新増設の大学・学部等は?
女子大中心に情報・建築・教育系の増設予定が目立つ
ここからは、全国の私立大(専門職大学を含む)について、25年度に新設予定の大学・学部・学科等(既存の学部・学科の組織改編を含み、原則として大学新設以外の通信制課程を除く)を紹介する。
大学の新設予定、学部・学科の増設予定(認可申請分)、さらに学部・学科の改組・再編等に伴う増設で、4月末までに文部科学省に「設置届出」があったもの(6月末発表)を、下の添付ファイルに掲載した。
学問分野や教員組織等を大きく変えないなど、一定の条件を満たす場合に限り、文部科学大臣に届け出れば学部・学科等を増設できる(設置届出)。その他の学部・学科増設や、大学の新設には「認可申請」が必要で、最終的には8月末に正式認可される予定だ。
●大学の新設と募集停止
東京経営大・ZEN 大の2大学が開設を申請中で、どちらも通信教育課程だ。
一方、ルーテル学院大・高岡法科大・桃山学院教育大の3大学、上智大短大部・龍谷大短大部・武庫川女子大短大部など23短大が募集停止する。
●学部・学科増設(設置届出)
4月末までの届出分は、学部等の増設(既設学部の改組を含む)が亜細亜大- 社会、日本女子大- 食科学、神戸女学院大- 生命環境、武庫川女子大- 環境共生など25大学31学部、学科増設が15大学19学部31学科となった。
届出は12月まで随時受け付けられ、今回の掲載分は25年度の一部に過ぎない(5月以降の届出分の一部を「変更点一覧」に掲載)。
●学部・学科増設(認可申請)
認可申請は、学部増設が大妻女子大- データサイエンス、追手門学院大- 理工、安田女子大-理工など10大学10学部、学科増設が3大学3学部3学科。このうち桃山学院大-人間教育は、桃山学院教育大を統合して開設される。
今回の申請で私立大の定員は約300人増える。さらに別途申請された定員増(約1,300人)を加え、募集停止の3大学を除くと、私立大全体の定員は約1,400人増える(大学新設を含み、通信教育課程と編入学定員を除く)。
この他、学部・学科とは別に、2大学で「学部等連係課程実施基本組織」の申請があった。これは学内の既存の学部等が連係し、学問分野横断型の教育プログラムを行うための組織だ。
●新設大学・学部・学科の特徴
分野別に見ると、国の理系拡大の方針に従い、理工系学部の増設が目立つ。中でも多いのが情報科学系と建築系。また、愛知淑徳大-教育など教員養成系の増設も目立つ。この他、金沢工業大の全学的な改編(4→6学部)、龍谷大-社会の学科統合(3→1学科)も要注目だ。
24年に引き続き、女子大で活発な増設・改組が行われる。女子受験生の志望分野の多様化や共学志向の強まりを受け、大妻女子大や安田女子大など、従来カバーしていなかった分野へ進出する一方、フェリス女学院大(3→1学部に統合)のように人文・芸術系を統合するなど、「生き残り」を賭けた模索が続いている。
新設大学・学部・学科等の詳細は、案内パンフレットや募集要項などで必ずチェックし、不明の点は入試担当者に問い合わせてほしい。特に、申請時とは名称や定員が変更されている場合があるので、注意してほしい。
ここがポイント
- 情報科学・建築・教員養成系の増設が目立つ
- 女子大で理系を中心とした増設や、改組・統合が活発化
≪PDF≫2025年度/私立大学の新設予定大学・学部・学科一覧(認可申請分+設置届出<4月分>)
この記事は「螢雪時代(2024年9月号)」より転載いたしました。
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