英語
駿台予備学校 水野 卓 先生
みずの・たかし。「ネイティヴでない」からこそ必要となる英語理解の理論的側面を「見せて納得させる」ことを、独自のメソッドで実践。大学受験の参考書など多数の著書がある。『螢雪時代』にて「螢雪合格塾」を連載中。
個は個別試験、共は共通テストで必要な力
解く力1 個
自分が書ける表現に言い換える力
和文英訳問題の多くは受験生が簡単に訳せるものではなく、そもそも大学は直訳など初めから期待していません。評価のポイントは、①問題文の意味がどれだけ正しく伝わっているか?②書かれた英語にミスはないか?の2点。①について高評価な答案を作るには、問題文の日本語を「自分が英語で無理なく表現できるレベル」に言い換える力を鍛えなければなりません。わかりやすい表現で伝えたい意味をできるだけ正確に伝えることにより、ケアレスミスなども減り、②についても質の高い答案が作成可能になります。
こう鍛える!
易しい表現に言い換える日本語力を磨く
解く力2 共
2つの情報を照らし合わせる力
共通テストでは、2つの情報を照らし合わせて正解を選ぶ設問が多く見られます。2つの根拠のうち片方の内容だけから解答しようとすると、誤った選択肢に飛びつきかねません。模試での低い正答率を見ても、このタイプの設問を苦手とする受験生が多いことがわかります。どの大問にそうした設問が含まれるか、過去問などを確認して把握し、対策しておきましょう。
こう鍛える!
過去問など利用して、正しい解答手順を確立
解く力3 個
解答の中心情報を明確にする力
記述式の長文読解問題で問われる内容説明の多くは「抜き出し型」で、具体的内容や理由など本文中の一部をピックアップしてまとめる問題になっています。したがって、答案は「本文のどこからどこまで」を抜き出しているかがはっきりとわかるものである必要があります。「だいたいこんな感じ」程度で解答の中心情報が曖昧なものは、減点となるので要注意です。
こう鍛える!
「ココからココまで」をズバリ伝える癖をつける
解く力4 個・共
広い視野で「大きな流れ」を観察する力
共通テスト、私立大、国公立大を問わず、近年の読解問題のトレンドで「これぞ新課程」と言えるのが、「段落全体あるいはさらに広い範囲の流れをまとめて正解を導く」問題。このタイプの問題は、伝統的な「1文またはその周辺だけを精読して解答する」問題に比べて広くピントを当てる必要があります。苦手な受験生も多く、得点源にできれば大きな力となるでしょう。旧来型問題が中心の問題集ではなく、近年の入試問題を使った十分な対策が必要です。
こう鍛える!
新しい問題を解いてピントの当て方に慣れる
解く力5 個
意味だけでなく、「形」の理解を伝える和訳力
国公立大に多い日本語訳問題は、「この文は、だいたいこんなことを言っています」と説明する問題ではありません。直訳にこだわる必要はないものの、意味に「何も足さない、何も引かない」ことが求められるだけでなく、英文の仕組みを正しく理解していることを示す必要もあります。節の内部構造を見抜けていない、節どうしのつながりを明らかにしていない、などは理解不足と見なされて減点の対象となるため、「形」を意識した丁寧な解答練習が必要です。
こう鍛える!
徹底的に「形」を意識し、訳は必ずしっかり書く
解く力がつく学習法
解いた問題を再利用し、効率的に力を高める!
解く力の強化に最も効果的なのは、一度やった問題を再利用して「より完璧な答案」を作成するトレーニングを積むこと。一度解いているから時間はかからないし、ポイントも簡単に思い出せます。ゆえに、一貫して「完璧な答案作成」だけを意識することができ、解く力が大幅に強化されるのです。「今日は日本語訳だけ、明日は内容説明だけ」のように、設問形式ごとに2、3回で十分。新しい問題に取り組むよりも高い効果が得られます。さっそく実践しましょう。