志望校が決まり、ある程度の入試情報を押さえたら、実際にこれまでどのような入試問題が出題されてきたのか、志望校の「過去問」を確認することになります。ただ目を通すだけでいいのか、一度解いてみたほうがいいのか…、さらに、その後の学習では過去問をどのように活用すればいいのか…、今回は「過去問」の活用法について解説します。
志望校の過去問の活用法は、大きく「知る」「演習する」の2つに分けられます。
まずは、「知る」のステージから。志望校を定めたら、直近数年分の過去問に目を通し、出題形式・傾向を押さえましょう。問題はできれば解いてみるとよいですが、この時点では問題のレベルや形式、ボリューム(問題数や問題文の量)などを大まかに把握する程度で構いません。
実際に解いてみて自分の現状の学力とのギャップを知ることも大事ですが、特に志望校を決めたばかりのタイミングでは、出来についてはあまり気にする必要はありません。
過去問集には出題分析や対策の方針も掲載されているので、あわせて読み込んでみることをお勧めします。そうすることで、客観的な情報が得られ、到達すべきレベルを理解しやすくなります。
また、その年の合格最低点も合わせて確認することで、試験の難易度も見えてきます。というのも、大学の個別試験の合格最低点(合格ライン)はさまざまで、平均して6〜7割程度(大学・学部により異なります)、なかには5割台というケースもあるからです。
個別試験では満点を目指す必要はないので、志望校の過去問を見て「こんな難しい問題は自分には解けない…」と落ち込むのではなく、「この問題で何割得点できたら合格できるのか」という視点をもつようにしましょう。
過去問分析から得た情報は、学習計画に活かします。頻出分野があれば重点的に取り組む、記述式問題が多いならその対策を盛り込むなど、志望校の出題形式・傾向に応じて計画を立てましょう。
学習計画についてはこちらの記事も参照してみてください。
【大学受験】はじめの3ステップ
人により時期は異なりますが、一般的に夏休みもしくは秋以降になると、志望校の過去問演習に取り組み始めます。過去問活用における「演習する」のステージです。
過去問演習については、直近5年分を目安に、余裕があればさかのぼって解いてみるとよいでしょう。ただし、大事なのは「量」ではなく「質」であることを忘れずに。いくらたくさん解いても、解きっぱなしでは意味がありません。過去問演習は復習とセットであることを肝に銘じ、「解く」よりも「復習する」に重点を置きましょう。
具体的には、解けなかった問題の解説を読み込み類題を解いてみる、基礎の抜け漏れが明らかになった苦手分野や弱点について教科書・参考書で復習する、少し時間を置いてからもう一度解き直してみるなど、過去問以外の教材も活用しながら粘り強く学習することが大事です。場合によっては、学習計画を修正することも検討しましょう。
秋以降〜入試直前期にかけては、過去問を使って本番の戦略を立てることが重要になります。
時間を測って過去問を解き、解答順序や時間配分のパターンを試行錯誤し、必ず解くべき問題と解けなくても構わない問題(難易度の高い問題)を見極める力を磨いていきます。また、前半の問題でつまずいでも焦らない、解けない問題は深追いせず飛ばすなど、気持ちの切り替え方や本番における心得なども意識しましょう。
第1志望校の過去問に加えて、他大学の過去問を活用するのもおすすめです。
志望校と同レベルの大学の過去問にあたることで、より多くの設問や解法パターンのバリエーションに触れることができ、場数を踏むことができます。入試問題はよく練られた良問が多く、粘り強く取り組むことで、実力を磨くことができるはずです。
このあと紹介する「旺文社 入試正解デジタル」などを使えば、手軽に、かつ、コストをおさえて過去問が入手できるので、志望校以外の大学の過去問にも積極的に取り組んでみましょう。
過去問については、過去問集として書店で発売されている書籍を購入するほか、ウェブサイトで閲覧することもできます。パスナビからも「過去問ライブラリー」「入試正解デジタル」を利用できます。
「パスナビ過去問ライブラリー」では、掲載大学について、過去3年分の過去問が無料で閲覧できます。(個人使用に限り印刷も可。一部の問題は解説・解答なし)
「旺文社 入試正解デジタル」では旺文社が刊行している「全国大学入試問題正解」に掲載されている過去問を大学別に掲載しています。
志望校合格に欠かせないのが、「過去問」の存在です。ただし、闇雲に過去問を解いても、合格は近づいてきません。
まずは志望校の出題形式・傾向を知る、それに基づき学習計画を立てる、夏休み〜秋以降は復習重視型の過去問演習をする、秋〜入試直前期には本番の戦略を立てると、時期やステージに応じて目的をもって活用することが大切です。
今回紹介したように、過去問集を購入するだけでなく、スマホやパソコンでデジタル版過去問を入手するという手段もあります。ぜひ、積極的に過去問を活用し、志望校合格をつかみとってください。
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