大阪大が志願者増か、京都工芸繊維大の後期募集停止が影響大。
私立大は関西大・近畿大が志願者増、立命館大・甲南大が減少か。
文中、変更点は24年→25年で表記。学部・学科等の名称は、略称で「学部(学科)」と記載。国公立大は前期日程=【前】、後期日程=【後】、公立大中期日程=【中】、昼・夜間主コース=[昼][夜]、共通テスト=共テ、個別学力検査等(2次試験)=2次、学校推薦型選抜=推薦型、総合型選抜=総合型、共テを課さない(課す)=共テ免除(課す)、実質倍率(受験者数÷合格者数)=倍率、と略記。教科・科目数は「6または7教科8または9科目(科目選択による)=6(7)教科8(9)科目」のように略記。私立大も入試方式・日程等を略記した。
● 滋賀大
データサイエンスは定員増に伴い募集人員増(【前】50人→70人、【後】20人→40人)。後期は個別学力検査実施型(従来型:募集30人)と面接型(新規実施:募集10人)に複線化、面接型は2次にオンライン面接を課し、2段階選抜(共テ600点満点中450点以上)を実施するものの、いずれも人気材料となりそう。前年の反動もあり、教育【前】【後】・データサイエンス【前】【後】で志願者増が見込まれる。教育は奈良教育大【前】【後】からの志望変更がありそうだ。一方、経済は夜間主コースを募集停止し、旧昼間主コースも募集人員減(【前】172人→164人、【後】150人→140人。総合型を拡大)。やはり前年の反動もあり、前・後期とも志願者大幅減が見込まれる。
● 京都大
法の特色入試を「後期→推薦型」に移行。法【前】から大阪公立大‐法【後】、神戸大‐法【後】への併願増が予想される。前年の反動から、教育(理系)【前】・経済(理系)【前】・医(人間健康科学)【前】で志願者増、総合人間(理系)【前】・教育(文系)【前】・法【前】・経済(文系)【前】・工【前】で志願者減が見込まれる。ただし、首都圏の難関大志望者の一部に「東京大→京都大」のシフトも見られ、微妙に影響しそうだ。
● 京都工芸繊維大
工芸科学で後期を募集停止し、前期を334人→380人に募集人員増。前期で志願者大幅増が見込まれる。また、滋賀県立大‐工【後】、大阪公立大‐工【中】などへの併願が増えそうだ。
● 大阪大
定員増に伴い、工【前】で736人→769人、基礎工【前】で390人→417人に募集人員増。基礎工は前年の反動もあり、いずれも志願者増の見込み。
やはり前年の反動から、文【前】・経済【前】・薬【前】で志願者増、人間科学【前】・外国語【前】・理【前】・医(医)【前】・歯【前】で志願者減が見込まれる。
● 神戸大
工(情報知能工)を改組し、システム情報学部を開設。一般選抜は【前】110人・【後】20人で、学部に昇格する分、前年より志願者を集めそうだ。その影響で、工【前】【後】は募集人員減(【前】423人→317人、【後】129人→115人)、志願者減の見込みだが、難易は前年並みか。医で学科増設(医療創成工)、前期のみ25人を募集。2段階選抜を実施予定(予告倍率=約5倍)だが志願者を集めそうだ。一方、医(保健=看護学)で後期を募集停止する。この他、前年の反動などから、文【後】・法【後】・経済【前】・海洋政策科学【後】で志願者増、文【前】・法【前】・経営【前】・理【前】・医(保健)【前】【後】・農【前】で志願者減が見込まれる。
● 奈良教育大
教育(教科教育=音楽・美術)【前】【後】、同(教育発達=教育学)【後】の2次で面接→小論文に変更、同(教科教育=保健体育、伝統文化=書道)【前】【後】では2次に小論文を追加。敬遠材料になりそうだ。前年の反動もあり、教育【前】【後】で志願者減が見込まれる。さらに、前期は募集人員減(156人→149人)も志願者減の要因となりそうだ。
● 奈良女子大
前年の反動から、生活環境【後】・工【後】で志願者増、文【前】【後】・理【前】【後】・工【前】で志願者減の見込み。文【後】は共テで情報を課さないため、微減に留まりそう。また、生活環境【前】は募集人員増(83人→90人)のため、やや志願者増が見込まれる。
● 和歌山大
観光で後期を復活するが、小規模(5人)のため、学内併願に留まりそう。システム工【前】【後】は募集人員増(【前】160人→170人、【後】100人→110人)のため志願者増の見込み。また、経済【前】の2次で総合問題→数学・英語、観光【前】の2次も総合問題→「英語必須、国語・数学から1」に変更と対策が立てやすくなった。前年の反動もあり、経済【前】【後】・観光【前】・社会インフォマティクス【前】で志願者増が見込まれる。一方、教育【前】【後】は募集人員減(【前】90人→70人、【後】25人→20人)に加え、前期の文科系・理科系の2次負担増(英語を追加)もあり、志願者減が見込まれる。
● 滋賀県立大
工(材料化学、機械システム工)【前】【後】、同(電子システム工)【後】で、2次から理科を除外。同(電子システム工)【前】も2次から英語を除外。負担減と前年の反動から、工【前】は志願者増が見込まれる。また、工【後】は負担減と京都工芸繊維大(後期を募集停止)からの併願増が前年の反動を相殺、志願者は前年並みか。この他、前年の反動から環境科学【前】・人間文化【前】・人間看護【前】【後】で志願者増、環境科学【後】で志願者減が見込まれる。
● 京都府立大
24年に学部再編(生命環境を3学部に分割)を実施。認知度は高まったが、前年の反動や倍率の高低により、文【前】【後】・公共政策【前】・農学食科学【後】・生命理工情報【後】・環境科学【後】で志願者減、公共政策【後】・農学食科学【前】で志願者増が見込まれる。ただし、文【前】・公共政策【前】は共テの数学が1科目のため、微減に留まりそうだ。
● 大阪公立大
26年までに府内出身者は段階的に学費無償化の予定で、認知度の高まりから府内出身者の人気アップにつながりそう。前年の反動から、文【前】【後】・法【前】【後】・商【前】【後】・工【前】・農【後】・看護【前】【後】で志願者増、現代システム科学域【前】【後】・経済【前】【後】・理【前】・農【前】・獣医【前】・医(医)【前】・医(リハビリテーション)【後】・生活科学【前】で志願者減が見込まれる。医(医)【前】は募集人員減(80人→75人)、2段階選抜の基準変更(共テ900点満点中650点以上→共テ1,000点満点中700点以上で3倍)も敬遠材料となりそうだ。
● 神戸市外国語大
外国語【後】は2次を廃止(小論文→課さない)するものの、63人→50人に募集人員減(推薦型・総合型を拡大)のため、志願者減の見込み。また、前年の反動から、外国語【前】で志願者増、同2部【後】で志願者減が見込まれる。
● 兵庫県立大
26年までに県内出身者は段階的に学費無償化の予定で、認知度の高まりから県内出身者の人気アップにつながりそう。
前年の反動から、国際商経【前】【後】・社会情報科学【前】【中】・看護【前】【後】で志願者増、工【前】・理【中】・環境人間【後】で志願者減が見込まれる。
● 奈良県立医科大
医(医)【前】は前年の志願者大幅減の反動が見込まれるが、2段階選抜の基準を「15倍→共テ900点満点中概ね730点以上で15倍」と得点基準を追加するため敬遠され、微増に留まりそう。
この他、やはり前年の反動から、医(医)【後】・医(看護)【前】は志願者増が見込まれる。
この他、前年の反動から、京都府立医科大‐医(医)【前】、和歌山県立医科大‐保健看護【後】で志願者増、滋賀医科大‐医(医・看護)【前】、大阪教育大‐教育【後】、奈良県立大‐地域創造【前】【中】、和歌山県立医科大‐医【前】・保健看護【前】で志願者減の見込み。
「関関同立」では、同志社大が難関国公立大の併願先として安定した人気を集め、関西大は情報系の学部・学科増設で志願者増に結びつきそう。一方、立命館大・関西学院大は共テ利用方式で情報必須の新方式を導入するが、前年の志願者増の反動でやや志願者減が見込まれる。また、「産近甲龍」では、24年に「志願者減、合格者増」で倍率ダウンした近畿大・龍谷大が反動でやや志願者増、志願者大幅減となった京都産業大はキャンパスの立地から引き続き志願者減、「志願者増、合格者減」で倍率アップした甲南大は反動による志願者減が見込まれる。中堅校は選抜の主軸が推薦型・総合型にシフトし、一般選抜の受験者層が厚みを失った状況に加えて、家計不安に由来する併願数減の傾向もあるため、志願者は減少傾向となる見込み。以下、志望動向に影響を与えそうな、各大学の主な変動要因を紹介する。
● 立命館大
産業社会・経営・映像・食マネジメント・情報理工・理工・生命科学(生命情報)の2月入試の共テ併用方式で、共テの情報Ⅰが必須の「情報活用型」を新規実施。一方、情報理工でISSE方式を廃止。また、共テ利用3月後期型で、文・法・政策科学・経営・国際関係・映像・食マネジメントは5教科型・3教科型を、産業社会は5教科型を、薬は3教科型を廃止する。
● 龍谷大
社会を「滋賀県大津市→京都市伏見区」にキャンパス移転。また、社会の共テ利用前期で数学1教科方式を新規実施する。
● 関西大
ビジネスデータサイエンス学部を開設予定。システム理工に「グリーンエレクトロニクス工学科」を増設予定。また、全学日程1の2教科型(英語外部試験利用方式)で、利用方法に「加点」を追加する(従来は出願資格)。
● 大阪歯科大
歯・医療保健・看護の一般選抜で全学部日程を新規実施(英語外部検定利用可)し、医療保健の一般前期で面接を除外。また、一般後期で「学科2科目→小論文」に変更する。
● 近畿大
共テ利用中期の出願締切日を「2/1→2/10」に繰り下げる。情報の共テ利用前期で6教科7科目型、中期で4教科4科目型、後期で3教科3科目型を追加。建築の共テ利用中・後期で5教科7科目型を追加する。
● 関西学院大
全学部の共テ利用1月出願で8科目型(情報必須)を新規実施。理・工・生命環境・建築の共テ利用1月出願で3教科型(英語資格・検定試験利用も)を新規実施。商の共テ利用3月出願で英数3科目型を廃止。人間福祉の学部個別日程で英語・国語型を廃止し、傾斜配点型を新規実施。社会・教育の学部個別日程で英数日程を新規実施する。
● 甲南大
一般前期の試験日程を「2/1~5→1/30~2/1、2/4・5」に変更、一般中期を「2/9→2/17・18」に繰り下げ、法・経済・経営・マネジメント創造・理工で一般後期を廃止。グローバル教養学環で一般中期を新規実施し、一般中期を3→2科目に統一して軽減。共テ利用前期で、フロンティアサイエンスが5科目型、知能情報が6科目型を新規実施する。
● 神戸女学院大
「150周年記念 共通テストスカラシップ制度」を新設。新規実施の共テ利用スカラシップ5科目型で大学指定の得点率を上回った入学者は、授業料等の半額を2年間減免(入学後の成績により延長あり)。一方、共テ利用後期を廃止。
上記の他、京都橘大で一般前期A日程に2科目方式、同B日程に3科目方式を追加。同志社大‐グローバル・コミュニケーションで共テ利用方式を新規実施。大阪医科薬科大‐薬の一般入試Bで3→2科目に軽減(英語を除外、数学が選択→必須)。大阪経済大‐国際共創で共テ利用前期C方式を新規実施。大和大は共テ利用前期で学部により7~8科目型を導入する。神戸学院大は一般前期で2科目評価型(3科目受験必須)、後期で1科目評価型(2科目受験必須)を導入。神戸薬科大は一般前期で110人→80人に募集人員減。兵庫医科大ではリハビリテーションで一般後期を新規実施し、薬の一般後期で「英語→小論文」に変更。武庫川女子大の一般前期・後期で「英語外部検定利用型」をオプションで追加し、共テ利用後期を新規実施する。
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