つかった」といったケースも出てくる。そんなときは、計画を見直し、学習法やペース、優先順位など、柔軟に修正する必要がある。そこで、以下に示したPDCAサイクルを回しながら、受験勉強を進めていこう。①Plan(計画)→②Do(実行)→③Check(評価)→④Action(改善)…のサイクルを回し続けて、常に学習の最適化を図る中で、今はまだ見えない志望校の背中が見えてくるはずだ。
子どものときにサーカス小屋に連れてこられ鎖で足をつながれた象は、もがいても逃げられないことがわかるとあきらめてしまい、大人になっても逃げようとしないそうです。現状学力では志望校合格レベルとの差が大きく、不安が先立っている人!自分で自分の限界を決めていませんか?悲しい目をしたサーカスの象になっていませんか?今はまだ力の足りない小象であっても、適切なやり方で努力を積み上げて力をつければ、見事合格を果たすことは不可能ではありません!本記事を参考に正しいステップを踏み、夏休みをうまく過ごして力をつけ、ちっぽけな鎖なんて引きちぎって自由な大地へ飛び出しましょう!
この記事は
「螢雪時代(2025年7月号)」
より転載いたしました。
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