アットウィル 竹内 幸哉 先生
たけうち・ゆきや。代々木ゼミナール、河合塾講師を経て、現在、アットウィル講師、中央大学法学部講師。哲学・音楽・言語・ドラマ・ランニングなど探究心は広がるばかり。『螢雪時代』にて「螢雪合格塾」を連載中。
設問文は唯一、出題者が「肉声」で受験生に語りかけてくる言葉です。それゆえ、設問文をしっかり読めば、何について問われているか(=解答の中核ポイント)、それについてどんな答え方をすべきなのか(内容説明/理由説明/対比説明)、解答のヒントや正答の条件(使う言葉・押さえる箇所・注意する視点など)を的確に把握できるはずです。
解答欄の大きさや制限字数は、解答のポイントを推定するうえで大きなヒントになります。同じ設問でも50字で答える場合は中核的なポイントへの絞り込みが必要ですし、100字で答える場合は付随的な複数のポイントを組み立てる必要があります。たえずポイントの優先順位を考えて、何を書くべきかを見極め、判断しなくてはならないのです。
使用語彙の蓄えの多寡が合否を左右することがあります。特に本文中の長い語句を短い単語に換える語彙力は重要です。たとえば「仲間外れにされたような気持ち」を「疎外感」と置き換えられれば、内容を圧縮できます。また、理由説明問題では、自明な前提ゆえ本文では省略されている理由を、自分で言語化するとピタリと着地できる場合があります。
出題者は受験生の読解力を測定したいはずです。となれば、受験生は自らの読解力をアピールできる付随的なポイントを答案に盛り込みたいところです。たとえば、対比、理由、隠れた主語などを入れるといいでしょう。
客観的事実を述べている文でも、筆者の態度や心情は垣間見えます。それを答案に活かしたいところです。たとえば「些細」「表面的」といった表現のニュアンスを捉えて、答案に「〜に過ぎない」などと表現するのです。
修飾語はできるだけ近くに置きましょう。たとえば目がかわいらしい黒猫を「黒い目のかわいい猫」と書いたら、「黒い」のは「目」だと読めてしまいます。誤読を防ぐためには「かわいい目の黒い猫」とすべきですね。
主語と述語の関係がねじれてしまうことがあります。たとえば「彼の願いは……旅に出たい。」といった文のことです。一文が長いときにねじれが起きやすいので、解答を2文以上に分けて、1文の文構造を単純にしましょう。
語彙力を高めるために、専用ノートを用意して新しく知った言葉を書き足し、日常会話の際に背伸びして使ってみましょう。コツは、対義語や類義語もまとめて覚えることです。
話が複雑で、整理する必要に迫られたら、本文中のキーワードを拾ってきて、その論理関係(対比・因果・イコールなど)を視覚的に整理してみましょう。本文の理解が深まります。
この記事は「螢雪時代(2024年10月号)」より転載いたしました。
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