何を学ぶ
実験、観察、調査、面接などの客観的な手法を用いて、データを収集・解析することで、人間の心や行動の普遍的な法則性を見いだし、体系化する学問。

外山 美樹(とやま みき)先生
筑波大学/心理系/教授
1973年、宮崎県に生まれる。筑波大学大学院心理学研究科退学。博士(心理学)。専攻は教育心理学。趣味は旅行。著書に『勉強する気はなぜ起こらないのか』『行動を起こし、持続する力-モチベーションの心理学』など。
心理学とは何か?
「人はどのように考え、行動しているのだろう?」「人はどうして愛し合ったり、傷つけ合ったりするのだろう?」「傷ついた心を癒すにはどうしたらいいのだろう?」「自分はどんな性格の人間で、どんな人とならうまくいくのだろう?」……。
皆さんのなかには、こんな疑問を日々の生活のなかで抱き、その答えを心理学のなかに見つけられると期待している人もいるだろう。こうした皆さんの疑問に100パーセントではないけれど、かなり詳しい答えを現代の心理学は用意している。
心理学(psychology)の語源は、古代ギリシャ語で「心」や「魂」を意味するプシュケ(psyche)と、「法則」や「学問」を意味するロゴス(logos)である。それが示している通り、心理学は「心の法則に関する学問」である。
心理学は、哲学に源流があり、かつての心理学は哲学の一分野としてとらえられていた。その後の心理学の進展は、ドイツのヴント(Wundt、 W.)が1879年にライプチヒ大学に世界初の大規模な心理学実験室を創設したことにある。これをきっかけに、心理学は科学的な学問として、研究されるようになった。
先に、心理学は「心の法則に関する学問」と説明したが、「心」自体は目に見えないものなので、それを直接観察することはできない。そこで心理学では、心の働きを、客観的に観察できる「行動」を対象として、行動の法則を明らかにすることで、目に見えない「心」をより深く理解しようと試みる。
そのため、現代の心理学は、「行動と心的過程についての科学的学問」や「心や行動の科学を研究する学問」と考えられている。そして、下に示した実験法や観察法、質問紙法といった客観的な手法を用いて、データを収集・解析し、そこから人間の行動の普遍的な法則性を見いだし、体系化するのが現代の心理学の基本となっている。
このように、現代心理学の最大の特徴は、心の働き(行動)についてのデータを科学的な方法で集め、分析し、心や行動の現象を正確に記述し、その法則性を明らかにしようとするところにある。
こうして見ると、心理学は文科系学問と理科系学問の両方の性格を併せ持った学問と言える。したがって、心理学に向いている人は、人間に関心があって、なおかつ、人間をある程度客観的に見ることができる人で、学習面では、文系・理系ともにバランスがとれている人と言えるだろう。
皆さんのなかには、こんな疑問を日々の生活のなかで抱き、その答えを心理学のなかに見つけられると期待している人もいるだろう。こうした皆さんの疑問に100パーセントではないけれど、かなり詳しい答えを現代の心理学は用意している。
心理学(psychology)の語源は、古代ギリシャ語で「心」や「魂」を意味するプシュケ(psyche)と、「法則」や「学問」を意味するロゴス(logos)である。それが示している通り、心理学は「心の法則に関する学問」である。
心理学は、哲学に源流があり、かつての心理学は哲学の一分野としてとらえられていた。その後の心理学の進展は、ドイツのヴント(Wundt、 W.)が1879年にライプチヒ大学に世界初の大規模な心理学実験室を創設したことにある。これをきっかけに、心理学は科学的な学問として、研究されるようになった。
先に、心理学は「心の法則に関する学問」と説明したが、「心」自体は目に見えないものなので、それを直接観察することはできない。そこで心理学では、心の働きを、客観的に観察できる「行動」を対象として、行動の法則を明らかにすることで、目に見えない「心」をより深く理解しようと試みる。
そのため、現代の心理学は、「行動と心的過程についての科学的学問」や「心や行動の科学を研究する学問」と考えられている。そして、下に示した実験法や観察法、質問紙法といった客観的な手法を用いて、データを収集・解析し、そこから人間の行動の普遍的な法則性を見いだし、体系化するのが現代の心理学の基本となっている。
このように、現代心理学の最大の特徴は、心の働き(行動)についてのデータを科学的な方法で集め、分析し、心や行動の現象を正確に記述し、その法則性を明らかにしようとするところにある。
こうして見ると、心理学は文科系学問と理科系学問の両方の性格を併せ持った学問と言える。したがって、心理学に向いている人は、人間に関心があって、なおかつ、人間をある程度客観的に見ることができる人で、学習面では、文系・理系ともにバランスがとれている人と言えるだろう。
心理学の各分野
心理学を分類することは難しい。それは、心理学が多岐に渡る学問だからである。まず、心理学は、基礎心理学と応用心理学に大別される。基礎心理学とは、科学的経験主義の立場から実験・観察・調査等の方法によって一般法則の探求を推し進めるものである。一方、応用心理学は、基礎心理学の知見を生かして現実生活上の問題の解決や改善に寄与するものである。
さらに、下位のカテゴリーとして、さまざまな心理学の分野があるが(図「心理学の分野」を参照)、ここではその中でも代表的な8つの心理学の分野を紹介する。
❶認知心理学
人は何かに対面したとき、目や耳などの五感で得た情報を脳に送ることによって、その物が何であるかを理解する。外界にあるものを絶えず知覚し、理解し、状況を知るこの働きを認知と言う。
認知心理学は、情報処理の観点から、人間の認知活動を研究する学問である。知覚・理解・記憶・思考・学習・推論・問題解決など、人間の高次認知機能を研究対象とする。
❷学習心理学
学習心理学でいうところの「学習」は、「勉強」という意味よりもかなり広く、経験による行動の変化を指す。つまり、学習心理学とは、人間を含む動物が、経験を通して行動を変容させていく過程を研究する学問である。学習心理学の研究には、主として動物を対象として行われた条件づけの研究と、人間の記憶の研究という大きな2つの流れがある。
❸発達心理学
受精から誕生そして死に至るまで、人が一生涯を送るなかで、人の心のさまざまな働きがどのように変化していくのか、またそうした変化がどのような要因によって左右されるのかを明らかにする学問である。
発達段階に対応して、「乳児心理学」「幼児心理学」「児童心理学」「青年心理学」「老年心理学」などの分野がある。
❹社会心理学
人と人との関わりや組織・集団にまつわる心理現象について扱う分野である。
他者の行動についての情報から、他者のパーソナリティを推論する過程(対人認知)、他者への援助や攻撃などの対人行動、他者とのコミュニケーションや他者との人間関係、他者の存在の行動への影響などのテーマについて研究される。
❺臨床心理学
心や行動の不調から環境への適応が難しくなった人に対して、心理学の立場から支え、心や行動の不調を改善・解消することを目指す分野である。
臨床心理学は、人間の行動がどのように維持・発展されるかについての科学的探究に関わる科学性と、人間の苦悩を生み出す状況を改善し、問題を解決していく臨床実践に関わる実践性の両者から構成される学問である。
❻教育心理学
教育心理学は、教育過程の諸現象を心理学的に明らかにし、効果的な教育の方法を見つけ出そうとする学問である。教育の場面に現れる問題を心理学の見地から解釈し、実際の教育に応用しようとする。わかりやすく言うと、心理学を用いて教育をより良いものにするための学問である。
❼学校心理学
学校教育において一人ひとりの子どもが学習面、心理・社会面、進路面、健康面などにおける課題の取り組みの過程で遭遇する問題状況の解決を援助し、子どもの成長を促進する「心理教育的援助サービス」の理論と実践を支える学問である。
❽産業心理学
産業活動に従事する人間の諸問題を心理学的に研究し、問題解決に役立てようとする学問である。最適な人材配置、仕事のパフォーマンスを高める要素、人間が仕事をすることによる経済効果の3つを主な対象として研究を進めている。
さらに、下位のカテゴリーとして、さまざまな心理学の分野があるが(図「心理学の分野」を参照)、ここではその中でも代表的な8つの心理学の分野を紹介する。
❶認知心理学
人は何かに対面したとき、目や耳などの五感で得た情報を脳に送ることによって、その物が何であるかを理解する。外界にあるものを絶えず知覚し、理解し、状況を知るこの働きを認知と言う。
認知心理学は、情報処理の観点から、人間の認知活動を研究する学問である。知覚・理解・記憶・思考・学習・推論・問題解決など、人間の高次認知機能を研究対象とする。
❷学習心理学
学習心理学でいうところの「学習」は、「勉強」という意味よりもかなり広く、経験による行動の変化を指す。つまり、学習心理学とは、人間を含む動物が、経験を通して行動を変容させていく過程を研究する学問である。学習心理学の研究には、主として動物を対象として行われた条件づけの研究と、人間の記憶の研究という大きな2つの流れがある。
❸発達心理学
受精から誕生そして死に至るまで、人が一生涯を送るなかで、人の心のさまざまな働きがどのように変化していくのか、またそうした変化がどのような要因によって左右されるのかを明らかにする学問である。
発達段階に対応して、「乳児心理学」「幼児心理学」「児童心理学」「青年心理学」「老年心理学」などの分野がある。
❹社会心理学
人と人との関わりや組織・集団にまつわる心理現象について扱う分野である。
他者の行動についての情報から、他者のパーソナリティを推論する過程(対人認知)、他者への援助や攻撃などの対人行動、他者とのコミュニケーションや他者との人間関係、他者の存在の行動への影響などのテーマについて研究される。
❺臨床心理学
心や行動の不調から環境への適応が難しくなった人に対して、心理学の立場から支え、心や行動の不調を改善・解消することを目指す分野である。
臨床心理学は、人間の行動がどのように維持・発展されるかについての科学的探究に関わる科学性と、人間の苦悩を生み出す状況を改善し、問題を解決していく臨床実践に関わる実践性の両者から構成される学問である。
❻教育心理学
教育心理学は、教育過程の諸現象を心理学的に明らかにし、効果的な教育の方法を見つけ出そうとする学問である。教育の場面に現れる問題を心理学の見地から解釈し、実際の教育に応用しようとする。わかりやすく言うと、心理学を用いて教育をより良いものにするための学問である。
❼学校心理学
学校教育において一人ひとりの子どもが学習面、心理・社会面、進路面、健康面などにおける課題の取り組みの過程で遭遇する問題状況の解決を援助し、子どもの成長を促進する「心理教育的援助サービス」の理論と実践を支える学問である。
❽産業心理学
産業活動に従事する人間の諸問題を心理学的に研究し、問題解決に役立てようとする学問である。最適な人材配置、仕事のパフォーマンスを高める要素、人間が仕事をすることによる経済効果の3つを主な対象として研究を進めている。
大学でのカリキュラム
現在の日本の大学では、多くの場合、文学系または教育系の学部の一学科として設置されている。文学系の学部では、認知心理学や学習心理学などの基礎心理学が中心であり、教育系の学部においては、教育心理学や臨床心理学といった応用心理学が中心である。
最近では、学部・学科名に社会、国際、福祉、人間といった言葉を入れている大学も多いが、これらはいずれも応用心理学が中心となる。
カリキュラムの細部は学部や学科によっても異なるが、標準的な文学系学部の心理学科のカリキュラムはおよそ以下の通りである。
1・2年次には入門的な心理学概論、実習科目の心理学基礎実験、心理統計などの基礎的な科目を必修科目として学ぶ。2・3年次になると、心理学の各専門分野の講義科目と、比較的少人数での演習科目を、選択科目や選択必修科目として履修する。
演習科目では、その分野の専門的な書籍や論文を分担して読むといった形をとることが多い。また、3年次には卒業論文のトレーニングを兼ねて、数人のグループで、テーマを決めて実験や調査を行い、データを分析してレポートにまとめるといった科目(心理学研究法)を必修科目として設けているところも少なくない。
そして一般的に4年次には特定の教員の研究室に所属して卒業研究を行う。ほとんどの場合は必修科目であるが、学生が1つのテーマを選び、それについて過去の研究を調べ、独自の実験や調査を行い論文としてまとめる形をとる。(下表「カリキュラム体系(筑波大学心理学類の例)」参照)
なお、後述する公認心理師の受験資格を得るためには、大学の学部、大学院で文部科学省・厚生労働省の省令で定められた科目を修得しなければならない。これらの科目については、厚生労働省のホームページに掲載されている「公認心理師のカリキュラム等について」(PDFファイル)を参照のこと。
最近では、学部・学科名に社会、国際、福祉、人間といった言葉を入れている大学も多いが、これらはいずれも応用心理学が中心となる。
カリキュラムの細部は学部や学科によっても異なるが、標準的な文学系学部の心理学科のカリキュラムはおよそ以下の通りである。
1・2年次には入門的な心理学概論、実習科目の心理学基礎実験、心理統計などの基礎的な科目を必修科目として学ぶ。2・3年次になると、心理学の各専門分野の講義科目と、比較的少人数での演習科目を、選択科目や選択必修科目として履修する。
演習科目では、その分野の専門的な書籍や論文を分担して読むといった形をとることが多い。また、3年次には卒業論文のトレーニングを兼ねて、数人のグループで、テーマを決めて実験や調査を行い、データを分析してレポートにまとめるといった科目(心理学研究法)を必修科目として設けているところも少なくない。
そして一般的に4年次には特定の教員の研究室に所属して卒業研究を行う。ほとんどの場合は必修科目であるが、学生が1つのテーマを選び、それについて過去の研究を調べ、独自の実験や調査を行い論文としてまとめる形をとる。(下表「カリキュラム体系(筑波大学心理学類の例)」参照)
なお、後述する公認心理師の受験資格を得るためには、大学の学部、大学院で文部科学省・厚生労働省の省令で定められた科目を修得しなければならない。これらの科目については、厚生労働省のホームページに掲載されている「公認心理師のカリキュラム等について」(PDFファイル)を参照のこと。
進路・資格
心理学関係の多くの卒業生は、直接的には心理学とは関係がない職業(サービス業、製造業、出版業など)に就職することが多い。しかし、「心理学とは何か?」で紹介した通り、心理学は人間について学ぶ学問であるため、心理学の知識を備えた人材は、業種・職種を問わずさまざまな企業で活躍できる可能性があると言えるだろう。
公務員の心理職や家庭裁判所の調査官、鑑別所の心理判定員、少年院の法務教官などは、大学卒で就職できる心理学の専門を直接生かせる職種である。また、最近では、専門性をさらに高めるために大学院に進学する人が増加している。
大学院は2年で修了する修士課程と、これを終えた後に進む3年の博士課程がある。比較的大きな総合大学には積み上げ式にこの2つの課程が設置されている。
修士(博士前期)課程は高度な専門性を持った職業人を養成することが主たる目的である。公認心理師や臨床心理士の養成コースにおいては、これに相談機関や施設、病院などでの臨床実習が加わるので忙しい。
大学教員などの研究職を目指す者は修士号を取得したのち、さらに博士 (後期) 課程に進学する。ここでは主に指導教員の下で各自の研究を推し進め、博士号の取得を目指す。
なお、以下に心理学分野の資格をいくつか紹介しておく。
●公認心理師(国家資格)
2017年9月に施行された公認心理師法で定められた心理の国家資格。保健医療、福祉、教育その他の分野で、心理学に関する専門知識および技術をもって心理的支援を必要とする人々への相談・助言・指導、アセスメントなどの援助を行う。
基本的には、文部科学省・厚生労働省が定めた心理学諸科目と公認心理師になるために必要な科目を修めて大学の学部を卒業(卒業後、実務経験2年以上が必要、または公認心理師になるために必要な科目を修めて大学院を修了)した人だけが受験資格を得られ、国家試験に合格すれば取得できる。詳細については、厚生労働省または一般財団法人日本心理研修センターのホームページ(https://www.jccpp.or.jp)を参照。
●臨床心理士(公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会)
資格認定協会が指定した大学院修士課程の修了により、資格取得試験の受験資格が得られる。臨床心理士は、病院の精神科の心理士や文部科学省実施の小・中学校のスクールカウンセラーをはじめとして、多くの分野で心理臨床を行っている。
公務員の心理職や家庭裁判所の調査官、鑑別所の心理判定員、少年院の法務教官などは、大学卒で就職できる心理学の専門を直接生かせる職種である。また、最近では、専門性をさらに高めるために大学院に進学する人が増加している。
大学院は2年で修了する修士課程と、これを終えた後に進む3年の博士課程がある。比較的大きな総合大学には積み上げ式にこの2つの課程が設置されている。
修士(博士前期)課程は高度な専門性を持った職業人を養成することが主たる目的である。公認心理師や臨床心理士の養成コースにおいては、これに相談機関や施設、病院などでの臨床実習が加わるので忙しい。
大学教員などの研究職を目指す者は修士号を取得したのち、さらに博士 (後期) 課程に進学する。ここでは主に指導教員の下で各自の研究を推し進め、博士号の取得を目指す。
なお、以下に心理学分野の資格をいくつか紹介しておく。
●公認心理師(国家資格)
2017年9月に施行された公認心理師法で定められた心理の国家資格。保健医療、福祉、教育その他の分野で、心理学に関する専門知識および技術をもって心理的支援を必要とする人々への相談・助言・指導、アセスメントなどの援助を行う。
基本的には、文部科学省・厚生労働省が定めた心理学諸科目と公認心理師になるために必要な科目を修めて大学の学部を卒業(卒業後、実務経験2年以上が必要、または公認心理師になるために必要な科目を修めて大学院を修了)した人だけが受験資格を得られ、国家試験に合格すれば取得できる。詳細については、厚生労働省または一般財団法人日本心理研修センターのホームページ(https://www.jccpp.or.jp)を参照。
●臨床心理士(公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会)
資格認定協会が指定した大学院修士課程の修了により、資格取得試験の受験資格が得られる。臨床心理士は、病院の精神科の心理士や文部科学省実施の小・中学校のスクールカウンセラーをはじめとして、多くの分野で心理臨床を行っている。



