志望校選びの際に調べるべき6つのこと、3つのNGな決め方

コラム

2024.09.05

志望校選びの際にやるべきこと

志望校選びに迷うのも無理はない。大学数は全国に約790校もある。さらに、学部や学科も多様だ。とはいえ、進学先を早めに決めると受験勉強が進めやすくなるため、早いうちに志望校を決めておくのをおすすめする。ここでは、志望校選びの際に調べるべき6つのこと、3つのNGな決め方を紹介する。

志望校選び、6つの調べること

①将来の夢・なりたい自分に必要なことが学べるか

学部・学科名だけでは判断ができないことも。専門的にどんなことを学んでいるかを確認しよう。

将来就きたい職業や学びたい内容が決まっている場合は、その内容を学べる大学・学部を選ぶべきだが、その際に気をつけたいことがある。同じ学部名でも大学ごとに学ぶ内容やカリキュラムが異なるため、学部・学科名だけで判断しないことだ。専門的にどんなことが学べるのかを確認しよう。

また、資格取得という視点で選ぶのも良いだろう。医師や薬剤師など、将来なりたい仕事に資格が必要な場合は、その資格が取れる大学や学部を選ぼう。学校の先生を目指す場合、教育大学や教育学部に進学することが多いと思うが、教育学部という名称でなくても取得する単位次第では、中・高の教員免許が取得できる学部・学科もある。
このように資格取得は学部・学科名称だけでは判断できないケースがあるので、詳しくはその大学の取得できる資格一覧をチェックしよう。

②自分が興味関心のある学問を学べるか

将来就きたい職業などがまだ決まっていない場合は、自分の興味関心のあることを基準に調べてみよう。

まだ将来のことが決まっていない場合は、興味のある分野に関わる学部を選ぶのも良いだろう。例えば、将来起業をしたいということであれば、経営を学べる学部を選ぶといいだろう。災害による被災経験を経て、日常生活の危機管理に興味を持った人は、防災に関する学部を選ぶという選択肢もある。また、マンガやアニメが大好き!という人には、マンガ学部のある大学もある。このように、自分の興味に応じて大学や学部を選ぶことが重要である。
また、大学の魅力の一つとして、その分野のプロたちから直接学べるチャンスがあることが挙げられる。大学の教員には、実務家もいる。特にAIやITの分野は、実践的な教育への期待から実務家教員が増えていくだろう。「この研究をやってみたい」「この人に教わりたい」と思えるような教授のいる大学を選ぶのも選択肢の一つだろう。

③オープンキャンパスの日程

オープンキャンパスはほぼすべての大学で開催している。学内の雰囲気を体感したり、教授・学生に入学相談ができたり、入場特典がもらえたりと、メリットも多い。大学によっては、いつでも出入り自由なところもある。
実際に大学を訪れることで「ここに通いたい」という気持ちが高まり、受験勉強のモチベーションにもつながるだろう。なかにはオープンキャンパスへの参加が、総合型選抜の出願条件になっていることもあるため、行きたいと思える大学がいくつか決まったら、早めに日程を調べ、参加してみよう。

④合格難易度

自分の学力レベルに見合った大学を選ぶことは現実的な選び方の1つだ。その際に参考にしたいのが、合格難易度だ。ただし合格難易度は、民間の会社が算出するもので、会社によって多少のブレがあったりする。絶対的な基準ではないので、あくまでも参考として調べるのがいい。
ゆえに、行きたい大学に今の自分の学力が届かないからといって、必ずしも諦める必要はない。目標が高いほど成績が伸びるという人もいるため、あえて高めの大学を志望するというのもモチベーション向上施策の一つだ。「あとどれくらい頑張ればこの大学に合格できるか」。自分自身をレベルアップさせる、という観点で行きたいと思える大学を選ぶと、納得のいく大学選びができるだろう。

⑤大学のある場所

自宅から通える距離にあるのか。自宅から通えない場所にある場合、下宿・一人暮らしをしても大丈夫かを親と相談しよう。

自宅から通う場合は、通学にどれくらい時間がかかるのか、電車やバスはどれくらい出ているのかなど、アクセス面をしっかり調べておくと良いだろう。その際、キャンパスの周りの環境もチェックしておくとよい。
一人暮らしをする際は、学生寮に住むのか、それともアパートを借りるのか、保護者の方と話し合っておく必要がある。オープンキャンパスなどの際に、実際に大学まで行ってみると、大学の雰囲気がわかり、近い将来そこで活躍する自分をイメージしやすい。また、実際に一人暮らしをしている学生に話を聞くことができれば、周辺地域の様子もより詳しく知ることができるだろう。

⑥出願要件や選考方法・出題内容

出願要件や選考方法・出題内容は、大学によって異なる。総合型選抜や学校推薦型選抜の場合は、選考方法や評価基準も多様だ。志望の大学・学部が決まっていれば、その出願要件から選考方法・出題内容に合わせて、効率よく対策や勉強を進めることができる。また、軸となる志望校が決まれば、併願校は同じ出願要件や選考方法で受験できるところにするという選び方もできるだろう。
逆に高校3年生の夏頃になって、やっと志望校が決定。いろいろ調べてみると、準備できていない書類などがあった…、苦手な科目が試験に課されている…、どうしよう…、ということは避けたい。効率的に対策や受験勉強を進めるため、なるべく早く大学の情報を集め、志望校を早めに決められるようにしよう。

志望校選び、3つのNGな決め方

①「友達も行くから」=自分が主体でない決め方

オープンキャンパスに行く際、「友人がその大学のオープンキャンパスに行くから」という理由で一緒に行く人は多いようだ。しかし、志望校を選ぶ際は、そのような動機はNGだ。自分の将来において大事な4~6年間を過ごすことになる大学を、自分主体ではない理由で決定するのはおすすめできない。そのような動機で入学した場合、「この大学は自分に合わなかった…」となったときの後悔は計り知れないだろう。
自分が本当に興味がある学びは何か、将来やりたいことは何かを主体的に考えて志望校選びをしよう。オープンキャンパスへの参加や大学パンフレットを見たりする際も、主体的に選び、「なんとなく」で学部を決めずに、しっかり調べることをおすすめする。

②入りやすそうだから

「自分の偏差値に合った大学だから」という理由で大学を選ぶ人も多いだろう。偏差値は志望校を絞る際の基準にはなるが、たとえ併願校であっても偏差値“だけ”で選ぶのは避けたい。
総合型選抜の場合、志望理由書を書く際や面接の際に必ず「なぜその大学を志望したか」が問われる。人から聞いた話やイメージだけで判断したり、なんとなく志望校を決めたりしていると「なぜその大学を志望したか」を考えることは難しい。必ず、どんな大学なのか、その学部・学科では何を学べるのかをよく確認し、自分の思い描く未来との親和性を示せるようにしておこう。

③有名な学校だから

大学の中には「旧帝大」、「GMARCH」、「関関同立」など、グルーピングされた有名大学が存在する。有名大学に憧れるのは決して悪いことではないが、知名度やブランドイメージに踊らされず、しっかりと中身を見て、自分にとって最適な進学先かどうかを見極めよう。

先輩の声

私立大に総合型選抜で合格をした先輩に、どのように志望校を決めて総合型選抜への準備を行ったか、体験談を聞いた。

私が志望校を選ぶ際に気をつけた3つのことを紹介します。

1つ目は、オープンキャンパスに必ず参加することです。高校1年生の時の私は大学に入学するイメージが掴みづらく、今後の進路に不安を抱く時期もありました。ところが高校1年生の夏にオープンキャンパスに参加してみると、自分が興味のある歴史の分野について研究をしている先生がいることを知り、大学に進学したら何をしようかとワクワクしながら今後の進路を考えるようになりました。オープンキャンパスに参加してみると、大学で学べる内容の具体的なイメージが掴めるので是非参加してみてください。

2つ目は、家族と積極的に進路について話すことです。高校で進路についての活動があった日の夜は、先生から伝えられた重要な情報を家族に伝えていました。日頃から進路の話題を家族にすることで、早めに志望校を決めることができました。また、学費についての相談もしやすい空気を作ることができました。

3つ目は、受験方式を早めに決めておくことです。私は高校1年生の後半には志望校を決めて、総合型選抜で受験する事を決めていました。そのため私はその後の学校生活において総合型選抜で武器になりそうな自分の強みを伸ばすことができました。部活の部長や生徒会副会長を務めるなど様々な活動や探究活動に積極的に取り組み、総合型選抜で志望校に合格することができました。

公立高校の元校長先生からのアドバイス

皆さんは「進路志望調査」の提出を求められたり、二者・三者面談を受けたりしていると思います。「自分の将来を考えなくては!」と焦ってしまいますよね。でも自分の進みたい進路が明確な人ばかりではありません。高校生が把握している職業もそう多くはないはず。まずは、学校内外の生活や友人・家族との対話などから、自己理解を深めることが重要です。「総合的な探究の時間」の学びは自分の課題意識や関心事を知るうえで一つのきっかけになるでしょう。