現代文
アットウィル 竹内 幸哉 先生
代々木ゼミナール、河合塾講師を経て、現在、アットウィル講師、中央大学法学部講師。哲学・音楽・言語・ドラマ・ランニングなど探究心は広がるばかり。『螢雪時代』にて「螢雪合格塾」を連載中。
個は個別試験、共は共通テストで必要な力
解く力1 個
記述解答に必要な要素を見立てる力
記述問題の字数や解答欄の大きさは、出題者が想定している模範解答の長さを示す、重要なヒントになります。字数や解答欄を目安に、どんなポイントが中心になるのか、補足的なポイントはいくつ入れたらよいか、内容を要約する必要はあるか、どんな順序で配置すると手短な説明ができるか・・・などの見当を立てていきましょう。
こう鍛える!
字数・解答欄をヒントにポイントを取捨選択せよ
解く力2 個・共
出題者が設問を置いた意図を見抜く力
出題者の意図は、「縮尺」「方位」の2つの観点で考えましょう。縮尺とは、どんなカタマリで内容を理解するかという観点です。単語や文など細部をミクロに問いたいのか、意味段落や文章全体をマクロに問いたいのかに着目しましょう。他方の方位とは、誰の目線から文章を理解できているかという観点です。評論では常識的視点やそれを批判する筆者の視点、小説では主人公や登場人物の視点です。その設問が誰の目線を問おうとしているのかを意識しましょう。
こう鍛える!
設問文の「縮尺」と「方位」を押さえよ
解く力3 個・共
設問の「勢力圏」をとらえる力
設問には「勢力圏」とも言える範囲があります。例えば、傍線部付近だけを勢力圏とする内容説明問題もあれば、人物の心情が変化する過程を追う広い勢力圏の心情説明問題、冒頭と最後の緊密な関係を問う、勢力圏が2つに分かれる理由説明問題もあります。各設問の勢力圏は、多くは重ならないように設定されており、それぞれの勢力圏を意識することが重要になります。
こう鍛える!
設問ごとに「勢力範囲」がどこまでか見極めよ
解く力4 個・共
選択肢の正誤を吟味する力
選択肢問題のコツは、選択肢を吟味する前に、「正誤の判断基準」を言語化すること。記述解答を作る際に解答のポイントを考える作業と同じです。そのうえで、①消極法、②積極法の2つのベクトルで選択肢を吟味します。①は基準から外れた部分(キズ)のある選択肢を消していく方法です。これで1つに絞り切れない場合は②を用い、基準に最も近い選択肢を選びます。
こう鍛える!
判断基準を言語化し、消極法→積極法で選べ
解く力5 共
共通テストの場面設定問題を手際よくさばく力
共通テストでは、複数の資料を用いて総合的に解く問題の出題が想定されます。正解を導くために、次の3点を読み取りましょう。①場面設定や学習展開の流れ。②各資料の概要。③小問の設問条件。①は探究学習の《課題の設定→情報の収集→整理・分析→まとめ・表現》に沿って展開します。各文章・資料をこのプロセスに位置づけ、全体を構造的に把握します。②はタイトルや凡例、特徴や傾向をつかむ練習が不可欠です。③を押さえると着眼点がわかります。
こう鍛える!
資料を学習プロセスに位置づけて構造化せよ
解く力がつく学習法
模試で課題を見いだし、改善方法を探る
現代文の学習には、練習量を増やす量的な面と、方法の改善が必要な質的な面があります。このうち方法の改善については、自分の文章の読み方や設問の解き方における問題点を明らかにして、修正しましょう。文章冒頭の内容を忘れがち、設問条件を軽視しがち、既有知識に引きずられがちなど、問題点は人によりさまざま。模試の振り返りの際に失敗の原因を分析し、どうするべきかという改善策を具体的に考えて言語化し、次の演習に活かしていくのが有効です。
この記事は「螢雪時代(2024年9月号)」より転載いたしました。
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