河合塾
田中 理代 先生
河合塾では、受験生に「地学」の面白さを理解してもらいたいと30年以上講師を務めてきた。現在も共通テストをはじめとする入試問題の傾向を研究し、全統模試やオープンなどの問題作成プロジェクトに携わっている。
2025年も、2024年までの構成・内容から大きな変化はなく、各分野における地学現象を問題文や図・グラフ・写真などを用いて考察する問題が主体になると予想される。2024年の「地学」では、共通テストの特徴である第1問の総合問題で、地学現象に関する図を条件に沿って加筆することで解答を導く新傾向の出題形式が取り入れられていたが、2025年においても図を題材とした新傾向の問題が出題される可能性が高い。また、「地学基礎」は、新課程で範囲外となった箇所があるので、演習するときには注意が必要である。
傾向
新課程では宇宙分野の範囲がかなり変化しているので、要注意である、例えば、「太陽の進化」は主系列星までとなり、「太陽の活動」も部分的に削減されている。そのため、2025年は太陽系や宇宙の誕生、小天体や惑星の特徴をメインとした問題が出題される可能性が高い。
対策
共通テストの直前期になると、仕上げとして過去問を解く受験生が多い。過去問を解く場合は、特に「地学基礎」の宇宙分野において、新課程で範囲外になった問題があることに注意してほしい。習ってないと思われるものが問われている場合は、必ず教科書で確認すること。新課程に対応した問題演習としておすすめしたいのは、今年1年間に受けた模試の復習である。
傾向
共通テスト特有の問題として、第1問は1つのテーマをもとに、固体地球分野、地質・地史分野、大気・海洋分野、宇宙分野の各分野で構成されている。2025年も、各分野に共通したテーマを挙げ、図を用いた考察問題や知識問題が出題される可能性が高い。
対策
テーマは1つに限られているが、よく見ると、各問はそれぞれ独立しており、小問集合のようなものであることがわかる。教科書にも載っている定番の図を使った考察問題であったり、基礎的な知識問題である場合が多く、基本の知識と理解があれば恐れることはない。教科書学習で、丁寧に図表を確認しながら各現象を理解できていれば、容易に答えることができる。
傾向
共通テストの理念に基づき、探究活動を題材とした問題が例年出題されている。その中で最も出題率が高いのが、地質図の読み取りである。地質図と解説文から地域の地質構造や岩石の特徴をとらえる、地層の重なりや化石から地史を組み立てるなどの考察問題となるだろう。
対策
地質図の読み取りは、教科書で「実習」として扱われているが、ルートマップや平面図、断面図、柱状図の相互関係や地質構造を正確に読み取る作業は、演習を積み重ねて慣れておく必要がある。そのためには、共通テストやセンター試験の過去問を利用することも有効だ。また、化石や放射年代なども踏まえて、地域の地史を組み立てる作業も繰り返して演習しておこう。
傾向
共通テストでは、2~3問の計算問題が例年出題される。天文分野では、地球の自転・公転などの運動や、惑星などの平均距離と公転周期の関係、恒星の距離・質量・光度・寿命などの相互関係といった、定理や法則、公式を用いて導き出す計算問題が出題される可能性が高い。
対策
「地学」の問題集や参考書はきわめて少ないので、計算問題の演習には教科書の例題を利用しよう。まず、会合周期の関係、ケプラーの法則、ウィーンの変位則やシュテファン・ボルツマンの法則、ハッブル・ルメートルの法則などの定理や法則、公式を解説で正確に理解する。そして、それらを使いこなして正解を導き出せるように教科書や過去問などを用いて演習しよう。
演習開始時期:12月上旬~
目標使用量:6回分
共通テストは2022年から3年分(本試験・追試験)は解いてほしい。出題形式や問題量を確認して時間配分を体感するため、本番通りの制限時間で解くこと。問題文は飛ばし読みせず、図の解説なども見落としてはいけない。採点時には、正誤を問わずすべての選択肢を確認する。「地学基礎」は、新課程では範囲外の問題も含まれているので、教科書で確認しておこう。
学習の基本を教科書に置いて、解説を精読し、図を確認し、例題や問いを解いて理解を深めよう。年末までに今年に受けた模試を解き直して総仕上げをすること。その際、必ず全範囲を通して解き、解説も利用して完璧に仕上げていく。本番直前には、新課程の共通テスト予想問題集などを用いてヌケがないか確認し、不安があれば再度教科書で確認して補強するとよい。
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