河合塾
吉見 直倫 先生
河合塾および河合塾マナビスで公民科目の授業を担当。模試やテキストの作成・出題・監修にも関わっている。著書に『マーク式基礎問題集 公共』『マーク式基礎問題集 政治・経済』(いずれも共著、河合出版)など。
「公共」の設問数は、「地理総合/歴史総合/公共」では16前後、「公共、倫理」「公共、政治・経済」では8前後と予想される。そして、全設問のうち、半分程度が初見問題(教科書の知識事項に依存せず、設問内に示された情報を用いて正解を導くタイプの設問)、残りは知識問題になることが予想される。1設問当たりの記述量は、旧課程の「現代社会」のそれより多くなる可能性が高いので、時間配分には要注意。特に、グラフ資料の読み取りや多様な意見を区別・整理する設問などは、1設問当たり2~4分程度を費やすような形になるだろう。
傾向
「公共のとびら」の単元から、「青年期と自己形成」「公共的な空間」に関わる知識問題と初見問題が出題されるだろう。あわせて、「法の働きと私たち」の単元から、「法と社会規範」「私法と契約」「司法のしくみ」に関連する知識問題が出題される可能性がある。
対策
旧「現代社会」でも、「青年期と自己形成」「法と社会規範」「私法と契約」「司法のしくみ」についての出題はあった。ただし、「公共」は旧「現代社会」よりも教科書記述が詳述化傾向にあるぶん、やや細かい知識も扱われる可能性がある。教科書の内容を丁寧に復習しよう。また、「公共的な空間」に関わる問題に対応できるよう、倫理思想についても整理しておきたい。
傾向
「地域の活性化」「人口減少社会」などのテーマについて高校生が課題探究学習に取り組むという場面設定のもと、複数のグラフ資料を読み取るタイプの設問や、多様な意見を区別・整理するタイプの設問が出題されるだろう。ほとんどの設問が初見問題となると予想する。
対策
「課題探究学習」を題材とした大問については、共通テスト(2021~2024年)の旧「現代社会」の過去問のうち、第5問を研究することが有効だ。ここにいう第5問は、情報量の多い設問が数多く出題されているため、初見問題の練習として最適な素材である。設問によっては、1問当たり2~4ページにまたがるケースもある。時間配分にも注意したい。
傾向
「選挙制度」「政党と利益集団」「地方自治」など、政治参加をテーマとする問題が出題されるだろう。「国会」「内閣」に関する知識問題や、「様々な多数決の方法」「世論調査の結果」などについて比較したり考察したりするような初見問題も出る可能性がある。
対策
政治分野の大問の対策として、旧「現代社会」の共通テスト(2021~2024年)やセンター試験(2020・2019年)の過去問を活用することをおすすめする。また、教科書を用いて知識の定着を図ることはもちろん、教科書の政治参加をテーマとした特集ページを読み返したり、「〇〇について考えてみよう」といった教科書の問いかけについて再考する学習も有効である。
傾向
「経済的な選択をめぐる問題」「市場経済のしくみ」「金融の働き」「財政の役割」に関わる問題が出題されるだろう。トレードオフや市場の失敗など事例を用いた問題や、金融や財政に関わる統計資料を用いた問題などが扱われることが予想される。
対策
旧「現代社会」の過去問を用いて、経済的な考え方に慣れておくことが重要だ。可処分所得や機会費用の考え方、需要曲線と供給曲線のメカニズム、公共財の性質、情報の非対称性に関わる具体的な事例、金融商品のリスクとリターンの関係、ビルト・イン・スタビライザーの働き方など、過去問の研究を通じて1つ1つの経済的な考え方のマスターに努めたい。
演習開始時期:12月中旬~
目標使用量:10回分
旧「現代社会」の過去問に出てくる知識の多くは、「公共」の教科書にも掲載されている。したがって、「現代社会」の過去問研究はきわめて有効だ。共通テストであれば、2021~2024年の4年分を使おう。可能であれば、本試験と追試験の両方に取り組みたい。また、センター試験の2020年や2019年についても、知識事項の確認という意味では有効だ。
今までに受けた共通テスト模試の研究や、共通テスト予想問題集の演習は、過去問研究と同じくらい重要な学習である。過去問研究と同時期にこれらのアイテムを用いるとよいだろう。過去問演習の回数、模試を見直す回数、予想問題の回数を事前に見積もり、12月から1月にかけてどのくらいの頻度と分量で取り組めそうか、計画をしっかりと練っておきたい。
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