東京大の2段階選抜引き締めが影響大、一橋大が志願者増か。
私立大は中央大が志願者増、上智大・専修大・法政大が減少か。
文中、変更点は24年→25年で表記。学部・学科等の名称は、略称で「学部(学科)」と記載。国公立大は前期日程=【前】、後期日程=【後】、公立大中期日程=【中】、昼・夜間主コース=[昼][夜]、共通テスト=共テ、個別学力検査等(2次試験)=2次、学校推薦型選抜=推薦型、総合型選抜=総合型、共テを課さない(課す)=共テ免除(課す)、実質倍率(受験者数÷合格者数)=倍率、と略記。教科・科目数は「6または7教科8または9科目(科目選択による)=6(7)教科8(9)科目」のように略記。私立大も入試方式・日程等を略記した。
● 茨城大
大学全体の志願者は「23年19%減→24年17%増」と推移。隔年現象による反動で、教育・理・工・農の前・後期とも志願者減が見込まれる。工【後】は募集人員減(179人→150人)も要因となりそうだが、工【前】は募集人員増(273人→290人)のため、小幅な減少に留まりそうだ。
一方、開設2年目の地域未来共創学環【前】【後】は、認知度が高まったのと、前年が比較的低倍率だったため、やや志願者増が見込まれる。
● 筑波大
総合選抜(大括り募集。2年次から志望する学群・学類に所属)は、前年の反動から、理系Ⅱ・Ⅲ【前】で志願者増、文系【前】・理系Ⅰ【前】で志願者減が見込まれる。理系Ⅲは募集人員減(90人→84人)のため、やや難化しそうだ。
また、学類・専門学群選抜は、人文学類(以下、学類を略)【後】・社会【前】・国際総合【前】・教育【前】・心理【前】【後】・生物【前】・数学【前】・物理【前】・化学【後】・工学システム【前】・知識情報・図書館【後】・看護【前】・医療科学【前】で志願者増、人文【前】・教育【後】・生物【後】・地球【前】【後】・物理【後】・化学【前】・医【前】・芸術専門学群【前】で志願者減が見込まれる。医【前】は募集人員減(62人→57人)も要因となりそう。体育専門学群【前】も募集人員減(140人→130人)のため、やや志願者減か。芸術専門学群【後】は募集人員増(5人→10人)、2次の変更(面接・口述試験→実技)が、前年大幅増の反動を相殺しそう。
なお、共テの情報を25年に限り、全員に同点数を付与することも増加要因となりそうだ。
● 宇都宮大
24年の大学全体の志願者は31%増。その反動から、地域デザイン科学【後】・国際【前】・共同教育【前】・工【前】【後】で志願者減が見込まれる。また、農【前】は募集人員減(126人→108人)に加え、2次負担増(3学科で英語を追加、2学科で英語を選択→必須に)が敬遠材料となり、やはり志願者減の見込み。一方、開設2年目のデータサイエンス経営は、千葉大‐情報・データサイエンス【前】の募集人員減の影響から、前期はやや志願者流入が見込まれるが、後期は群馬大‐情報【後】への志望変更がありそうだ。
● 群馬大
前年の反動から情報【前】【後】・医(保健)【前】、共同教育【前】も宇都宮大‐共同教育【前】からの志望変更で、志願者増が見込まれる。
● 埼玉大
前年の反動から、教養【前】・理【前】・工【前】【後】で志願者増、教養【後】・教育【前】・経済[昼]【前】【後】・理【後】で志願者減が見込まれる。教育【前】は募集人員減(274人→265人)も減少の要因となりそうだ。
● 千葉大
情報・データサイエンス【前】は開設2年目の反動に加え、募集人員減(90人→70人。推薦型の女子枠を新設)のため、志願者減が見込まれる。
この他、前年の反動から、工【後】・園芸【前】・医【後】・看護【前】で志願者増、国際教養【前】・文【前】・理【前】【後】・医【前】で志願者減が見込まれる。
● お茶の水女子大
開設2年目の共創工は初年度で低倍率(2.2倍)の前期が志願者増の見込み。前年の反動から、文教育【前】・生活科学【前】【後】で志願者増、文教育【後】・理【前】【後】で志願者減が見込まれる。
● 東京大
2段階選抜の予告倍率を「文科一類~三類=約3.0倍→約2.5倍、理科一類=約2.5倍→約2.3倍、理科二類=約3.5倍→約3.0倍」(各前期)に引き締める。さらに学費を増額(年間で535,800円→642,960円)、いずれも敬遠材料となり、理科三類【前】以外は志願者減の見込み。東北大・一橋大などへの志望変更が予想される。
● 東京外国語大
前年の反動から言語文化【前】で志願者増、国際社会【前】【後】・国際日本【前】で志願者減の見込み。
● 東京科学大
東京医科歯科大と東京工業大が10月に統合、「東京科学大学」に名称変更。
医歯学系(旧医科歯科大)は、前年の反動で医(医)【後】・医(保健衛生)【後】は志願者増、医(保健衛生)【前】・歯【前】【後】は志願者減の見込み。
理工学系(旧工業大)は、総合型に女子枠を新設する理学院・工学院(以下、学院を略)が、一般選抜の募集人員減(理【前】143人→128人、工【前】314人→261人)のため志願者大幅減は必至。
また、前年の志願者増や募集人員減による倍率アップの反動から、物質理工【前】、生命理工【前】、環境・社会理工【前】は志願者減の見込み。一方で情報理工【前】は、前年の募集人員増・志願者減の反動から大幅増が見込まれる。
● 東京学芸大
初等教育(現代教育実践=学校心理・環境教育)、中等教育(音楽・情報)、特別支援教育で後期を募集停止するため、教育【後】は募集人員減(153人→100人)、志願者大幅減は必至。
● 一橋大
全5学部の前期で2次の外国語から聞き取り・書き取り試験を除外、人気材料となりそう。前年の反動もあり、社会【前】、ソーシャル・データサイエンス【前】【後】で志願者増、商【前】・法【前】で志願者減が見込まれる。東京大からの志望変更も予想されるが、難関大の中では共テの情報の配点比率が高い(「大予測!2025年一般選抜の難易変動はこうなる!? PART 1 全体予測」の「新課程科目は局所的に影響 ①共テの情報Ⅰ」を参照)ことが壁となりそう。
● 横浜国立大
経済【前】【後】・経営【前】【後】・理工【前】【後】・都市科学(都市社会共生)【後】で2段階選抜を廃止。また、理工【前】で募集人員増(350人→362人)のため、前年の反動もあり、教育【前】・経済【前】【後】・経営【前】【後】・理工【前】で志願者増の見込み。一方、都市科学【後】は志願者減が見込まれる。
● 新潟大
前年の反動から、人文【前】・法【前】【後】・経済科学【前】【後】・医(保健)【後】・工【前】で志願者増、人文【後】・医(医)【前】・歯【前】【後】・工【後】・農【前】【後】・創生【前】で志願者減が見込まれる。
● 山梨大
24年は全学の志願者が15%増。その反動から、教育【前】【後】・医(医)【後】・生命環境【前】で志願者減の見込み。教育【前】は募集人員減(56人→47人)も要因となりそう。ただし、生命環境【前】は学科・コースにより2次の小論文を学科試験に変更、対策が立てやすくなり、志願者減は小幅に留まると見られる。
一方、やはり前年の反動から、工【前】・医(看護)【前】では志願者増が見込まれる。
● 信州大
教育(現代教育、国語教育、心理支援教育)で後期を募集停止(総合型を新規実施)するため、教育【後】は募集人員減(44人→34人)、志願者減につながりそう。この他、前年の反動から、人文【前】・教育【前】・理【前】・医(医)【前】で志願者減、経法【前】・理【後】・医(保健)【後】・工【前】【後】・農【前】で志願者増が見込まれる。
● 茨城県立医療大
保健医療で後期を募集停止。福島県立医科大‐看護【後】、東京都立大‐健康福祉【後】の志願者増に結びつきそう。一方、前期は前年の反動から志願者減の見込み。
● 東京都立大
生計維持者(保護者)が東京都内在住の学生(在学生・新入生)の授業料を全額免除(所得制限なし)する制度を導入。人気材料になりそうだが、一方で5学部の前期で2次に英語を追加(共テの英語、英語外部検定の利用を含む)。相反する要因に加え、前年の反動もあり、人文社会【後】・経済経営【後】・理【後】・都市環境【前】【後】・システムデザイン【後】で志願者増、人文社会【前】・法【後】・理【前】で志願者減が見込まれる。
● 神奈川県立保健福祉大
入学金を「県内出身者=282,000円→141,000円、その他=564,000円→282,000円」に減額。また、保健福祉(リハビリテーション)で後期を新規実施。さらに、前・後期とも共テの数学が1科目のため、やや志願者増が見込まれる。
● 横浜市立大
前年の反動から、国際教養【前】・理【後】・データサイエンス【前】で志願者増、国際商【前】・理【前】・医(医・看護)【前】で志願者減の見込み。ただし、医(看護)【前】は共テ3科目の方式を追加(従来型は共テ6科目)のため、小幅な減少に留まりそう。
この他、前年の反動などから、東京農工大‐工【前】、上越教育大‐学校教育【前】【後】、高崎経済大‐経済【前】・地域政策【後】で志願者増、電気通信大‐情報理工【前】【後】、東京農工大‐農【後】で志願者減が見込まれる。
難関~準難関校では、24年に「志願者減・合格者増」で倍率低下した中央大が狙われそう。一方、「志願者増・合格者減」の上智大・東京理科大・法政大はやや志願者減が予測される。早稲田大では、社会科学の一般選抜の募集枠縮小と共テ併用への全面移行が要注目だ。
中堅上位~中堅校は、東洋大・大東文化大・共立女子大などで新規実施する「学科試験重視、併願可」の推薦型・総合型が注目される。ここで合格を確保した上で、さらに上位校の一般選抜に挑戦する「関西型」の併願パターンが出てきそう。東洋大の場合、「MARCH」へのチャレンジが増える一方で、駒澤大・専修大や自校の一般選抜に影響しそうだ。
以下、各大学の主な変更点を紹介する。
● 青山学院大
文(英米文)は個別学部日程で英語外部検定利用のD方式を新規実施、共テ利用に4科目型を追加。国際政治経済の個別学部日程で、国際経済学科は英語外部検定利用のB方式を新規実施、国際政治・国際コミュニケーションの2学科はB方式を「共テ併用→英語外部検定利用」に変更。国際政治経済の共テ利用で5科目型を新規実施。教育人間科学の共テ利用で教育学科は5科目型を追加、心理学科は3→5科目に負担増。
● 亜細亜大
都市創造を「社会学部」に改組。経済・法・国際関係・社会の一般学科別で3教科型(ベスト2)を新規実施。また、全学統一入試前・中期で英語外部検定を新規利用(得点換算)。
● 大妻女子大
データサイエンス学部を開設。社会情報(環境情報学)・人間関係(人間福祉)の一般A方式Ⅱ期で面接を除外。比較文化の一般A方式Ⅱ期で国語から古文を除外。共テ利用B方式Ⅰ期で、社会情報(情報デザイン)は3科目型、比較文化は2科目型を新規実施。
● 慶應義塾大
文の一般選抜の外国語で、英語外部検定が利用可に(得点換算)。環境情報・薬で数学の出題範囲にⅢCを追加(環境情報で「情報および数学」選択の場合は含まない)。
● 国際基督教大
一般A方式を人文・社会科学選択(110人)、自然科学選択(40人)、日英バイリンガル面接利用(20人)に分割(カッコ内は募集人員)。
● 実践女子大
環境デザイン学部を開設。一般Ⅰ期(1/24)と、共テ利用Ⅰ期の2科目外部試験利用方式を導入。
● 芝浦工業大
一般前期・全学統一日程をA方式(3教科)・B方式(2教科。旧英語資格・検定利用方式)に分割、英語の独自試験を廃止。A方式は共テの英語または英検を利用(得点換算)、B方式は英語外部検定を利用(出願資格)。
● 専修大
ネットワーク情報では、共テ併用AS方式で共テの情報Ⅰを必須として追加、数学ⅠAは必須だが合計点に加えず、合格基準として利用。また、共テ利用後期で情報必須型(4科目)を新規実施。全学の一般後期で学外試験場(仙台・新潟・長野・静岡)を廃止する。
● 中央大
商の学部別選抜で英語外部試験利用方式を新規実施。国際経営が6学部共通選抜の募集から離脱。国際情報の学部別選抜の英語外部試験利用方式で、出願資格に加えて得点換算でも利用。
● 東京都市大
理工(電気電子通信工)、情報工、メディア情報(情報システム)、デザイン・データ科学で一般前期情報型を新規実施。共テ2教科と独自入試「情報Ⅰ・Ⅱ」(外部試験利用可)で判定。また、共テ利用前期で6教科基準点型を導入する。
● 東洋大
一般中期・共テ利用中期を廃止し、一般後期2教科型を3教科型に負担増。また、文(教育=人間発達)、文2部(教育)、福祉社会デザイン(社会福祉)、健康スポーツ科学(栄養科学)、生命科学(生命科学・生物資源)、食環境科学で多面的評価入試(英語外部検定利用、小論文、面接等で選抜)を新規実施。
● 日本大
文理のA個別方式、C共テ利用方式で2期を廃止し、A個別方式で英語外部検定が利用可に。文理(社会、数学)の共テ利用方式で3→4科目に増加(社会=情報を必須として追加/数学=「理科・情報から1」を追加)。芸術でA個別方式を廃止し、N全学統一方式1期で学力検査型・専門試験併用型を新規実施。国際関係のA個別方式1・2期で英語外部検定が利用可に。生産工でCA共テ併用方式を廃止し、C共テ利用方式2期を新規実施。工のC共テ利用方式を3→2教科型に軽減する。
● 日本女子大
食科学部を開設。また、全学の共テ利用前期で5科目型を新規実施する。
● 明治大
国際日本で学部別入試を2→4方式に増加。3科目方式を2科目方式・共テ併用型3科目方式に分割し、英語4技能試験活用方式(地歴を除外し、国語1科目に軽減)にも共テ併用型(独自:国語+共テ:地歴)を追加する。
● 早稲田大
社会科学で、一般選抜を独自試験から共テ併用(総合問題型・数学型)に変更、募集人員減(450人→370人)。また、共テ利用入試も募集人員減(50人→30人)。人間科学も、一般選抜(文系・理系方式)を独自試験から共テ併用(国英型・数英型)に変更。スポーツ科学の一般選抜(共テ併用)で「小論文→総合問題」に変更し、共テ利用入試の募集人員を「共テのみ方式50人→20人、共テ+競技歴方式50人→75人」に変更。商の一般選抜で英語4技能テスト利用型を廃止し、地歴・公民型を募集人員増(355人→390人)。一方、文は「一般選抜340人→260人、英語4技能テスト利用方式50人→85人」、文化構想も「一般選抜370人→330人、英語4技能テスト利用方式70人→110人」に変更する。
● 北里大
理(物理)・医療衛生・未来工で一般中期を新規実施。医療衛生で一般後期を廃止し、共テ利用選抜を新規実施。健康科学で共テ利用前・後期を新規実施する。
上記の他、獨協大で共テ利用情報(国語・外国語・情報必須)を新規実施。千葉工業大は独自・共テ併用のSB日程で「総合問題→タイプⅠ(情報選択)・Ⅱ(国語選択)」に変更。國學院大の一般A日程の2/4で英語外部試験利用型を導入(出願資格)。順天堂大の共テ利用で、医療科学は2科目判定型を、健康データサイエンスは3科目判定型を新規実施。玉川大は全学統一入試前・後期、給付型奨学金入試前・後期、地球創生教員養成入試で、英語の個別試験を廃止し、共テの英語または英語外部検定を新規利用。大東文化大は一般選抜(3教科)でベスト2教科型を導入。津田塾大の一般A方式で英語外部試験利用型を新規実施。東京経済大で一般前・後期を「全学統一方式前・後期、個別方式」に変更。東京電機大の共テ利用前・後期で4教科方式(情報)を追加。東京理科大‐薬を「千葉県野田市→東京都葛飾区」にキャンパス移転。東邦大は医・薬・理・看護・健康科学で統一入試を導入する。
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