大学入試には、「一般選抜」「学校推薦型選抜」「総合型選抜」と、大きく分けて3つの方式があります。
なかでも、近年、私立大を中心に比率が増えている学校推薦型選抜・総合型選抜について解説します。
どのような入試方式なのかを理解したうえで、自分に合った方式を見極めましょう。
まずは「学校推薦型選抜」「総合型選抜」とはどういった入試なのかを見ていきましょう。
いわゆる“学力”に加えて、高校時代の活動状況や成績、学びに向かう姿勢や意欲、受験生の個性や長所などについて総合的かつ多角的に評価するのが、学校推薦型選抜・総合型選抜の特徴です。
調査書や志望理由書といった書類審査に加えて、試験では小論文や面接が課されるのが一般的で、個別の学力試験(適性テスト・基礎学力テスト・学科試験など)や大学入学共通テスト(以下、共通テスト)を課す大学・学部もあります。
6つのパターンのうちもっとも一般的なのが「③書類審査+小論文(作文)+面接」。また、小論文の出題形式は、大きく、①課題論述型、②文章読解型、③資料分析型、④教科密着型の4タイプに分類される。
5つのパターンのうち多くの大学で見られるのが、「①書類審査+面接」。また、「⑤エントリーシート+面談+書類審査+面接」は私立大の総合型選抜の典型的なパターン。なお、「面談」は大学(面接官)と受験生が互いに質問し合い、理解を深めていくものであるのに対して、「面接」は提出書類に基づき面接官が質問し、受験生が答えるという形式をとるのが一般的。
以前に比べて学力を評価する流れが強まっており、国公立大では学力試験を課すところが多くなっています。私立大では、関西圏を中心に学力試験を課す大学が多い傾向にあります。
また、国公立大、私立大ともに、英語の外部検定試験(英検やTEAPなど)の級やスコアを出願条件の一つにしたり、総合評価に加点したりするケースもあります。
学力試験重視の一般選抜は“試験本番の一発勝負”の傾向が強いのに対して、学校推薦型選抜・総合型選抜は高校1年次からの積み重ねが合否に大きく影響すると言えます。
また、入試のスケジュール(出願・選考時期)も一般選抜に比べて早く、年内に合否が判明するケースが多いことから、“年内入試”と呼ばれることもあります。
とはいえ、「早く合格を決めたい」という気持ちから、安易に学校推薦型選抜・総合型選抜を選ぶのは避けた方がよいことも、忘れないでください。
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近年、学校推薦型選抜・総合型選抜による入学者の割合は増えており、私立大では全入学者の半数を超えています。国公立大ではまだ割合は低いものの、東京大学や京都大学などの難関国立大でも学校推薦型選抜・総合型選抜が実施されており、今後、この傾向はさらに拡大することが予想されます。
学校推薦型選抜・総合型選抜は、大学によっては併願可能なところもあり、うまく調整すれば複数の大学に出願して受験チャンスを広げることが可能です。
一方、不合格になった場合は、年明けに行われる一般選抜を受験することになります。そのため、学校推薦型選抜・総合型選抜志願者であっても一般選抜を想定した受験対策(複数科目の学科試験の対策)を視野に入れる必要があることに留意しておきましょう。
学校推薦型選抜は、指定校制推薦(以下、指定校制)と公募制推薦(以下、公募制)の2種類に大別されます。
指定校制は、基本的に私立大と一部の公立大が実施するもので、大学が指定した高校を卒業した人が出願対象となり、高校1校あたりの人数(枠)が決まっています。そのため、志願者が多い場合は、出願に先立ち校内選考が行われます。
指定校制は基本的に専願で、合格したら必ずその大学に進学することになります。
一方、公募制は、学校長の推薦があり、かつ、出願条件を満たせば、出身高校を問わず誰でも出願できます。なお、受験生自身が特技や資格、能力などをアピールする「自己推薦」は、現在は原則的に総合型選抜に分類されていますが、大学によっては旧来どおりに学校推薦型選抜として実施している場合もあります。募集要項をよく見て確認しておきましょう。
学校推薦型選抜の出願受付は、11月1日以降に始まり、主に11月〜12月にかけて書類選考や面接、小論文といった選抜が行われます。
また、国公立大学の学校推薦型選抜では、共通テストを課すケースもあります。その場合は、合否が決まるのは共通テスト後(2月上旬頃)になります。
学校推薦型選抜では、高校での成績や経験が重視され、一定の成績(評定平均)を取れていないと出願が難しくなります。そのため、高校1・2年次からコツコツと勉強し、定期テストなどで一定の成績を収める必要があります。
調査書の「学習成績の状況」や部活動の実績など、3年間の努力の成果を目に見えるかたちでアピールできる…という人は、学校推薦型選抜に向いていると言えるでしょう。
総合型選抜は、学校長の推薦が必須の学校推薦型選抜とは異なり、出願条件を満たせば誰でも出願することができる方式です。
出願条件は大学・学部により異なりますが、高校の成績や英語の資格(検定のスコア)などが求められることもあります。また、一部の私立大では、学校説明会やオープンキャンパスへの参加が必須(そこで出願のためのエントリーをする)というケースもあります。
総合型選抜の出願受付は、原則的には9月1日以降に始まり、9月〜12月にかけて書類選考や面接といった選抜が行われます。ただし、一部の私立大では9月1日以前に出願のためのエントリー(事前登録)や面談が必要なところもあるため、総合型選抜の受験を検討している人は、各大学のホームページなどで早めに日程をチェックしておきましょう。
また、国公立大の総合型選抜では、共通テストを課すケースもあります。その場合は、合否が決まるのは共通テスト後(2月上旬頃)になります。
総合型選抜では志望理由書や面接が重視され、高校時代に何に力を入れたのか、その経験を通して何を学んだのか、大学ではその学びをどう追究・発展していきたいのか…といったことが問われます。
そのため、探究学習、部活動・委員会活動、課外活動などに、3年間を通して積極的に参画してきた人やアピールできることがある人、大学でやりたいことが明確な人などに、向いている入試方式だと言えるでしょう。
学校推薦型選抜・総合型選抜の情報については、パスナビに掲載している入試動向分析記事「最新年度の 学校推薦型・総合型選抜結果レポート」でも最新の実施結果を調査・集計しているので、ぜひ参考にしてください。
学校推薦型選抜・総合型選抜は、一般選抜に比べて対策がしにくいイメージがあるかもしれませんが、事前準備をしっかりして臨めば、決して怖くはありません。むしろ、志望校の受験チャンスを増やすという点において、挑戦する価値があるという考え方もできます。
学力試験の有無、探究型入試など、近年は学校推薦型選抜・総合型選抜の方式内でも多様化が進んでいるので、自分にはどの入試方式が合っているかをよく考えたうえで、選択してほしいと思います。
一方、大学によっては学校推薦型選抜・総合型選抜を実施していなかったり、難関大学の場合は実施していても狭き門だったりする場合もあるので、入試方式だけで志望校を絞り込むことにはリスクがあります。
今回お伝えした「入試方式(学校推薦型選抜・総合型選抜)」という観点や、以前の記事で紹介した他の観点も含めて、さまざまな角度から志望校を多角的に比較・検討し、自分に合った志望校を探し出してください。
▼パスナビでは「総合型選抜」「学校推薦型選抜」についての特集ページを掲載しています。ぜひ参考にしてみてください。
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