河合塾 鹿子島 康二 先生
現代文を中心に、国語科全般の授業を担当。モットーは「語学の才能=努力」で、わかりやすい指導は定評がある。『螢雪時代』特集記事の執筆のほか、「大学受験パスナビ」では入試問題の解説を執筆。
2025年は実用的文章が導入されるが、その他の各設問にはレベル差がなく、全体としてやや易化することが予想される。したがって、まずは実用的文章に取り組むタイミングを決め、その他は自分の得意な順番で解答するとよい。各大問では知識問題が配点の30~40%ほどを占めるので、まずはこの知識事項についての設問を片づけよう。また、マーク記入のタイミングも大事。マークミスを防ぐためには、適度にこまめに記入するのがおすすめだ。
本番解答術 おすすめ!TOP1
ルーティン化した手順でマークし、ズレを防止する
2025年の試験は、新課程初年度であることに加え、実用的文章の導入という大変革が行われる。そのため、解答順序を予定から変更せざるを得ないといった事態も考えられる。こうしたときにマークのズレが起こりやすい。そこで、例えば「大問を解き終わるごとにマークを記入する」など、事前にルーティンとして固定した手順で記入しよう。マークのズレは大きな失点につながるので、事前の演習でもあえて解答順を変えて、ミスが生じないか試しておこう。
本番解答術 おすすめ!TOP2
選択肢を輪切りにし、横並びにチェックする
各選択肢は、いくつかのパートから成り、各パートを横並べにして照合できる構成になっている。長い選択肢でも、読点ごとに輪切りにして比較・検討すれば、解答を早く正確に導ける。その際、誤りの選択肢を見極めるポイントは、次の6つ。①対比されるキーワードが逆、②主語・述語・目的語の関係が誤り、③前提・結果の関係が誤り、④否定の領域の逸脱あるいは不足、⑤修飾や条件などの誤り、⑥本文から逸脱(評論文以外は、②~⑥を吟味する)。
本番解答術 おすすめ!TOP3
図・資料類は、設問指示に即して目を通す
共通テストでは、各大問や設問に補助的な課題文や図・資料が付される。これらはどれもが同程度に重要というわけでなく、すべてを最初から熟読していくと時間不足に陥る。したがって、必ず各設問の指示に即して目を通し、用いるようにしたい。特に実用的文章では、情報量が膨大なので、設問が求める項目を探し出すのに時間を要することに注意しよう。この際、欄外に添えられた情報(資料のタイトルやデータの採集年度など)にも注意を払いたい。
本番解答術 おすすめ!TOP4
表現についての設問は、趣旨との関係を確認する
実用的文章以外の大問では、表現意図や表現の特徴を問う設問で点差がつきやすい。これらの選択肢は、「〔1〕という表現は、〔2〕という内容を説明している」という形になる。〔1〕の表現パートだけでなく、〔2〕の内容パートの説明が趣旨(和歌や漢詩であれば前後の文脈)に照らして正しいかを吟味しよう。さらに、〔1〕・〔2〕のパートが正しく結び付くかどうかにも注意したい。例年、読点前後の論理が破綻している引っかけの選択肢が出題されている。
本番解答術 おすすめ!TOP5
メモや会話にある手がかりを探し、問いの狙いをつかむ
共通テスト特有のメモを完成させる問題や会話文型の問題などは、実用的文章以外の各大問で出題が予想される。こうした出題はアクティブ・ラーニング(能動的学修)を目的とする側面があり、設問を介して能動的に他者と関わり、問題を解決する能力を問う狙いがある。そのため、メモ(多くは設けられた空欄の前後)や会話のところどころに解答の手がかりが設けられており、それらを見いだして問いの狙いを把握することで解答が容易になる。
普段と解答順を変えて、マークのズレを引き起こす
解答に関係ない資料を熟読し、時間をロスする
普段の解答順に固執して、時間切れで完答を逃す
難問で迷って時間を浪費し、解ける問題を落とす
マークの最終確認ができず、余計な不安を残す
TOP1
古文・漢文の基礎知識を再確認する
古文・漢文では、知識問題の配点が例年45~55%を占める。この得点を確保できるよう、基礎知識を補強しよう。
TOP2
1年分=90分5題の通し演習をする
実用的文章などの大変革に対応するため、予想問題や模試を利用して時間配分などの戦略を確認しておこう。
TOP3
センター試験の過去問を活用する
実用的文章以外の問題は、センター試験の体裁に近づくと予想される。過去問を対策に役立てよう。
共通テストでは、漢字問題、古文単語・解釈を問う問題、漢文の構文や句形の知識を問う問題などが必ず出題される。こうした知識問題の配点を合計すると、例年60~80点に達する。直前の30日では、まず今まで用いてきた基礎問題集を見直して、これらの知識を確認・補強したい。また、表現意図や表現の特徴を問う問題(第1・2問)、論の進め方の問題や傍線部についての具体例の問題(第1問)、詩・和歌・漢詩の解釈・鑑賞の問題(第2・4・5問)など、「表現」についての問題は全体で40~60点になる。さらに、2025年は第3問に実用的文章が加わる。これらの問題を攻略できるかも高得点のカギを握る。試験までに十分な演習を行うとともに、復習として解いた問題の解説を熟読しよう。こうして攻略法を体得していくのが、最も効率的な対策と言える。
例年の配点を見ると、知識問題と表現について問う問題の配点が全体の50~70%を占めている。まずは、これらを最優先で攻略しよう。それができれば、得点率は75%以上に達するはずだ。さらに、実用的文章の対策を十分に行うことができれば、90%も射程に入る。
このレベルの受験生の最後の詰めは、実用的文章の対策と盲点の点検がカギ。実用的文章の対策としては、模試や予想問題を演習するとともに、その解説を熟読するとよい。盲点が生じやすいのは、表現についての問題だ。センター試験の過去問も利用して、攻略法を探ろう。
この続きを読むには
に登録(無料)が必要です
さらに旺文社のサービスで
この他にも便利な機能が!
詳しくはこちら