何を学ぶ
ドイツ語をベースに言語から地域研究まで多様な学問を専攻できる学際領域。EU内のドイツ語圏の重要性は依然として高い上、ドイツ語は英語に近く、併修しやすい言語である。

上村 敏郎(うえむら としろう)先生
早稲田大学/教育・総合科学学術院/教授
1979年、福岡県生まれ。ウィーン大学博士課程修了。筑波大学特任研究員、獨協大学外国語学部教授を経て現職。専攻は西洋史。著書に『ハプスブルク史研究入門』(共著)、訳書に『検閲官のお仕事』『フリーメイソンの歴史と思想』など。
EUで学ばれるドイツ語
EU27か国で現在もっとも使用している人の多い言語がドイツ語である。ドイツ、オーストリア、スイスを中心に約1億人によって使用されている。ゲーテインスティトゥートによれば、世界で約1550万人がドイツ語を学んでおり、ヨーロッパではドイツ語は主要言語の1つとして存在感を発揮している。
日本と馴染みの深いドイツ語
日本ではどうだろうか。ドイツ語と日本の付き合いは案外古い。日本で本格的にドイツ語が学ばれるようになったのは、明治期の国作りがドイツ帝国を模範としたからであり、1881年にはドイツ文化の移植を目指す獨逸学協会が設立されるほどだった。また当時のドイツは科学先端国の1つだった。医学用語にドイツ語由来の言葉(カルテやギプスなど)が残っているのもかつてのドイツ語(による)学習の名残である。
その頃に比べると、現在、独日関係は淡泊に感じられるが、ドイツ文化は日本の中にしっかりと息づいている。マンガやアニメにはドイツモチーフのキャラクターや場所が登場する(『葬送のフリーレン』など)。各地でオクトーバーフェストも開催され、バウムクーヘンやクリスマス菓子シュトレンも日本に定着している。探せば、もっと身近なドイツ文化は見つかるだろう。
その頃に比べると、現在、独日関係は淡泊に感じられるが、ドイツ文化は日本の中にしっかりと息づいている。マンガやアニメにはドイツモチーフのキャラクターや場所が登場する(『葬送のフリーレン』など)。各地でオクトーバーフェストも開催され、バウムクーヘンやクリスマス菓子シュトレンも日本に定着している。探せば、もっと身近なドイツ文化は見つかるだろう。
ドイツ語学科で学ぶこと
ドイツ語学科と聞くと、ドイツ語を話せるようになることが目的だと勘違いをする人が多い。だが語学はあくまでも手段であり、目的は、ドイツ語を使ってドイツ語圏の文化・歴史・社会を原語に近い距離で理解し、自分がそこに見出した問題について考えてみることなのだ。たとえば、ハプスブルク君主国(オーストリア)の歴史を専門とする私の授業では、学生たちがドイツ語の文献を読んでハプスブルク史を学ぶ。地域研究をやろうと思ったとき、日本語だけでは本当に知りたいことにアクセスできないことが多いが、現地の言葉であれば、知りたい情報にアクセスできる可能性は高くなる。ドイツ語は知の地平を広げるための鍵である。ドイツ語学科には、ドイツ語教育の専門家だけでなく、ドイツ語圏の文学、歴史、社会、思想、芸術などさまざまな研究者が所属し、各自の専門に基づいた授業を展開していることがわかるだろう。
ドイツ語学科のカリキュラム
ここで、日本最大のドイツ語学科を擁する獨協大学を例に、カリキュラムについて紹介しよう。ドイツ語は多くの人にとって初習言語であるため、1年次は文法を一通り学ぶことでドイツ語の大枠を理解するとともに、4技能をバランスよく鍛えながら運用の基礎を集中的に固める。合わせてレポート作成や発表、資料の探し方など、アカデミックスキルも段階的に身につける。
2年次からは、テーマを立ててドイツ語で学習するCLIL形式の授業や講義・演習を通じて、文化や歴史などへの理解を深める学びへと移行していく。
3年次からは、これまでに学んだドイツ語を使って文献や史料を読み、討議し、少人数ゼミでじっくりと研究活動に取り組む。このほかにもカリキュラムと連動してドイツにおける短期語学研修やインターンシップ、留学などで実践的なドイツ語を学ぶ機会が設けられている。要するに、語学の訓練をゴールにせず、探究のための道具に育てていく設計になっている。
2年次からは、テーマを立ててドイツ語で学習するCLIL形式の授業や講義・演習を通じて、文化や歴史などへの理解を深める学びへと移行していく。
3年次からは、これまでに学んだドイツ語を使って文献や史料を読み、討議し、少人数ゼミでじっくりと研究活動に取り組む。このほかにもカリキュラムと連動してドイツにおける短期語学研修やインターンシップ、留学などで実践的なドイツ語を学ぶ機会が設けられている。要するに、語学の訓練をゴールにせず、探究のための道具に育てていく設計になっている。
ドイツ語を学んで何につながるのか?
近年、グローバル化が進み、英語が世界共通語として使用されるようになり、コミュニケーション言語としてドイツ語を使用する機会は以前よりも減っているかもしれない。
しかし、ドイツ語圏の文化について関心を持っている人にとって、ドイツ語を学ぶことは情報へのアクセスを質的に変える。現地のメディアや研究の最前線に触れられるからである。また、明治期からの知的系譜を追うためにもドイツ語学習は有用だろう。大学院進学を視野に入れるなら、学部でドイツ語を鍛えるという戦略は有効な選択肢になる。
学術的なメリット以外では、EU最大というドイツの経済力から、将来ヨーロッパに住んでみたいのであれば、ドイツ語は有力な選択肢になる。また、日本においてドイツ語を実際に使用する場面はほとんどないが、在日ドイツ系企業に対して、英語+1としてドイツ語ができることはアピールになる。在日ドイツ商工会議所のHPでは、日本人への求人情報があるが、基本的にドイツ語が使えることが前提である。ヨーロッパとの関係では、ドイツは最重要国であり、ドイツ語の重要性は依然高い。
しかし、ドイツ語圏の文化について関心を持っている人にとって、ドイツ語を学ぶことは情報へのアクセスを質的に変える。現地のメディアや研究の最前線に触れられるからである。また、明治期からの知的系譜を追うためにもドイツ語学習は有用だろう。大学院進学を視野に入れるなら、学部でドイツ語を鍛えるという戦略は有効な選択肢になる。
学術的なメリット以外では、EU最大というドイツの経済力から、将来ヨーロッパに住んでみたいのであれば、ドイツ語は有力な選択肢になる。また、日本においてドイツ語を実際に使用する場面はほとんどないが、在日ドイツ系企業に対して、英語+1としてドイツ語ができることはアピールになる。在日ドイツ商工会議所のHPでは、日本人への求人情報があるが、基本的にドイツ語が使えることが前提である。ヨーロッパとの関係では、ドイツは最重要国であり、ドイツ語の重要性は依然高い。

