志望校合格を勝ち取るためには、しっかりとした学習計画が不可欠です。
そして、学習計画を立てるためには、大学受験の流れを押さえておく必要があります。
いつ・どのような試験が行われるのか、試験に向けて、どの時期にどんなことをすればいいのか。
まだ志望校を決めていないという人も、まずは大学受験のスケジュールを頭に入れ、自分がこれからどのような1年間を送るのか、思い描いてみましょう。
まず押さえておきたいのが、大学受験の大まかなスケジュール。国公立大学か私立大学かによっても、入試方式(一般選抜/学校推薦型選抜/総合型選抜)によっても、募集要項の発表、出願、試験、合格発表などの時期が大きく異なります。「もっと早く知っておきたかった!」ということがないよう、事前にチェックしておきましょう。
まず決めなければならないのが進路の方向性。どの大学に行くか、大学で何を学ぶか(どの学部に行くか)、どの入試方式で受験するか…と決めることはたくさんあります。すでに具体的な志望校が決まっている人はいいですが、まだの人も高校3年生の1学期のうちにある程度絞り込んでおく必要があります。また、保護者との間に意見や希望の食い違いがないかを確認しておくことも重要です。三者面談の機会などを利用して、しっかりとコミュニケーションをとりましょう。
志望校を早く決めたほうがいいと言われるのは、そのほうが勉強すべき内容がわかり、効率的な計画を立てられるから。特に、国公立大学を受けるのか私立大学を受けるのか、どの学部を受けるのかによって受験科目や科目数は大きく異なってくるため、そこは早めに決めましょう。また、学力試験重視、かつ、年明けに試験がある「一般選抜」なのか、高校での取り組みや大学での学びの意欲も評価され、かつ、多くの場合は年内に選考がある「学校推薦型選抜」「総合型選抜」なのかによっても、対策の内容・時期は大きく異なります。自分はどの大学・学部に進学したいのかと同時に、どのような方式で受験したいのかについても、考えておきましょう。なお、学校推薦型選抜や総合型選抜を「専願(合格したら必ず入学しなければならない方式)」ではなく「併願(合格しても入学が必須ではない方式)」で受けられる大学もあるので、受験校によっては「学校推薦型選抜や総合型選抜で合格を確保しておき、一般選抜で本命校に挑戦する」という戦略も可能です。
国公立大学では5月〜7月頃、私立大学では4月〜7月頃に、一般選抜の概要(選抜方法や入試科目など)が発表されます。入試制度は前年から変更になるケースもあるので、志望校はもちろん気になる大学についても、大学のホームページなどで最新情報を確認しておきましょう。なお、私立大学のなかには、7月頃から「募集要項(願書)」を発表・配付するところもあります。また、総合型選抜では出願(原則9月1日〜)に先立ち、7月頃からエントリーや面談を行う大学もあります。これを行っていないと出願できないケースもあるので、注意しましょう。
多くの高校では、高校3年生の夏休み前の面談で志望校を仮決定します。指定校制推薦などを除き、志望校は一度決めたら変更ができないものではありません。その後の自分の学力の伸びや興味・関心の変化などに応じて、臨機応変に検討するものであることも覚えておきましょう。とはいえ、受験科目を変える(増やす)など、ガラリと方向転換するのはリスクも大きいので、注意が必要です。また、出願・選考が早い学校推薦型選抜や総合型選抜を受けるのであれば、遅くともこの時期までには志望校を決めておきましょう。
夏休みにはオープンキャンパスなどのイベントを開催する大学が多いので、足を運んでみましょう。総合型選抜の「エントリー」にあたってオープンキャンパスやセミナー、サマースクールへの参加が必要なケースもあるので、総合型選抜の受験を考えている人は要チェック。
学校推薦型選抜や総合型選抜を考えている人は、この時期に「志望理由書」に書く内容を深めていきます。先生などに添削してもらいながら、高校での経験や学びを振り返りつつ、自分はなぜその大学・学部に行きたいのか、大学で何をしたいのか、将来どうなりたいのかといったことを言語化していきましょう。国公立大学を中心に、学校推薦型選抜や総合型選抜でも学力試験を課すケースもあるので、その場合は試験対策も忘れずに。
9月上旬には、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の「受験案内」が配付されます。高校3年生には、学校を通して配付されるのが一般的です。国公立大学の一般選抜を受験する人はもちろん、共通テストを受験する可能性がある人は、必ず目を通しておきましょう。共通テストの出願受付は9月末〜10月上旬にかけて行われるので、受験する人は必要事項を記入し、検定料を支払ったうえで出願します。教科や地理歴史・公民の受験科目数、理科の科目選択方法などは出願時に登録する必要があります。なお、高校3年生は学校ごとに一括で出願するため、校内での締切などは担任の先生に確認しましょう。
大学入試センターHPより
この時期には学校推薦型選抜、総合型選抜の出願・選考もはじまります。出願については、学校推薦型選抜は11月1日以降、総合型選抜は9月1日以降という原則が定められていますが、注意が必要なケースもあります。例えば、学校推薦型選抜(指定校制)の場合は、上記の出願時期以前に校内選考が実施されます。また、先述のように、総合型選抜では、出願に先立ってエントリーや面談を行う大学もあります。
学校推薦型選抜、総合型選抜では年内に合否が判明するケースが多いですが、国公立大学の学校推薦型選抜、総合型選抜では共通テストを課すケースも増えており、その場合は合格発表が共通テスト後になります。学校推薦型選抜、総合型選抜のスケジュールや試験科目は大学によりさまざまなので、しっかりと調べておきましょう。
また、12月頃までには、国公立大学一般選抜の「募集要項(願書)」が発表・配付されます。出願時期は共通テスト後ですが、志望校の願書は早めに取り寄せておきましょう。国公立大学一般選抜(前期日程)を第1志望としている場合も、この時期には併願校(受験校)の検討を進めます。私立大学の独自入試や共通テスト利用入試、国公立大学の中期・後期日程など、入試科目や日程などを考慮しながら決めていきましょう。
年が明けて1月上旬からは、私立大学の一般選抜の出願受付がスタート。あらかじめ取り寄せた志望校の出願書類に必要事項を記入し、受験料を支払います。出願の方法や締切は大学によって異なるので、必ず募集要項で確認しておきましょう。
1月中旬には、2日間をかけて共通テスト(本試験)が行われます。試験後に発表される正解で自己採点をし、どこの大学に出願するかを決定します。なお、病気などの理由で共通テストの本試験を受験できなかった人のために、後日、「追(再)試験」が行われます。
1月下旬から2月上旬にかけて、国公立大学一般選抜の個別試験(2次試験)の出願受付が行われます。一般選抜には前期日程、中期日程(一部の大学)、後期日程があり、各日程につき1校のみ出願できます。前期・中期・後期日程とも同時に出願し、前期に合格して入学手続きを行うと、中期・後期日程を受験しても合格にはなりません。なお、前期・後期(または中期)とも同じ大学に出願することも可能です。
国公立大学個別(2次)試験の出願受付と同時期に、私立大学一般選抜の試験がはじまります。試験日程は大学により異なり、受験生の多くは複数の大学・学部を併願するため、この時期は試験が毎日のように続くケースもあります。2月上旬には私立大学の一般選抜合格者が発表されはじめます。合格を確認したら忘れずに、期日までに入学手続きを行いましょう。
2月下旬には、国公立大学の一般選抜前期日程の試験が行われます。3月上旬には合格発表があり、合格者は入学手続きを行います。そして、3月中旬にかけて中期日程、後期日程の試験が行われます。なお、私立大学の中には、後期入試や2期募集として3月下旬まで試験を行う大学もあります。
受験勉強は早くはじめればはじめるほど、志望校への合格に近づきます。とはいえ、高校1年生から猛勉強…では気力も体力ももちません。一般選抜での受験を視野に入れている人は、3年生になってから苦労しないよう、授業の予習・復習など日々の学習を大切にしましょう。気をつけてほしいのが、科目選択。高校で履修していない科目でも受験はできますが、その場合は自学自習で勉強しなければならず、ハードルが高くなります。受験ではどのような科目が必要なのか、気になる大学・学部の情報を調べてみるとよいでしょう。
学校推薦型選抜・総合型選抜では、高校1年次から3年次前半までの成績全体が評価の対象となります。普段の授業をしっかりと受け、定期テストでも一定の成績を残すことが大切です。特に指定校推薦では校内での選考があるため、生活態度なども含めて気をつけておくとよいでしょう。小論文や面接があるケースが多いので、1年生のうちから、自分の意見を書いたり話したりして表現することに慣れておくことも大事です。また、入試方式にかかわらず、大学のオープンキャンパスには時間のある1、2年生のうちに積極的に参加するのがおすすめ。いろいろな大学を見るなかで、自分が惹かれるポイントが見えてくるはずです。
今回は、大学受験の1年間のスケジュールと、高校3年間を通して意識しておきたいことをご紹介しました。9月から総合型選抜、11月から学校推薦型選抜がはじまり、1月中旬に共通テスト、1月下旬からは私立大学の一般選抜、2月下旬〜3月中旬に国公立大学一般選抜の個別(2次)試験…という大まかな流れがつかめたでしょうか。高校1・2年生の下準備の時期も含めて、自分がいつ・何をすべきなのかを、まずはイメージするところからはじめましょう。
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