何を学ぶ
会計は企業をはじめとして、家庭や政府などのさまざまな経済主体で行われている。企業の経理や財務などの部署で活躍しようという人には、会計学の専門知識が必要不可欠である。

佐藤 文雄(さとう ふみお)先生
専修大学/商学部/教授
1957年生まれ。一橋大学商学部卒。同大大学院商学研究科博士課程単位修得。京都産業大学講師、助教授、専修大学助教授を経て現職。専攻は財務会計論。共編著に『現代会計学入門』などがある。
金額で企業活動を表現
会計とは、企業をはじめとするさまざまな経済主体が、経済活動について、計数によって記録・計算・報告する行為を意味する。そして会計学とは、経済主体が行う会計という行為を研究する学問である。
現代のビジネスマンは、次の3つの技能を修得することが理想とされる。
会計(Accounting)
コンピュータ(Computer)
英語(English)
上記の3つの英単語の頭文字をまとめればACEとなるが、現代のビジネス社会のエースとなるためには、会計の専門知識の修得が重要である。
さきほどから、経済主体という言葉を使っているが、会計学で考察する経済主体としてもっとも重要なものは、伝統的に株式会社などの企業である。社会には企業以外の経済主体として、家計(家庭)や官庁(政府)があり、そこでも会計が行われていて、その会計を取り扱う会計学の分野もある。ただし、あくまでも会計学の中心は、企業が行う会計(企業会計)の研究である。
続いて、計数による記録・計算について解説しよう。企業会計が取り扱う計数は基本的に貨幣額(金額)である。貨幣経済のなかで活動する企業を描写するためには、金額で記録・計算を行うしかないからである。しかし注意すべきことは、会計で行う「おカネの計算」とは、「おカネを計算する」ことだけではなく、モノの価値などを「おカネで計算する」ことも含んでいる、ということである。
現代のビジネスマンは、次の3つの技能を修得することが理想とされる。
会計(Accounting)
コンピュータ(Computer)
英語(English)
上記の3つの英単語の頭文字をまとめればACEとなるが、現代のビジネス社会のエースとなるためには、会計の専門知識の修得が重要である。
さきほどから、経済主体という言葉を使っているが、会計学で考察する経済主体としてもっとも重要なものは、伝統的に株式会社などの企業である。社会には企業以外の経済主体として、家計(家庭)や官庁(政府)があり、そこでも会計が行われていて、その会計を取り扱う会計学の分野もある。ただし、あくまでも会計学の中心は、企業が行う会計(企業会計)の研究である。
続いて、計数による記録・計算について解説しよう。企業会計が取り扱う計数は基本的に貨幣額(金額)である。貨幣経済のなかで活動する企業を描写するためには、金額で記録・計算を行うしかないからである。しかし注意すべきことは、会計で行う「おカネの計算」とは、「おカネを計算する」ことだけではなく、モノの価値などを「おカネで計算する」ことも含んでいる、ということである。
企業に必要な会計情報
前述の「おカネで計算する」ということを、もう少し深く掘り下げて説明しよう。会計においては、あるモノにどのような金額をつけて計算するのか、ということが非常に重要な問題なのである。
モノの値段や価格については、さまざまな考え方がある。たとえば、企業が持っている商品というモノについて、過去に買ったときの値段(取得原価という)をつけるのか。それとも現在いくらで売れるのかという価格(売却時価という)をつけるのか。あるいは現在いくらで同じ商品を買い直せるのかという価格(購入時価という)をつけるのか。という具合に、いろいろな考え方がある。
企業の経営成績(業績)に関するもっとも重要な会計情報は、その企業がどれだけ儲(もう)かっているか、ということである。この企業の儲けのことを会計学の専門用語では、利益という(所得や利潤ともいう)。この利益の計算は通常、1年という期間にいくらの利益が獲得されたか、という形で行い、これを期間損益計算という。損益の損は、損失の損で、損失は利益の反対である。
重要なことは、この利益という会計情報に基づいて、企業の内部や外部に存在する、さまざまな関係者が企業についての判断を行い、行動を起こすということである。
たとえば、株式会社形態の企業を考えると、会社の内部にいる経営者は、利益の発生原因を分析して、利益を増やそうと努力する。また、会社の外部にいる株主や銀行の場合は、利益の安定性や成長性に対する評価に基づいて、その会社の株式を保有する株主は株式の売買取引を行い、その会社にお金を貸している銀行は追加融資や資金回収を行う。
現在、日本の会計では、国際会計基準(IFRS)と呼ばれる国際的な会計ルールを、どのように導入するのか、という問題が、もっとも重要な課題になっている。したがって会計学の学習においても、今まで以上に国際的な視野が必要とされている。
モノの値段や価格については、さまざまな考え方がある。たとえば、企業が持っている商品というモノについて、過去に買ったときの値段(取得原価という)をつけるのか。それとも現在いくらで売れるのかという価格(売却時価という)をつけるのか。あるいは現在いくらで同じ商品を買い直せるのかという価格(購入時価という)をつけるのか。という具合に、いろいろな考え方がある。
企業の経営成績(業績)に関するもっとも重要な会計情報は、その企業がどれだけ儲(もう)かっているか、ということである。この企業の儲けのことを会計学の専門用語では、利益という(所得や利潤ともいう)。この利益の計算は通常、1年という期間にいくらの利益が獲得されたか、という形で行い、これを期間損益計算という。損益の損は、損失の損で、損失は利益の反対である。
重要なことは、この利益という会計情報に基づいて、企業の内部や外部に存在する、さまざまな関係者が企業についての判断を行い、行動を起こすということである。
たとえば、株式会社形態の企業を考えると、会社の内部にいる経営者は、利益の発生原因を分析して、利益を増やそうと努力する。また、会社の外部にいる株主や銀行の場合は、利益の安定性や成長性に対する評価に基づいて、その会社の株式を保有する株主は株式の売買取引を行い、その会社にお金を貸している銀行は追加融資や資金回収を行う。
現在、日本の会計では、国際会計基準(IFRS)と呼ばれる国際的な会計ルールを、どのように導入するのか、という問題が、もっとも重要な課題になっている。したがって会計学の学習においても、今まで以上に国際的な視野が必要とされている。
会計教育の現代化
現在、企業の成績表に相当するものとして、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書、そして株主資本等変動計算書という4つの計算書(財務諸表)がある。これらの計算書に利益の数字をはじめとして、さまざまな会計情報が表示されている。取引記録を集計して、この計算書を作成する技術体系が、複式簿記と呼ばれるものである。
従来の簿記や会計の教育では、小切手や手形などの伝統的な代金決済手段の学習が重要であった。しかし現代の会計教育では、クレジット・カード、電子記録債権・電子記録債務、暗号資産(仮想通貨)などの新たな経済の仕組みを学ぶことが必要となってきた。このような会計の学習内容の変化は、現代のビジネス社会におけるさまざまな電子化・デジタル化という発展を反映したものなのである。
従来の簿記や会計の教育では、小切手や手形などの伝統的な代金決済手段の学習が重要であった。しかし現代の会計教育では、クレジット・カード、電子記録債権・電子記録債務、暗号資産(仮想通貨)などの新たな経済の仕組みを学ぶことが必要となってきた。このような会計の学習内容の変化は、現代のビジネス社会におけるさまざまな電子化・デジタル化という発展を反映したものなのである。
簿記の学習が第一歩
会計学の学習の第一歩は複式簿記の修得から始まる。多くの大学で1年次配当の科目として「簿記論」があり、そこから会計教育はスタートする。大学によっては「簿記論」を設けず、「会計学総論(概論)」などの科目の初期の段階で簿記を教える場合がある。簿記の学習は、会計の計算技術の基礎を養成するものであり、会計学の全ての科目の履修において前提条件となる。
その後、会計学の科目は大きく2つのグループに分かれる。1つは財務会計という分野に属する科目であり、もう1つは管理会計という領域に属する科目である。
財務会計とは、株主や銀行などの企業外部の利害関係者に会計情報を提供する役割を果たす会計である。財務会計に属する基幹科目として、「財務会計論」または「財務諸表論」がある。
これに対して管理会計とは、管理者や経営者などの、企業内部の人間に会計情報を提供する会計である。管理会計に属する基幹科目としては「原価計算論」と「管理会計論」がある。原価とは製品を生産するのにかかったコストを意味する。この原価の管理が管理会計の出発点なので、管理会計を体系的に学ぶためには、その基礎として原価計算をマスターする必要がある。
さらに学年が進むと、会計学の高度な発展科目として、「監査論」「税務会計論」「経営分析論」「会計情報システム論」などが開講される。これらの科目は応用科目なので、特に財務会計の基礎知識をしっかり持っていないと理解が難しい。
以上で述べたように、会計教育はきちんと段階を踏んで、つまりステップ・バイ・ステップで着実に進んでいかないと身につかない。
したがって、成績評価が甘い先生の科目ばかりツマミ食いしよう、などという安易な気持ちでいると、会計学の実力をつけることはできないのである。
その後、会計学の科目は大きく2つのグループに分かれる。1つは財務会計という分野に属する科目であり、もう1つは管理会計という領域に属する科目である。
財務会計とは、株主や銀行などの企業外部の利害関係者に会計情報を提供する役割を果たす会計である。財務会計に属する基幹科目として、「財務会計論」または「財務諸表論」がある。
これに対して管理会計とは、管理者や経営者などの、企業内部の人間に会計情報を提供する会計である。管理会計に属する基幹科目としては「原価計算論」と「管理会計論」がある。原価とは製品を生産するのにかかったコストを意味する。この原価の管理が管理会計の出発点なので、管理会計を体系的に学ぶためには、その基礎として原価計算をマスターする必要がある。
さらに学年が進むと、会計学の高度な発展科目として、「監査論」「税務会計論」「経営分析論」「会計情報システム論」などが開講される。これらの科目は応用科目なので、特に財務会計の基礎知識をしっかり持っていないと理解が難しい。
以上で述べたように、会計教育はきちんと段階を踏んで、つまりステップ・バイ・ステップで着実に進んでいかないと身につかない。
したがって、成績評価が甘い先生の科目ばかりツマミ食いしよう、などという安易な気持ちでいると、会計学の実力をつけることはできないのである。
AI時代にも残る会計学
会計学は法律学と並び、大学における文科系の学問分野のなかでも代表的な実学である。ただし会計学の特徴は、金額という数字の計算を伴うことである。高校時代の勉強として、いわゆる私立文系型の学習をしてきた学生でも、大学入学後の会計学教育に十分ついてゆける。しかし、理想的には高校時代に、文系の数学はきちんと勉強し、会計学でも必要となる場合が多い数学的な論理的思考能力を養っておくことが望ましい。
最近、世の中に流れている間違った考え方として、AI(人工知能)が発達する未来の社会では、会計の知識や学習が不要となり、無意味になる、という考えがある。しかし、それは短絡的で誤りである。
未来でも、AIが生み出した会計の情報やデータを活用して、最終的に判断を下し、行動するのは、あくまで人間であり、その際には必ず会計の専門家が必要となるからである。未来の大学教育においても、簿記や会計の学習が消滅することは、けっしてない。これは、電子計算機(コンピュータ)がいくら発達しても、学校教育において算数・数学の教育が消え去ることが絶対ありえない、ということと、まったく同じことなのである。
最近、世の中に流れている間違った考え方として、AI(人工知能)が発達する未来の社会では、会計の知識や学習が不要となり、無意味になる、という考えがある。しかし、それは短絡的で誤りである。
未来でも、AIが生み出した会計の情報やデータを活用して、最終的に判断を下し、行動するのは、あくまで人間であり、その際には必ず会計の専門家が必要となるからである。未来の大学教育においても、簿記や会計の学習が消滅することは、けっしてない。これは、電子計算機(コンピュータ)がいくら発達しても、学校教育において算数・数学の教育が消え去ることが絶対ありえない、ということと、まったく同じことなのである。

