河合塾
日髙 昌武 先生
「考える・判断する」 ことの実践を重視する授業を行う予備校講師。「世の中には多様なもののとらえ方があると理解することが、学力の向上につながる」との信念を持って受験生の指導を行っている。
「公共」が加わるなど出題科目が一新された公民科だが、2024年と比較して出題内容に大きな変化はないと予想される。公民選択者には必須となった「公共」は、思考力や資料の読解力の養成がこれまで以上に重視される科目である。一方、2024年までの「政治・経済」でも、そうした能力を試す出題が目立っている。したがって、過去問の演習に取り組むなどの地道な学習が、成功につながるだろう。ただし、2024年は極端に平均点が低かったことが考慮されて、国民所得や国際経済など受験生が苦手とする分野からの出題は少なくなる可能性がある。
※「公共、政治・経済」のうち「公共」の傾向▶対策についてはこちらを参照。
傾向
基本的人権を中心に、人権の国際的保障や平和主義などについても出題されるだろう。人権に関しては、これまで頻繁に出題されてきた、裁判の判決文を掲げた問題が出る可能性は高い。また、インフォームドコンセントなど、生命倫理をめぐる出題にも注意したい。
対策
基本的人権は、それぞれの人権の内容や、「その人権がなぜ必要か?」を確認しておきたい。その際、判例についても学習しておくこと。また、人権条約の内容や、それらを日本政府が批准しているかどうかについても押さえよう。そして、安全保障法制や防衛装備移転三原則など、安全保障政策に関する比較的新しい事柄に関しても知識を定着させておきたい。
傾向
国会や裁判所など、統治機構における頻出のテーマについて出題される可能性が高い。また、2024年に出題されていない各国の政治制度は要注意である。さらに、地域紛争や軍縮など国際政治分野についても、図表を用いつつ深い内容を問う出題が予想される。
対策
統治機構に関しては、日本国憲法の条文を読み込んで、知識にモレがないように努めてほしい。また、「イギリスとアメリカの政治制度を比較する」といった、基本的な学習にも取り組みたい。地域紛争を含め国際政治分野では、国名や地名を学習するときに、資料集に記載されている地図などを用いて、それがどの場所にあるのかを確認すること。
傾向
市場機構や金融・財政など、経済理論への基礎的理解を問う出題が中心となるだろう。図やグラフを用いた問題が多数出題されると想定される。また、外国為替市場のメカニズムに関する出題も予想されるため、解答を導くのに時間のかかる問題が多くなるだろう。
対策
需給曲線を取り上げた出題は応用問題となる可能性が高いので、過去問などを利用して需給曲線についての様々な問題に取り組んでおこう。金融については、日本銀行の金融政策の基本を押さえるとともに、金融緩和政策の見直しなど時事的動向についても理解が必要である。また、為替レートの変動と経済現象との関係についても、しっかりと理解しよう。
傾向
GDPなど国民所得の基礎的理論や、労働・社会保障など、日本経済の現状をめぐる出題が予想される。国民所得については、2024年ほどではなくても計算問題も出るだろう。また、これらに関連して、地域的経済統合など国際経済の現状についても問われる可能性が高い。
対策
三面等価の原則など国民所得の理論については、内容が難しいので取り組みにくいが、共通テストでは定番となっているので、しっかり学習してほしい。労働・社会保障については、制度の内容を正確に押さえていこう。また、国際通貨・貿易体制、地域的経済統合については、戦後の推移と現状に関連する知識を丁寧にマスターしておきたい。
演習開始時期:12月上旬~
目標使用量:5回分
知識はただ覚えるだけではなく、問題を解くことで定着させたい。過去問演習は12月から始めて、自分が会得してきた知識が「問題を解くときに使えるもの」になっているか確認していこう。2024年から遡っていき、少なくとも5回分は演習しておくこと。また、センター試験の過去問も、問われている知識レベルに大きな違いはないので十分活用できる。
共通テストでは、表やグラフが多用される。資料集に記載されている表やグラフを見て、それらが「示している事実」を確認する作業に取り組むとよい。また、思考力・判断力が問われる問題や、問題文・選択肢のボリュームがある問題は、共通テストの予想問題集や模試で出題されている。これらに取り組んで、より実戦的な学力をマスターしよう。
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