代々木ゼミナール
中川 雅夫 先生
丁寧で明快な講義と生徒指導での面倒見のよさは定評がある。『物理の良問問題集』『物理 標準問題精講』『センバツ33題 物理』などの著者であり、『全国大学入試問題正解 物理』(いずれも旺文社)の解答者および巻頭言執筆者を務める。
「物理基礎」「物理」ともに基礎力を試す問題が中心であるが、会話文を用いるなど出題形式を工夫して、単に公式や解法を暗記しただけでは答えにくい問題が見られる。したがって、基本問題の演習で基礎力を固めることは不可欠であるが、それだけでは高得点は難しい。また、実験や現実的な状況を扱った問題が頻出しているが、こうした問題では状況を伝えるために問題文が長くなるので、読解力・理解力・分析力を養っておく必要がある。このように共通テストの出題形式は独特なので、数多くの演習をこなすことで苦手意識を払拭してほしい。
傾向
大問で電気に関する実験の問題が出ると予想される。実験操作が具体的に書かれるので難しく感じるかもしれないが、内容的には基本的な問題となるだろう。実験や身近な現象ということから考えると波動もあるが、電気からの出題可能性が高い。
対策
「物理基礎」の実験に関する問題は、教科書で扱われている内容を理解していれば容易に答えられる問題が多い。学校の授業で実験をする機会があれば、積極的に取り組んでしっかり考察してほしいが、教科書を丁寧に読んで同様に考える訓練をするだけでも十分対策になる。物理に関心を持つことが一番の対策であるから、物理に触れる時間を多くとってもらいたい。
傾向
テーマ1の小問集合で確実に得点することはもちろんであるが、効率よく迅速に解いて、残りの大問に十分な時間を確保する戦略が高得点獲得には欠かせない。じっくり時間をかければ正答できる問題ばかりであるが、解き方を工夫して短時間で処理できるようにしよう。
対策
出題内容は基本的なので、基本問題の演習をしっかりすればある程度までは得点できる。しかし、高得点を獲得するには、入試の標準レベルの問題演習によって考える力を鍛えておきたい。残された時間から考えると、標準問題集を1冊仕上げるのは難しい。そこで、得意な分野や項目に絞ってレベルアップを目指そう。原子の分野は基本問題だけでもひと通り仕上げたい。
傾向
2024年はすべての大問が単一分野からの出題であったが、2025年は1つの大問で複数の分野を扱う出題が見られると予想する。形式としては、大問をA・Bの2つに分けて異なる分野を扱うことになるか、1つの問題に複数分野の内容を含ませたものになると思われる。
対策
実験など状況説明の必要な設定では問題文が長くなるので、読解力を鍛えて状況を理解する力が重要になる。しかし、1題で複数分野を扱う場合は通常の入試問題に近くなるので、問題演習の積み重ねで十分に対応できる。そこで、波動と熱の分野は、頻出問題や典型問題を中心に標準レベルの演習をするとよい。その際、常に「なぜ?」と考えながら取り組んでほしい。
傾向
2024年の電磁気の大問は、電気力線と等電位線に関する実験をテーマとする問題で、内容的には標準的な知識で対応できる設問が多かった。2025年は、状況を的確に把握する「理解力」と、きめ細かい「分析力」が試される、受験生にとっては難しい問題になるだろう。
対策
目新しい問題では、まず「状況を理解する」ことが大切である。力学の実験問題では、そのうえで考察させる部分がかなり大きく、分析力・思考力が問われる。しかし、電磁気では「状況を理解する」ことができれば、扱われる内容は限られるので、通常の問題演習で培った力でも十分に対応できる。したがって、状況の理解力と演習による思考力の養成がポイントとなる。
演習開始時期:12月下旬~
目標使用量:4回分
共通テストの問題は、年ごとに改良を加えている。したがって、2025年の対策にはまず2024年の問題の演習から始め、好きな順番でかまわないので、最終的には共通テスト開始からの本試験4年分にあたろう。時間に余裕があれば、追試験の問題も活用すると実戦力をさらに伸ばせる。弱点の補強には、センター試験の過去問から適当な問題を選んで演習するとよい。
「物理基礎」「物理」ともに、共通テストでは教科書の内容の理解が問われる。したがって、直前期には教科書の通読をすすめる。その際、できるだけ集中的に読むと、重要事項や図・グラフが印象に残りやすい。さらに、共通テスト模試の復習は、実力の伸びが確認できると同時に、弱点の補強にも最適だ。また、演習で力が伸びるタイプであれば、予想問題集も活用しよう。
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