公共、政治・経済
河合塾 吉見 直倫 先生
河合塾および河合塾マナビスで公民科目の授業を担当。テキストや模試の作成・出題・監修にも関わっている。著書に『マーク式基礎問題集 公共』『マーク式基礎問題集 政治・経済』(いずれも共著、河合出版)など。
本番を制する解答戦略は?
「公共」と「政治・経済」の予想比率から考えると、「公共」15分、「政治・経済」45分という時間配分が理想だ。特に「公共」の設問は比較的作業量が多くなる傾向にあるが、時間をかけすぎないように注意したい。各大問の冒頭にあるまとめ文(会話文やノートなど)は、じっくりと読まずに下線部を追いかけるだけでも解答可能な場合と、その内容の読み取りを前提とした設問が配置される場合がある。前者か後者かを見極めてから、臨機応変に対応するとよい。
本番解答術 おすすめ!TOP1
会話文・資料文・数値資料は焦らずに読み取る
会話文の流れに沿って空欄に入る記述を判断する設問や、資料文の内容に適合する記述を選ぶ設問、数値資料の内容を読み取って各選択肢の適・不適を判断する設問は、正答率が高くなる傾向にある。しかし、この種の設問は、正解を導くまでにかかる時間が知識重視型の設問よりも長くなりやすい。時間に制約があるのでプレッシャーがかかるところだが、速く解こうと焦ってはいけない。読み取りには時間がかかることを承知のうえで取り組むようにしよう。
本番解答術 おすすめ!TOP2
各種資料は特徴的な変化に注意して読み取る
初見の(教科書には載っていない)数値資料は、必ず出題されるだろう。この種の資料と対峙する際には、特徴的な変化(ある年を境に急増・急減するなど)に注目すること。多くの場合、「その特徴的な変化の背景には何があるかを、教科書で学んだことをもとに判断してほしい」という出題意図が隠されており、正解を導くヒントとなるからだ。文章資料においても、「しかし」「ただし」などの接続表現に注意し、その内容を的確に読み取るように努めたい。
本番解答術 おすすめ!TOP3
マーキングを有効活用して、効率よく解答する
複数の資料とそれらに関する会話文を示すなど、作業量の多い設問が出題される可能性は高い。この種の設問を効率よく攻略するために、かつケアレスミスを防ぐために、マーキングをすすめたい。例えば内容を示すために、資料1には「□」、資料2には「△」、資料3には「☆」を付すなど、各資料と会話文の一致箇所がひと目でわかるようにすると効果的だ。また、短文正誤判断には「〇」「×」、最後に再考したい設問には「?」の印を付けるとわかりやすい。
要注意!共通テスト本番の痛いミス
設問が示す条件を読まず、即座に解答を選択する
速く解こうとして資料や数値を読み違える
設問中にある解法のヒントを見落とす
1つの選択肢の判断にこだわりすぎて時間をロス
計算すれば確実なのに、計算を省略して失敗する
プロのおすすめ!得点が伸びる直前対策はこれ!
TOP1
資料・図解・年表・憲法条文を復習する
教科書を用いて、図解(フローチャート、まとめ表など)や憲法条文などを集中的に復習すると非常に効果的だ。
TOP2
羅列型の知識事項を整理・再確認する
下級裁判所の種類、選挙の基本原則、国際収支の項目など、羅列型の知識事項を整理し再確認しておこう。
TOP3
教科書に登場する人物を総ざらいする
「公共」(倫理思想)と「政治・経済」の教科書で扱われる人物について、見落としがないか点検しておこう。
最後は日ごとにテーマを立て、教科書を見直して仕上げる
共通テストまでの30日、最初の約3週間は過去問や予想問題の演習に取り組み、出題形式に慣れるとともに時間配分の感覚を身につけよう。また、これらの問題演習と並行して、本番直前に確認すべき項目をリストアップしておくとよい。本番直前の約1週間は、教科書中心の総点検を行おう。「問題演習時にリストアップした要確認項目をチェックする」「徹底的に統計資料や図解を見直す」「裁判所の判例を振り返る」「日本国憲法の条文を読む」「重要な出来事の内容・年号・年代の把握に努める」「教科書に登場する人物を総ざらいする」「課題探究のページを読む」など、日ごとにテーマを立てて教科書を見直す方法をおすすめしたい。
この記事は「螢雪時代(2025年1月号)」より転載いたしました。
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