駿台予備学校講師
大森 徹 先生
苦手な生物を得意にさせる救世主として活躍中。『大森徹の入試生物の講義』(旺文社)、『大森徹の最強講義126講 生物』(文英堂)、『理系標準問題集 生物』(駿台文庫)など、わかりやすさで大好評の著書多数。
新課程の目玉は「進化」である。しかし、「進化」のみが細かく詳しく問われるというのではなく、様々な単元の内容を「進化」の眼で見ていく姿勢が重要視されるので、必然的に分野横断型の思考問題が中心になる。もちろん基本的な知識問題も出題されるが、単純に用語を問うような問題ではなく、その用語の意味を理解しているかどうかを問う形で出題される。それでも知識問題の配点としては2割程度で、他は実験やグラフを通した思考問題になるだろう。また、単純に公式を当てはめるだけではない、計算を伴う問題も出題されると予想する。
傾向
DNA複製に関してはメセルソンとスタールの実験をもとにした計算問題、遺伝暗号については暗号表などを用いた考察問題が予想される。さらに、パターン化されていない計算問題の出題にも注意が必要だ。これはDNAの複製と遺伝暗号以外の単元から出題される可能性もある。
対策
まずは、典型的な計算問題で、「どうしてこのような式で解けるのか?」を理解することから始めよう。次に、未知の問題であっても、その数値がどのような意味を持っているか図解してイメージをつかむ練習をしたり、さらにそれらの数値間の対応関係を見抜く練習をしていこう。ほとんどが四則計算だが、「生物基礎」であっても指数の計算には慣れておいたほうがよい。
傾向
発生の現象には様々な物質や遺伝子が登場するが、それらの名称を知識として問うのではなく、多くの実験を通して「どの物質が、何に対して、どのように作用するか?」を考えさせる形で出題される。既知の現象だけでなく、未習の生物や発生過程が題材になる可能性も高い。
対策
発生における現象をただ暗記するのではなく、例えばβカテニンの濃度勾配の形成を学習したとき、「物質量が増加する原因として、物質の合成だけでなく、分解の抑制という可能性もあるのか」と理解し、中胚葉誘導についても「促進だけでなく、抑制を解除することで起こる現象もあるんだ」と納得するようにしよう。こうした学習姿勢が未知の実験の際にも生かされるのだ。
傾向
私たちが現在目にしている様々な現象は、結果的にそれぞれの環境に見事に適応したものである。そんなことを実感させるような現象を取り上げ、表面的には「進化」以外の単元の内容でありながら、実は「進化」の考え方を理解できているかどうかを問うような出題が予想される。
対策
「進化」の学習は、この単元を学習しているときだけでは済ませないようにすることが大切だ。個体群間の様々な関係も、多くの動物が行っているあらゆる行動も、すべて進化の賜物なのだ。他の単元を学習する際にも、そのような視点を持って学習していく姿勢が重要である。未知の生物間の関係が登場しても、こうした視点での学習がモノをいう。
傾向
教科書にも様々なバイオテクノロジーが登場する。しかし、それらはそのまま知識問題という形では出題されず、改変したり、発展させたり、あるいは計算させたりして出題されるのが通常である。また、「なぜそのような手順が必要なのか?」といった設問も予想される。
対策
まずは、教科書に登場する実験について、結果だけでなく実験内容や手順までしっかり理解することが大切だ。しかし、この単元はいくら教科書を読み込んでも、それだけでは十分ではない。実際に様々なパターンの問題で演習する必要がある。そこで、2次試験で出題されたバイオテクノロジーに関する過去問を利用して、様々なパターンの問題に慣れておくとよい。
演習開始時期:12月上旬~
目標使用量:7回分
時間に余裕がない試験なので、時間配分の練習は欠かせない。ただし、2023年は特に量が多すぎたので、多少時間不足に陥ったとしても気にする必要はない。共通テストは分野横断型の大問が多いので、分野ごとの復習にはセンター試験のほうが適している。解きっぱなしは厳禁で、特に考察問題では「どのヒントからどの選択肢が消去できるか?」を研究すること。
「生物基礎」「生物」ともに、最後まで教科書は手元に置いておこう。用語の暗記のためでなく、用語の理解、現象のストーリーの理解のために使うこと。過去問をやり終えたら、次は予想問題集だ。数多くの問題にあたることで、問題を読むスピードやヒントを見抜くスピードも上がってくる。ここでも、弱点を発見したら、そのつど必ず教科書に戻って確認すること。
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