何を学ぶ
外国語を学ぶことは、地球規模の高いコミュニケーション力を身につけること。そのツールを使って相手の言語で交流し、リアルな情報に接することで、世界は大きく広がる。

斎藤 弘子(さいとう ひろこ)先生
東京外国語大学/大学院総合国際学研究院/名誉教授
1960年東京都生まれ。東京外国語大学大学院およびロンドン大学大学院修了。専門は英語音声学・音韻論。著書に『初級英語音声学』(共著)、『ライトハウス英和辞典』(編集委員)などがある。
外国語学部とは
多くの外国語大学(あるいは外国語学部)は英語でUniversity(またはFaculty)of Foreign Studiesと訳され、単に… of Foreign Languagesではない。「外国語」大学ではなく、「外国学」大学ということだ。1つの外国語を選んで専攻し、それに習熟した上で、その言葉が話される地域の歴史、文化、社会、あるいは政治経済などを研究することにより、世界のなかのその地域の総合的なスペシャリストになることが外国語系大学(学部)の目的なのである。国際社会で通用するコミュニケーション能力を持ち、同時に地球時代にふさわしい教養と専門的知識をそなえた人材を育成するのが外国語系大学(学部)の理想ということになる。
外国語系大学(学部)はその昔、外国の特定の言語・文化を学び、情報を日本に取り入れることが主たる目的であった。また、海外の特定の国や地域との経済・商業の分野で活躍をすることも長年、卒業生の担ってきた任務であったし、現在もその伝統は続いているといえる。
しかし、グローバル化が進んだ現代では、社会や文化の価値観は大きく変容し、多様化してきた。国境とともに異文化間を飛び越えてさまざまな局面に対応する必要も生まれてきた。そのためには、世界に目を向けると同時に、1つの地域を世界のなかで相対化できる視野と知識を持たねばならない。こうした新たな状況に対応できる人材を育成することがいまの外国語系大学(学部)に求められる目標になっている。
外国語系大学(学部)はその昔、外国の特定の言語・文化を学び、情報を日本に取り入れることが主たる目的であった。また、海外の特定の国や地域との経済・商業の分野で活躍をすることも長年、卒業生の担ってきた任務であったし、現在もその伝統は続いているといえる。
しかし、グローバル化が進んだ現代では、社会や文化の価値観は大きく変容し、多様化してきた。国境とともに異文化間を飛び越えてさまざまな局面に対応する必要も生まれてきた。そのためには、世界に目を向けると同時に、1つの地域を世界のなかで相対化できる視野と知識を持たねばならない。こうした新たな状況に対応できる人材を育成することがいまの外国語系大学(学部)に求められる目標になっている。
確かな語学力をつける
外国語系大学(学部)ではいうまでもなく、専攻する言語の運用能力を身につけ、磨いていくことがまず第1の課題になる。入学してくる人たちには外国語好きが多いことは確かだ。これまで中学・高校を通じて学んだ英語をどのように身につけたか思い出してみよう。毎日読んだり、書いたり、会話をしたりじっくり6年かけて覚えた。学校だけでなく、テレビやインターネット上の動画を見たり、語学学校などで特別に会話のクラスに参加した人もいるだろう。さまざまな機会を利用して英語に接し、大学受験のころには相当の英語力にまで達していることだろう。
外国語系大学(学部)に入り、新しい言語(英語や日本語を専攻する人たちは少し事情が異なる)をはじめるのであるが、これまでのような時間的余裕はない。外国語系大学(学部)に入学したからといって、自然に語学力が備わっていくということはないし、外国へ留学しているときのように24時間その言語に囲まれているということも当然ない。
多くの外国語系大学(学部)では、4年間のうち専攻外国語の習得を最初2年に集中し、後半の2年はその言語を通して、より専門的な学問へと導く。2年を終えた時点で、その言語で書かれた新聞記事やエッセーなど基本的なものは辞書を使いながらでもおおよそ意味がとれ、ネイティブの人たちと日常的なやりとりができるようになっていることが期待される。週に5〜6時限(1時限90分)の外国語の授業を受けることになるが、その習得は急ピッチだ。毎日予習、復習を欠かさず、どんどん進む授業について行かなければならない。
外国語系大学(学部)に入り、新しい言語(英語や日本語を専攻する人たちは少し事情が異なる)をはじめるのであるが、これまでのような時間的余裕はない。外国語系大学(学部)に入学したからといって、自然に語学力が備わっていくということはないし、外国へ留学しているときのように24時間その言語に囲まれているということも当然ない。
多くの外国語系大学(学部)では、4年間のうち専攻外国語の習得を最初2年に集中し、後半の2年はその言語を通して、より専門的な学問へと導く。2年を終えた時点で、その言語で書かれた新聞記事やエッセーなど基本的なものは辞書を使いながらでもおおよそ意味がとれ、ネイティブの人たちと日常的なやりとりができるようになっていることが期待される。週に5〜6時限(1時限90分)の外国語の授業を受けることになるが、その習得は急ピッチだ。毎日予習、復習を欠かさず、どんどん進む授業について行かなければならない。
外国語を選ぶ
外国語系大学(学部)では入学時にいくつかの言語から専攻する言語を1つ選ぶ。英・独・仏・中・スペイン語・ロシア語など話者人口の多さや話される地域が広い言語が一般的であるが、それに限らず、その他の言語にも目を向けてほしい。東京外国語大学には28の専攻言語がある(図1参照)が、今後特定言語・特定地域への関心がますます重要になる。
どの言語を選んだらよいか迷う人も多いかもしれない。きっかけはなんでもいい。テレビを見てある国について興味がわいたとか、クラスにいる留学生と仲よくなり、その友人の話す言語を学んでみたくなったとか、一度聞いたある外国語の響きにひかれ、自分も話してみたくなったとか、きっかけはいろいろありえるだろう。しかし、動機は何であれ、自分でその言語について調べたり、大学のオープンキャンパスに足を運んでみたりして、今後何年かにわたってその言語や地域に対する情熱を持ち続けられるかどうかを考えることは重要だ。前のセクションで述べた大学レベルでのハードな言語学習についていくには、その言語を学んで自分は何をしたいのかという目的意識と、選んだ言語に対する愛着が不可欠なのだ。
どの言語を選んだらよいか迷う人も多いかもしれない。きっかけはなんでもいい。テレビを見てある国について興味がわいたとか、クラスにいる留学生と仲よくなり、その友人の話す言語を学んでみたくなったとか、一度聞いたある外国語の響きにひかれ、自分も話してみたくなったとか、きっかけはいろいろありえるだろう。しかし、動機は何であれ、自分でその言語について調べたり、大学のオープンキャンパスに足を運んでみたりして、今後何年かにわたってその言語や地域に対する情熱を持ち続けられるかどうかを考えることは重要だ。前のセクションで述べた大学レベルでのハードな言語学習についていくには、その言語を学んで自分は何をしたいのかという目的意識と、選んだ言語に対する愛着が不可欠なのだ。
専門性を身につける
外国語系大学(学部)では語学校のように外国語の習得だけに専念するわけではない。多くの大学では、専門教育、すなわち「地域文化研究」へと発展させていく工夫がなされている。外国語で書かれた文献や資料を用い、その言語が話される地域についての講義や演習、ゼミに取り組み、卒業論文や卒業研究としてまとめるのである。語学力を身につけ、堪能になることが1つの大きな目的であることは間違いないが、また同時に、語学力をいわば「道具」として自分で選んだ「地域」のスペシャリストになることも、もう1つの重要な目標である。
外国語を通しての地域文化研究
現在多くの外国語系大学(学部)では、「言語」、「地域」に加えて、「学問的専門性」をいかに身につけさせるかを考えながらカリキュラムの再編成を行っている。
たとえば、東京外国語大学には世界のさまざまな地域の言語や文化について学ぶ「言語文化学部」がある。ここでは、主に1、2年次で国際社会学部や国際日本学部と共通の基礎的なカリキュラムである「世界教養プログラム」を通して、入学時に選択した言語と地域に関わる基礎的な知識や幅広い教養を身につける。続く3年次からは学部の2つのコースである「地域コース」か「超域コース」のどちらかに進み、それぞれのコースの専門教育を受けることになる。
「地域コース」では学生が学んでいる言語のこと―その構造や機能、社会や文化との関わり―について学ぶ。また、各地域の文学、芸術、思想や宗教、民俗、伝統文化など多岐にわたって学ぶことができる。
もう一方の「超域コース」には、専攻する地域を超えて広く言語と文化を中心とする人間の営みを理解できるようになる科目群が置かれている。たとえば言語学、言語教育学、通訳・翻訳論、コミュニケーション論、多言語・多文化社会論などである。
なお、ほとんどの外国語系大学(学部)同様、東京外国語大学でも、入学から卒業までの間に、数週間程度の語学研修や、海外協定校での1年間の交換留学など、さまざまなかたちで留学できるような環境が整っている。
これらを経て、最終学年では所属コースの指導教員のもと、それまでの学びの集大成となる卒業論文を書くことになる。
外国語のスキルと高いコミュニケーション力、国際教養、そして特定分野の専門的な知識を身につけた学生の卒業後の進路は多岐にわたる。就職先としては、テレビ局や新聞社などマス・メディア、金融、商社、メーカー、IT関連企業、そして官公庁などが人気で、在学中に教職課程を履修して教育職に就く者もいる。また、研究をさらに深めようと、大学院に進学する者も多い。
たとえば、東京外国語大学には世界のさまざまな地域の言語や文化について学ぶ「言語文化学部」がある。ここでは、主に1、2年次で国際社会学部や国際日本学部と共通の基礎的なカリキュラムである「世界教養プログラム」を通して、入学時に選択した言語と地域に関わる基礎的な知識や幅広い教養を身につける。続く3年次からは学部の2つのコースである「地域コース」か「超域コース」のどちらかに進み、それぞれのコースの専門教育を受けることになる。
「地域コース」では学生が学んでいる言語のこと―その構造や機能、社会や文化との関わり―について学ぶ。また、各地域の文学、芸術、思想や宗教、民俗、伝統文化など多岐にわたって学ぶことができる。
もう一方の「超域コース」には、専攻する地域を超えて広く言語と文化を中心とする人間の営みを理解できるようになる科目群が置かれている。たとえば言語学、言語教育学、通訳・翻訳論、コミュニケーション論、多言語・多文化社会論などである。
なお、ほとんどの外国語系大学(学部)同様、東京外国語大学でも、入学から卒業までの間に、数週間程度の語学研修や、海外協定校での1年間の交換留学など、さまざまなかたちで留学できるような環境が整っている。
これらを経て、最終学年では所属コースの指導教員のもと、それまでの学びの集大成となる卒業論文を書くことになる。
外国語のスキルと高いコミュニケーション力、国際教養、そして特定分野の専門的な知識を身につけた学生の卒業後の進路は多岐にわたる。就職先としては、テレビ局や新聞社などマス・メディア、金融、商社、メーカー、IT関連企業、そして官公庁などが人気で、在学中に教職課程を履修して教育職に就く者もいる。また、研究をさらに深めようと、大学院に進学する者も多い。

