何を学ぶ
外国語の習得を目指す。言語と同時にその背景となる文化、社会、地域、歴史等について学びながら、個別の言語が持つ多様性や、言語一般の普遍的な特徴に関する理解を深める。

大谷 直輝(おおたに なおき)先生
東京外国語大学/大学院総合国際学研究院/准教授
1979年愛知県生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科単位取得満期退学。博士(人間・環境学)。専門は英語学(認知言語学、構文文法)。著書に『ベーシック英語構文文法』、『スーパーアンカー英和辞典』(編集委員)などがある。
外国語学部とは
外国語大学という名称は英語でどのように訳されるだろう。予想に反して(?)…University of Foreign Languagesではなく、… University of Foreign Studiesと訳される。外国「語」大学ではなく、外国「学」大学ということだ。外国語系大学(学部)では、1つの外国語を選んで専攻し、それに習熟した上で、その言葉が話される地域の歴史、文化、社会、あるいは政治経済などを研究することにより、世界のなかのその地域の総合的なスペシャリストになることを目指す。その昔、外国語系大学(学部)の使命は、特定の外国語や文化を学び、情報を日本に取り入れることであった。また、海外の特定の国や地域において、経済・商業の分野で活躍をすることも長年、卒業生の担ってきた任務であった。現在も当然その伝統は続いている。しかし、グローバル化が進んだ現代では、1つの国や地域に、1つの民族が住み、1つの言語を話すというようなステレオタイプ的な見方は通用しなくなりつつある。さまざまな民族・文化・言語的な背景を持つ人々が、それぞれの価値観を掲げ、対立と調和を繰り返しながら1つの地域で共に生きる現代においては、異文化間を行き来しながらさまざまな局面に柔軟に対応する柔軟性も必要となる。そのためには、特定の地域や言語を深く学ぶだけでなく、それらを相対化できる視野と知識を持たねばならない。こうした新たな状況に対応できる人材を育成することが現在の外国語系大学(学部)に求められる目標になっている。
確かな語学力をつける
外国語系大学(学部)では、専攻する言語の運用能力を身につけ、磨いていくことが第1の課題となる。入学する人たちには外国(語)好きが多いことは確かだ。これまで中学・高校を通じて学んだ英語をどのように身につけたか思い出してみよう。毎日読んだり、書いたり、会話をしたりじっくり6年かけて覚えた。学校だけでなく、テレビやインターネット上の動画を見たり、語学学校などで特別に会話のクラスに参加した人もいるだろう。さまざまな機会を利用して英語に接し、大学受験の頃には相当の英語力にまで達しているだろう。外国語系大学(学部)に入り、新しい言語をはじめるのであるが、これまでのような時間的余裕はない。外国語系大学(学部)に入学したからといって、自然に語学力が備わっていくことはないし、外国へ留学しているときのように24時間その言語に囲まれていることも当然ない。多くの外国語系大学(学部)では、4年間のうち専攻外国語の習得を最初2年に集中し、後半の2年はその言語を通して、より専門的な学問へと導く。2年を終えた時点で、その言語で書かれた新聞記事やエッセーなど基本的なものは辞書を使いながらでもおおよそ意味が理解でき、ネイティブの人たちと日常的なやりとりができるようになっていることが期待される。週に5〜6時限(1時限90分)の外国語の授業を受けることになるが、その習得は急ピッチだ。考えてみてほしい、文字も発音も分からない言語を一から学習するわけだ。毎日予習、復習を欠かさず、どんどん進む授業について行かなければならない。
外国語を選ぶ
外国語系大学(学部)では入学時にいくつかの言語から専攻する言語を1つ選ぶ。英・独・仏・中・西・露など話者人口の多さや話される地域が広い言語が一般的であるが、それに限らず、その他の言語にも目を向けてほしい。東京外国語大学には28の専攻言語がある(図1参照)。話者が多い言語は実用的であり魅力的であるが、多様化が進む現代においては、話者人口の多さに関わらず、さまざまな言語や地域への関心が重要になる。新しい言語を学び、マジョリティにはないような価値観に触れることで、世界が大きく広がっていくだろう。
どの言語を選んだらよいか迷う人も多いかもしれない。きっかけはなんでもいい。テレビを見てある国について興味がわいたとか、クラスにいる留学生と仲よくなり、その友人の話す言語を学んでみたくなったとか、一度聞いたある外国語の響きにひかれ、自分も話してみたくなったとか、きっかけはいろいろありえるだろう。しかし、動機は何であれ、自分でその言語について調べたり、大学のオープンキャンパスに足を運んでみたりして、今後何年かにわたってその言語や地域に対する情熱を持ち続けられるかどうかを考えることは重要だ。大学で新しい言語の学習を一から始め、場合によっては一生をかけて学んでいく。その言語を学んで自分は何をしたいのかという目的意識と、選んだ言語に対する愛着が不可欠なのだ。
どの言語を選んだらよいか迷う人も多いかもしれない。きっかけはなんでもいい。テレビを見てある国について興味がわいたとか、クラスにいる留学生と仲よくなり、その友人の話す言語を学んでみたくなったとか、一度聞いたある外国語の響きにひかれ、自分も話してみたくなったとか、きっかけはいろいろありえるだろう。しかし、動機は何であれ、自分でその言語について調べたり、大学のオープンキャンパスに足を運んでみたりして、今後何年かにわたってその言語や地域に対する情熱を持ち続けられるかどうかを考えることは重要だ。大学で新しい言語の学習を一から始め、場合によっては一生をかけて学んでいく。その言語を学んで自分は何をしたいのかという目的意識と、選んだ言語に対する愛着が不可欠なのだ。
専門性を身につける
外国語系大学(学部)では語学学校のように外国語の習得だけに専念するわけではない。多くの大学では、専門教育、すなわち語学を通した「地域文化研究」へと発展させていく工夫がなされている。外国語で書かれた文献や資料を用い、その言語が話される地域についての講義や演習、ゼミに取り組み、卒業論文や卒業研究としてまとめるのである。語学力を身につけ、堪能になることが1つの大きな目的であることは間違いないが、同時に、語学力をいわば「道具」として自分で選んだ「地域」のスペシャリストになることも、もう1つの重要な目標である。
外国語を通しての地域文化研究
現在多くの外国語系大学(学部)では、「言語」、「地域」に加えて、「学問的専門性」をいかに身につけさせるかを考えながらカリキュラムの編成が行われている。たとえば、東京外国語大学には世界のさまざまな地域の言語や文化について学ぶ「言語文化学部」がある。ここでは、主に1、2年次で大学全体の基礎的なカリキュラムである「世界教養プログラム」を通して、入学時に選択した言語と地域に関わる基礎的な知識や幅広い教養を身につける。続く3年次からは学部の2つのコースである「地域コース」か「超域コース」のどちらかに進み、それぞれのコースの専門教育を受けることになる。
「地域コース」では学生が学んでいる言語の構造や機能、または、その言語と社会や文化との関わりについて学ぶ。また、各地域の文学、芸術、思想や宗教、民俗、伝統文化など多岐にわたって学ぶことができる。もう一方の「超域コース」には、専攻する地域を超えて広く言語と文化を中心とする人間の営みを理解できるようになる科目群が置かれている。たとえば言語学、言語教育学、通訳・翻訳論、コミュニケーション論、多言語・多文化社会論などである。
なお、ほとんどの外国語系大学(学部)同様、東京外国語大学でも、入学から卒業までの間に、数週間程度の語学研修や、海外協定校での1年間の交換留学など、さまざまなかたちで留学できるような環境が整っている。これらを経て、最終学年では所属コースの指導教員のもと、それまでの学びの集大成となる卒業論文を書くことになる。外国語のスキルと高いコミュニケーション力、国際教養、そして特定分野の専門的な知識を身につけた学生の卒業後の進路は多岐にわたる。就職先は、テレビ局や新聞社などマス・メディア、金融、商社、メーカー、IT関連企業、そして官公庁などが人気で、在学中に教職課程を履修して教育職に就く者もいる。また、大学院に進学する者も多い。
「地域コース」では学生が学んでいる言語の構造や機能、または、その言語と社会や文化との関わりについて学ぶ。また、各地域の文学、芸術、思想や宗教、民俗、伝統文化など多岐にわたって学ぶことができる。もう一方の「超域コース」には、専攻する地域を超えて広く言語と文化を中心とする人間の営みを理解できるようになる科目群が置かれている。たとえば言語学、言語教育学、通訳・翻訳論、コミュニケーション論、多言語・多文化社会論などである。
なお、ほとんどの外国語系大学(学部)同様、東京外国語大学でも、入学から卒業までの間に、数週間程度の語学研修や、海外協定校での1年間の交換留学など、さまざまなかたちで留学できるような環境が整っている。これらを経て、最終学年では所属コースの指導教員のもと、それまでの学びの集大成となる卒業論文を書くことになる。外国語のスキルと高いコミュニケーション力、国際教養、そして特定分野の専門的な知識を身につけた学生の卒業後の進路は多岐にわたる。就職先は、テレビ局や新聞社などマス・メディア、金融、商社、メーカー、IT関連企業、そして官公庁などが人気で、在学中に教職課程を履修して教育職に就く者もいる。また、大学院に進学する者も多い。


