河合塾
鹿子島 康二 先生
現代文を中心に国語科全般の授業を担当。モットーは「語学の才能=努力」で、わかりやすい指導は定評がある。『螢雪時代』特集記事の執筆のほかに、「大学受験パスナビ」では入試問題の解説を執筆。
2025年はテーマ3に実用的文章が導入され、従来は80分4題であった試験が90分5題となる。これは、国語を「現代の国語」「言語文化」の2分野に再編成したカリキュラムの大変革を反映しており、新課程共通テストの最大の特徴の1つでもある。このテーマ3の解答作成の負担を考慮して、他の4題はやや易化するものと思われる。論理的文章や文学的文章では、設問に資料を添える程度に留まり、本格的な複数課題文は出題されない可能性が高い。会話文形式の問題や、メモや図表の完成といった問題も、テーマ3以外では減少すると考えられる。
傾向
公開された試作問題はいずれも、複数の実用的文章に2~4の非文字型の資料を添え、3・4問(解答数5)を問うものであった。10分で解答するのは相当に大変だ。文章と資料のどこが対応するか、資料・設問の着眼点はどこかをスムーズに把握することが、成否のカギになる。
対策
「生徒の作ったレポートに対し、級友や自らが再検討の方針を提示する」という最後の設問は、コミュニケーション能力の確認が出題の狙いである。かなりの難問だと言えるが、「アクティブラーニングに参加するつもり」で取り組むと、正解のポイントに気づきやすいだろう。模試や予想問題の解説を熟読することで、着眼点を探り出すコツを習得するとよい。
傾向
単独の課題文で、1つの設問に短い資料を織り込む体裁の、やや易化した問題になるだろう。設問レイアウトは従来通りで、旧カリキュラム準拠の問題(会話文形式・メモや図表の完成)、国語表現Ⅰ準拠の問題(表現意図・論の進め方・適切な例示を問う)の出題も予想される。
対策
共通テスト特有の会話文形式・メモや図表の完成の問題に関心が向きがちだが、実は上記の国語表現Ⅰ準拠の問題のコツがつかめなかったり、内容説明の選択肢吟味を完答できないことが、大きな失点につながる。これらの問題はセンター試験でも定番だったので、センター試験の過去問をうまく使いながら吟味するポイントを体得しておくことが必勝法となる。
傾向
中古以降の物語や随筆からの出題になるだろう。数人の生徒が表現について議論するという、共通テスト特有の形式で出題されるかどうかは微妙だが、和歌に関する問題自体は高い確率で出題されよう。問1の語句を問う問題など、設問のレイアウトは従来通りと思われる。
対策
共通テストで出題頻度の高い、和歌に関する対策が必要不可欠である。実は共通テスト特有の会話文形式の問題のほうが易しく、単純に和歌の解釈を問われるほうが難しい。この場合は、趣旨である上下の句の片方に焦点を絞り、連絡する前後の文脈を踏まえて解釈する。センター試験はこの形で出題されているため、演習すると効果的である。修辞の学習も行っておきたい。
傾向
2024年は3つの文章が課されたが、2025年はよりシンプルなものになると思われる。語句の読み・意味、白文訓読、傍線部の解釈などの知識問題は、センター試験から一貫して6~7割の配点になっていて、この点も変わらないだろう。漢詩の出題も想定しておきたい。
対策
漢文の知識問題は即断で解答できるので、得点戦略もペース配分も立てやすい。対策の中心は、短文式問題集で基本構文、再読・返読文字、使役・反語・否定・受身・疑問・比較などの基本句形、重要語彙を確認し、センター試験や私立大の問題を解いて定着させることだ。漢詩については、押韻と対句の修辞を確認し、共通テストやセンター試験の過去問で演習しておこう。
演習開始時期:11月中旬~
目標使用量:10回分
11月中旬までは1題ずつ大問別に過去問を復習する。実用的文章の導入に伴い、第1・2・4・5問は簡略化する可能性が高い。そのため、これらの分野はセンター試験に近い体裁になる可能性もあり、これを利用する意義が高まった。逆に、90分5題への変化により、共通テストは通し練習として使いづらくなった。通し演習はなるべく予想問題集で行いたい。
共通テストの直前期の学習では、既に解いた問題の解説を熟読し、設問の狙いと対策をつかむことが最も効率的だ。今年に受験した模試のうち、戸惑ったり手強かったりして記憶に残っている問題の解説を、よく熟読しよう。さらに対策を強化するなら、11月中旬あたりから、予想問題集を月に1回くらい通し演習し、同様に設問解説を熟読するとよい。
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