
志望校の試験まで、残された時間は少ない。限りある時間を有効に使うために、ベテラン先生たちに本番直前期ならではの過去問の活用法を聞いた。実戦的な対策をして本番に臨もう。

東京都立国立高等学校 3学年主任
佐々木 昭一 先生
英語科主幹教諭。進路部主任等を歴任。生徒たちが部活動や学校行事を通して、試行錯誤の経験を積むことで人間力を高め、成功体験により自信を深め、進路実現に向けて高みを目指していけるように指導している。

この時期に志望校の過去問を解くことは、まさしく本番を意識した取り組みをすることになります。合格ラインを意識して、記述問題なら部分点を確実に取れる答案作成を意識することです。そして、解き終わったら解答や解説を読み込み、自分の解答や解き方を模範解答と比べてみます。ケアレスミスや誤った解答は本番でもやりがちなので、気づいた点は自分へのメッセージとしてメモしておき、入試会場に持って行くといいでしょう。解答作成力を引き上げたいという気持ちが強くなる本番直前期の今だからこそ、気づいたこと、できることは何でもやるという取り組みがモチベーションアップになります。

大問ごとに時間配分を想定し、時間を計って本番を意識した過去問演習をしましょう。入試本番と同じ時間帯に取り組んでみるのもありです。まず開始とともに各大問に目を通し、時間配分を設定します。大事なのは見直しの時間を5~10分間残すことです。その残しておいた時間が、最後に救いの時間になることがあります。また、マーク式の問題は、マークミスや解答欄のずれがあると修正に時間がかかるので、見直しの時間が有効です。

「~について、soの内容を明らかにして和訳せよ」「~は具体的にはどういうことか」のような難関大で出題される問題では、本文中に述べられていることを根拠に答えなければなりません。しかし、肝心の答え方ができていない答案が多く見受けられます。「~ということ」「~ということを意味する」といった答え方ができていないのです。過去問演習を重ねて答え方を把握し、減点される答案を脱して完成度の高い答案を目指しましょう。

下線部和訳問題では、仮定法、譲歩、比較、分詞構文、関係詞節、倒置、省略を用いた英文がよく出題されます。また、代名詞の具体化不足や時制の誤りは、よくある減点例です。数年分過去問を解くと同じミスをすることがあるので、解いた答案(和訳)を添削する際に、解説を読んで終わりにせず、類似構文や誤った原因をメモ程度に書いておくといいでしょう。メモをまとめることで、本番で気をつけるポイント集を作ることができます。

苦手とする人が比較的多いのが、長文型の英作文です。数行に渡る日本語を英訳するものや、テーマを選んで、指定された語数の英語で答えるものなどがあります。英作文で誤りを少なくするコツは、人を主語にすることです。無生物主語構文では主語と動詞のコロケーションエラーが起こることが多いのです。慣れた表現を使い、伝えたいことが確実に伝わる記述を心がけましょう。長い1文を分けたほうが読みやすくなることもあります。
第1志望校合格を目指して、今後ラストスパートに入るわけですから、過去問演習は可能な限りさかのぼっていいでしょう。過去には20年分やった受験生もいました。ただし、無理に数をこなすより、5~10年分に丁寧に取り組み、繰り返すことをおすすめします。定着度と完成度が上がりますし、最近の出題傾向に合った対策が取れるでしょう。そのうえで余裕があれば、併願校について各2~3年分解いてみましょう。さらに余裕がある人は、他大学の類似問題に取り組むことも応用の幅を広げ、実力を強化するには有効です。
本番で出題傾向が変わる場合はあり得るので、想定内と考えて、心の準備をしておくことです。入試問題は毎年異なるわけですから、そういう時こそ過去問演習で取り組んできたことを思い出し、大学は受験生にこの問題を通して何を求めているのか、出題者と受験生の立場でキャッチボールしようとする姿勢で臨みましょう。ほとんどの場合、過去問と問題形式は異なっても、求められている本質は変わっていないことが多いものです。

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