何を学ぶ
心身の健康問題を関係者と連携しながら発見・解決・予防する能力を身につけ、学校のさまざまな教育活動を通して児童生徒の発育や発達を支援する養護教諭を目指して学ぶ。

後藤 ひとみ(ごとう ひとみ)先生
愛知教育大学/教育学部/名誉教授
1956年、北海道生まれ。愛知教育大学大学院教育学研究科修士課程修了。同朋大学、北海道教育大学を経て現職。専攻は養護教育学。教育学修士・博士(医学)。共著に『四訂養護概説』(ぎょうせい)、『改訂保健室経営マニュアル』(ぎょうせい)など。
養護教諭とは
学校で、「保健の先生」または「保健室の先生」と呼ばれている人が養護教諭である。養護教諭という名称は、1947年の学校教育法で定められた。養護教諭の前身は養護訓導と呼ばれ、ともに「養護をつかさどる教員」という意味がある。
ところで、「養護をつかさどる」とはどういうことだろうか。養護教諭と他の教師の役割の違いは何だろうか。
1972年に、当時の文部省は「養護教諭は、専門的立場から全ての児童生徒の保健および環境衛生の実態を的確に把握して、疾病や情緒障害、体力、栄養に関する問題等心身の健康に問題を持つ児童生徒の個別の指導にあたり、また、健康な児童生徒についても健康の増進に関する指導にあたるのみならず、一般教員の行う日常の教育活動にも積極的に協力する役割を持つものである」(保健体育審議会答申)と述べた。
これによって、「児童生徒の健康の保持と増進に関する活動」が「養護をつかさどること」と理解されるようになった。以来、養護教諭は各学校での保健管理(=健康の保持)はもちろんのこと、保健教育(=健康の増進)にも積極的に関わっている。
このような歴史を踏まえて、2003年に、「養護教諭とは、学校における全ての教育活動を通して、ヘルスプロモーションの理念に基づく健康教育と健康管理によって、子どもの発育・発達の支援を行う特別な免許を持つ教育職員である」(日本養護教諭教育学会)と定められた。
さらに近年は、いじめ、不登校、薬物乱用、性に関する問題、生活習慣の乱れ、アレルギー疾患、感染症などが深刻化しているため、これらの解決に、身体的なケアだけではなく精神的なケアが求められている。
そこで、養護教諭は保健室という場所を活用して、日々、子どもたちの心身の健康に対応している。
ところで、「養護をつかさどる」とはどういうことだろうか。養護教諭と他の教師の役割の違いは何だろうか。
1972年に、当時の文部省は「養護教諭は、専門的立場から全ての児童生徒の保健および環境衛生の実態を的確に把握して、疾病や情緒障害、体力、栄養に関する問題等心身の健康に問題を持つ児童生徒の個別の指導にあたり、また、健康な児童生徒についても健康の増進に関する指導にあたるのみならず、一般教員の行う日常の教育活動にも積極的に協力する役割を持つものである」(保健体育審議会答申)と述べた。
これによって、「児童生徒の健康の保持と増進に関する活動」が「養護をつかさどること」と理解されるようになった。以来、養護教諭は各学校での保健管理(=健康の保持)はもちろんのこと、保健教育(=健康の増進)にも積極的に関わっている。
このような歴史を踏まえて、2003年に、「養護教諭とは、学校における全ての教育活動を通して、ヘルスプロモーションの理念に基づく健康教育と健康管理によって、子どもの発育・発達の支援を行う特別な免許を持つ教育職員である」(日本養護教諭教育学会)と定められた。
さらに近年は、いじめ、不登校、薬物乱用、性に関する問題、生活習慣の乱れ、アレルギー疾患、感染症などが深刻化しているため、これらの解決に、身体的なケアだけではなく精神的なケアが求められている。
そこで、養護教諭は保健室という場所を活用して、日々、子どもたちの心身の健康に対応している。
養護教諭の仕事と求められる能力
養護教諭と保健室との関わりはとても深い。1日における保健室来室者が平均50名〜100名という学校もあり、養護教諭は「手当てをしてほしい。話を聞いてほしい。健康のことを教えてほしい」などと願って来室する子どもたちに忙しく対応している。そこには、“養護教諭がいてくれるからこそ”“保健室という場所だからこそ”来室する子どもたちの姿がある。
たとえば、「お腹が痛い」という訴えに、養護教諭は体温や脈拍を測って健康状態を確認し、症状を和らげるよう手当てをしながら、病歴や日常の生活リズムなどを聞いて原因を考える。ときには子どもたちの悩みにも耳を傾け、体の痛みも心の痛みも受け止める。
そんな姿に子どもたちは安らぎを感じている。たまには生活面の乱れを厳しく叱(しか)ることもあるが、子どもたちの体や心の問題に対処するため、保護者や担任などの相談役になるなど養護教諭の仕事は、実に広くて深い。
このように養護教諭には保健室来室者への対応という大きな仕事があるが、来室生徒の人数や来室の理由は、学校の規模や種類によって少し異なる。
学校規模では、100人以下の小規模校から1,000人以上の大規模校まであり、学校種では小学校や中学校、中等教育学校、高等学校、特別支援学校、幼稚園がある。しかし、どんな学校に勤務した場合でも、養護教諭として行わなければならない仕事は共通している。
下記の表1はこれからの養護教諭に求められている役割である。
毎日の仕事の中心は、保健室来室者への対応であるが、この他にも、健康診断、健康相談、健康観察、学校環境衛生、保健指導、保健委員会活動などを行っている。これらの仕事に合わせて保健だよりを発行したり、保健の授業を担当したりして健康に関する情報をさまざまな人たちに提供している。また、学級担任や教科担任などの他教師、保護者、学校医・学校歯科医・学校薬剤師、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、病院や保健所、相談機関などと協力して子どもたちの健康問題の解決にあたっている。
ところで、学校には保健主事という仕事があり、一般の教員または養護教諭が任命される。保健主事は学校の保健活動を推進する役割を持つため、保健主事になった養護教諭には、企画する力、実行する力などのリーダー性も求められる。
現在、さまざまな仕事の充実を図るために、小学校は児童数851人以上、中学校や高等学校は生徒数801人以上、特別支援学校は児童生徒数61人以上の学校で養護教諭の複数配置が行われている。最近は男性養護教諭が少しずつ増えていて、複数配置校に勤務することが多い。これからは、1校1名という原則を超えて、保健室を共有する2名の養護教諭が協力し合うことも大切である。
たとえば、「お腹が痛い」という訴えに、養護教諭は体温や脈拍を測って健康状態を確認し、症状を和らげるよう手当てをしながら、病歴や日常の生活リズムなどを聞いて原因を考える。ときには子どもたちの悩みにも耳を傾け、体の痛みも心の痛みも受け止める。
そんな姿に子どもたちは安らぎを感じている。たまには生活面の乱れを厳しく叱(しか)ることもあるが、子どもたちの体や心の問題に対処するため、保護者や担任などの相談役になるなど養護教諭の仕事は、実に広くて深い。
このように養護教諭には保健室来室者への対応という大きな仕事があるが、来室生徒の人数や来室の理由は、学校の規模や種類によって少し異なる。
学校規模では、100人以下の小規模校から1,000人以上の大規模校まであり、学校種では小学校や中学校、中等教育学校、高等学校、特別支援学校、幼稚園がある。しかし、どんな学校に勤務した場合でも、養護教諭として行わなければならない仕事は共通している。
下記の表1はこれからの養護教諭に求められている役割である。
毎日の仕事の中心は、保健室来室者への対応であるが、この他にも、健康診断、健康相談、健康観察、学校環境衛生、保健指導、保健委員会活動などを行っている。これらの仕事に合わせて保健だよりを発行したり、保健の授業を担当したりして健康に関する情報をさまざまな人たちに提供している。また、学級担任や教科担任などの他教師、保護者、学校医・学校歯科医・学校薬剤師、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、病院や保健所、相談機関などと協力して子どもたちの健康問題の解決にあたっている。
ところで、学校には保健主事という仕事があり、一般の教員または養護教諭が任命される。保健主事は学校の保健活動を推進する役割を持つため、保健主事になった養護教諭には、企画する力、実行する力などのリーダー性も求められる。
現在、さまざまな仕事の充実を図るために、小学校は児童数851人以上、中学校や高等学校は生徒数801人以上、特別支援学校は児童生徒数61人以上の学校で養護教諭の複数配置が行われている。最近は男性養護教諭が少しずつ増えていて、複数配置校に勤務することが多い。これからは、1校1名という原則を超えて、保健室を共有する2名の養護教諭が協力し合うことも大切である。
養護教諭免許状の取得の仕方
養護教諭の免許状は、他の教員と同じように、専修、一種、二種の3種類に分けられている。専修免許状は大学院修士課程(2年)修了程度、一種免許状は四年制大学卒業程度、二種免許状は短期大学卒業程度と考えられている。
養護教諭の一種免許状を取得する場合、「養護に関する科目」は28単位以上、教育の基礎的理解など「教職に関する科目」は21単位以上学ばなければならない。
【大学の講義は90分または100分の授業を15回(試験は別)受けると2単位になる。】
ところで、一般の教員の免許状は小学校教諭、中学校教諭(国語)などのように、学校種や教科ごとに定められているが、養護教諭の免許状は全ての学校(幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校)で使えるものである。つまり、養護教諭は幼児から高校生までの広い年齢の子どもたちや、さまざまな障害がある子どもたちの教育に関わる教師だということである。
このような特色に見合った能力を身につけるため、大学では次のような学習を行う。まず、教育に関する授業では「教員の役割」や「さまざまな年齢の子どもたちの心身の発達」などを学ぶ。さらに、学校で行う活動として「指導の方法」や「相談への対応のしかた」などについて学ぶ。
これらの学習に加えて、専門に関する授業では、「人間の心身の機能」について解剖学や生理学、免疫学、精神保健学などで学び、「人間の健康の成立に向けた支援」について予防医学や栄養学、看護学などで学ぶ。「学校における保健管理と保健教育の実際」については学校保健や保健科教育法などで学び、「養護教諭の役割」については養護概説や健康相談活動などで学び、「養護教諭の具体的な仕事」については養護実習などで学ぶ。
これらのなかでも、「養護実習」は実際に小学校または中学校、高等学校等に教育実習生として出向いて子どもたちや教師と過ごすことから、もっとも大きな学びの機会になっている。「養護実習」の期間は一種免許状を取得する場合は4週間、二種免許状を取得する場合は3週間が一般的である。
養護教諭の免許状を取得するためにはさまざまな方法がある。そのなかでもっとも歴史ある方法が国立大学の養護教諭養成課程で学ぶことであるが、近年、養護教諭の免許状取得を可能とする大学が増えている。主として、教育系(養護教諭の免許取得を目的とした大学)と、看護系(看護師の免許取得を目的とした大学だが、希望者は養護教諭免許の取得を選択できる大学)、学際系(その他の資格取得を目的とした大学だが、希望者は養護教諭免許の取得を選択できる大学)の3つに大別される。養護教諭は教員なので、養護教諭になるための授業科目は教育系が充実していて、大学卒業後に教師力をより高められる教職大学院に進学して専修免許状を取得する道が開かれている。これとは別に、看護師あるいは保健師になる道を考えている場合は看護系という選択になるが、看護系大学のなかには二種免許状しか取れない大学もあるので事前に調べておくとよい。
これからも養護教諭に期待される役割は大きい。子どもたちの健やかな未来のために、熱い情熱と確かな技能を持った養護教諭を目指して学び続けていただきたい。
養護教諭の一種免許状を取得する場合、「養護に関する科目」は28単位以上、教育の基礎的理解など「教職に関する科目」は21単位以上学ばなければならない。
【大学の講義は90分または100分の授業を15回(試験は別)受けると2単位になる。】
ところで、一般の教員の免許状は小学校教諭、中学校教諭(国語)などのように、学校種や教科ごとに定められているが、養護教諭の免許状は全ての学校(幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校)で使えるものである。つまり、養護教諭は幼児から高校生までの広い年齢の子どもたちや、さまざまな障害がある子どもたちの教育に関わる教師だということである。
このような特色に見合った能力を身につけるため、大学では次のような学習を行う。まず、教育に関する授業では「教員の役割」や「さまざまな年齢の子どもたちの心身の発達」などを学ぶ。さらに、学校で行う活動として「指導の方法」や「相談への対応のしかた」などについて学ぶ。
これらの学習に加えて、専門に関する授業では、「人間の心身の機能」について解剖学や生理学、免疫学、精神保健学などで学び、「人間の健康の成立に向けた支援」について予防医学や栄養学、看護学などで学ぶ。「学校における保健管理と保健教育の実際」については学校保健や保健科教育法などで学び、「養護教諭の役割」については養護概説や健康相談活動などで学び、「養護教諭の具体的な仕事」については養護実習などで学ぶ。
これらのなかでも、「養護実習」は実際に小学校または中学校、高等学校等に教育実習生として出向いて子どもたちや教師と過ごすことから、もっとも大きな学びの機会になっている。「養護実習」の期間は一種免許状を取得する場合は4週間、二種免許状を取得する場合は3週間が一般的である。
養護教諭の免許状を取得するためにはさまざまな方法がある。そのなかでもっとも歴史ある方法が国立大学の養護教諭養成課程で学ぶことであるが、近年、養護教諭の免許状取得を可能とする大学が増えている。主として、教育系(養護教諭の免許取得を目的とした大学)と、看護系(看護師の免許取得を目的とした大学だが、希望者は養護教諭免許の取得を選択できる大学)、学際系(その他の資格取得を目的とした大学だが、希望者は養護教諭免許の取得を選択できる大学)の3つに大別される。養護教諭は教員なので、養護教諭になるための授業科目は教育系が充実していて、大学卒業後に教師力をより高められる教職大学院に進学して専修免許状を取得する道が開かれている。これとは別に、看護師あるいは保健師になる道を考えている場合は看護系という選択になるが、看護系大学のなかには二種免許状しか取れない大学もあるので事前に調べておくとよい。
これからも養護教諭に期待される役割は大きい。子どもたちの健やかな未来のために、熱い情熱と確かな技能を持った養護教諭を目指して学び続けていただきたい。

