何を学ぶ
映像、情報通信、光センサ、医療、超精密加工など幅広く社会を支える。近年、時間標準や量子技術への応用、AIとの融合が進み、新技術が次々と生まれている。

渡邉 恵理子(わたなべ えりこ)先生
電気通信大学/副学長(ダイバーシティ推進担当)、大学院情報理工学研究科基盤理工学専攻/教授
1977年、栃木県小山市に生まれる。栃木県立栃木女子高卒。日本女子大学理学研究科修了。博士(理学)。専門は光情報処理、光計測、画像認識、ホログラフィー応用。量子科学研究センター兼務。
光学の歴史的探究
光工学は長い歴史を持つ重要な学問分野であり、現代社会に広く影響を与えています。光学の研究は紀元前の鏡やレンズの使用にまで遡り、17世紀にはガリレオ・ガリレイが望遠鏡を改良し、ニュートンが「光の粒子説」を提唱しました。一方、ホイヘンスは光の波動性を主張し、19世紀にはヤングの干渉実験が光の波としての性質を支持し、さらにマクスウェルの電磁波理論によって、光が電磁波の一種であることが明らかになりました。
20世紀初頭には、プランクの量子論やアインシュタインの光電効果の研究により、光が粒子と波の両方の性質を持つことが確立されました。映像技術の分野では、19世紀後半にリップマンが干渉を利用したカラー写真技術を開発し、この概念はのちにガボールによるホログラフィー技術の発明へとつながりました。また、1942年にはゼルニケが位相差顕微鏡を発明し、生物学や医療分野の観察技術が飛躍的に向上しました。
20世紀初頭には、プランクの量子論やアインシュタインの光電効果の研究により、光が粒子と波の両方の性質を持つことが確立されました。映像技術の分野では、19世紀後半にリップマンが干渉を利用したカラー写真技術を開発し、この概念はのちにガボールによるホログラフィー技術の発明へとつながりました。また、1942年にはゼルニケが位相差顕微鏡を発明し、生物学や医療分野の観察技術が飛躍的に向上しました。
レーザーと光通信の革新
20世紀中盤以降、光の応用技術は急速に発展し、日常生活や産業に広く普及していきました。1950年代にはタウンズらによって「誘導放出」の概念が確立され、1960年にはメイマンが世界初のレーザーを発明しました。レーザーは光波の形を崩さず光増幅が可能であり、医療、通信、産業加工など多くの分野で不可欠な技術となっています。
さらに、1966年には低損失光ファイバーの研究が進められ、光通信技術の基盤が確立されました。これにより、高速インターネットや光ファイバー網が整備され、情報伝達の効率が大幅に向上しました。その重要性は高く評価され、2009年には光通信技術の発展に貢献した研究がノーベル賞を受賞しました。
21世紀に入ると、レーザー技術はさらに進化し、2005年にはジョン・ホールらの光周波数コム技術、2018年にはストリックランドらのチャープパルス増幅技術による超高強度レーザー、2023年にはアト秒パルス技術がノーベル賞を受賞するなど、光工学の最先端研究が大きく進展しています。また、1990年代に赤﨑勇らが開発した青色LEDは、省エネルギーで高輝度な照明の普及を促し、ディスプレイ技術の発展にも貢献しました(2014年ノーベル物理学賞)。さらに、ドナ・ストリックランドやアンヌ・リュイリエといった女性研究者のノーベル賞受賞は、多様な人材が活躍できる象徴ともなっています。
さらに、1966年には低損失光ファイバーの研究が進められ、光通信技術の基盤が確立されました。これにより、高速インターネットや光ファイバー網が整備され、情報伝達の効率が大幅に向上しました。その重要性は高く評価され、2009年には光通信技術の発展に貢献した研究がノーベル賞を受賞しました。
21世紀に入ると、レーザー技術はさらに進化し、2005年にはジョン・ホールらの光周波数コム技術、2018年にはストリックランドらのチャープパルス増幅技術による超高強度レーザー、2023年にはアト秒パルス技術がノーベル賞を受賞するなど、光工学の最先端研究が大きく進展しています。また、1990年代に赤﨑勇らが開発した青色LEDは、省エネルギーで高輝度な照明の普及を促し、ディスプレイ技術の発展にも貢献しました(2014年ノーベル物理学賞)。さらに、ドナ・ストリックランドやアンヌ・リュイリエといった女性研究者のノーベル賞受賞は、多様な人材が活躍できる象徴ともなっています。
光工学が切り拓く未来
こうした光技術の進化は、私たちの生活のあらゆる場面で重要な役割を果たしています。青色LEDの開発によって、省エネルギーで高輝度なディスプレイや照明が可能となり、光ファイバーによる高速通信の普及では、スマートフォンやインターネットが発展し、情報社会の基盤が築かれました。
さらに、自動運転技術では、レーザーを用いたLiDAR(ライダー)が導入され、周囲の環境を高精度に把握することで、安全な運転支援システムの開発が進んでいます。医療分野では、レーザー手術や内視鏡技術の進歩により、より安全で精密な治療が可能となりました。特に、光を利用した非侵襲的な診断技術も発展しており、がん検出や眼科治療などに活用されています。
また、レーザーは長さの世界標準として利用されています。レーザーをリング状に閉じ込めた高感度の角速度検出器(ジャイロ)は、宇宙航空分野の航法システムに活用されています。超大型で超高感度な干渉計と組み合わせることで、超新星爆発による重力変化が生む空間の歪みを計測し、重力波の検出も実現されています。レーザーを用いた精密加工技術は半導体製造や3Dプリンティングに活用され、より高精度な製造が可能になっています。
スマートグラスやVR/AR技術の発展も著しく、光学技術を活用した新たなインターフェースが生まれています。これにより、エンターテインメントやゲームだけでなく、医療や教育、産業分野でも新しい活用法が広がっています。
最近では、人工知能(AI)との融合が進み、光技術とAIを組み合わせることで、より高速・高精度なセンシングや解析が可能になっています。たとえば、深層学習を活用したノイズ抑制光学センサや光加工の自動制御、リアルタイム画像処理による光学測定の高度化など、光工学とAIが連携することで新たな技術が次々と生まれています。また、次世代の通信・情報処理技術として、量子通信や量子コンピュータなどの研究も進められています。
このように、光工学は私たちの生活を支える重要な技術として発展を続けており、今後もさまざまな分野での応用が期待されています。
さらに、自動運転技術では、レーザーを用いたLiDAR(ライダー)が導入され、周囲の環境を高精度に把握することで、安全な運転支援システムの開発が進んでいます。医療分野では、レーザー手術や内視鏡技術の進歩により、より安全で精密な治療が可能となりました。特に、光を利用した非侵襲的な診断技術も発展しており、がん検出や眼科治療などに活用されています。
また、レーザーは長さの世界標準として利用されています。レーザーをリング状に閉じ込めた高感度の角速度検出器(ジャイロ)は、宇宙航空分野の航法システムに活用されています。超大型で超高感度な干渉計と組み合わせることで、超新星爆発による重力変化が生む空間の歪みを計測し、重力波の検出も実現されています。レーザーを用いた精密加工技術は半導体製造や3Dプリンティングに活用され、より高精度な製造が可能になっています。
スマートグラスやVR/AR技術の発展も著しく、光学技術を活用した新たなインターフェースが生まれています。これにより、エンターテインメントやゲームだけでなく、医療や教育、産業分野でも新しい活用法が広がっています。
最近では、人工知能(AI)との融合が進み、光技術とAIを組み合わせることで、より高速・高精度なセンシングや解析が可能になっています。たとえば、深層学習を活用したノイズ抑制光学センサや光加工の自動制御、リアルタイム画像処理による光学測定の高度化など、光工学とAIが連携することで新たな技術が次々と生まれています。また、次世代の通信・情報処理技術として、量子通信や量子コンピュータなどの研究も進められています。
このように、光工学は私たちの生活を支える重要な技術として発展を続けており、今後もさまざまな分野での応用が期待されています。
光工学の教育とキャリアパス
光工学を学ぶには、まず基礎として物理学の知識が不可欠です。特に、高校物理で学ぶ波動や電磁気学の理解が重要になります。大学では、これらの基礎知識をさらに発展させ、数学やプログラミングのスキルと組み合わせて応用することが求められます。講義に加えて、物理学や化学の基礎実験を通じて、理論と実験の両面から学ぶことが大切です。
専門的な科目としては、幾何光学、波動光学、量子エレクトロニクス(レーザー技術、非線形光学、量子光学)、光通信、画像工学などを学びます。特に、光半導体技術の基礎となる固体電子工学や基礎電子工学も重要な分野です。さらに、電子回路、デジタル信号処理、高分子有機化学、生体計測などの知識を習得することで、光工学の応用範囲が広がります。実験では、光学測定や分光測定、半導体レーザーや光通信技術、電子回路やデジタル回路の設計・動作などを実践的に学びます。
卒業研究では、教員や大学院生と共に研究を行い、専門書の読解、英文原著論文の紹介、研究報告の作成を経験します。併せて、研究倫理や安全教育を受けることで、研究活動に必要な基礎的スキルを身につけます。これらの活動を通じて、実験方法の習得、データ処理、論文作成、プレゼンテーション技術などの能力を磨きます。
卒業後の進路として、多くの学生は大学院博士前期課程(修士課程)に進学し、学会での研究発表を行いながら他大学や研究機関の研究者と議論を深めます。修士課程修了後は、光学機器メーカー、電気電子企業、半導体機器メーカー、通信情報企業、電線メーカー(光ファイバー、光増幅器など)などで技術者として活躍することが多いです。また、ディスプレイ技術の開発、VR/ARデバイスの設計、映像処理技術の最適化、光センシングを活用したAIシステムの構築など、多様な分野で光工学の知識が生かされています。
博士後期課程に進学し、より高度な専門知識や研究スキルを身につけ、博士号取得を目指す道もあります。これらのスキルは、企業の研究開発職や技術職、スタートアップの立ち上げ、政策立案など、幅広い分野で生かせるため、博士号取得者の活躍は多様化しています。国内外の研究所や大学で博士研究員(ポストドクター)として経験を積み、その後、大学教員や研究機関の研究者となるキャリアもあります。
電気通信大学では、光工学分野の最先端研究を学ぶ環境が整っています。2006年にはジョン・ホール、2018年にはドナ・ストリックランドによるノーベル賞記念イベントを開催し、学生が受賞者と交流し最新の研究に触れる機会を得ました。こうした学習環境のもと、光技術の発展を担う人材が育成されています。
光工学は、今後ますます重要性が増している、挑戦しがいのある分野です。
専門的な科目としては、幾何光学、波動光学、量子エレクトロニクス(レーザー技術、非線形光学、量子光学)、光通信、画像工学などを学びます。特に、光半導体技術の基礎となる固体電子工学や基礎電子工学も重要な分野です。さらに、電子回路、デジタル信号処理、高分子有機化学、生体計測などの知識を習得することで、光工学の応用範囲が広がります。実験では、光学測定や分光測定、半導体レーザーや光通信技術、電子回路やデジタル回路の設計・動作などを実践的に学びます。
卒業研究では、教員や大学院生と共に研究を行い、専門書の読解、英文原著論文の紹介、研究報告の作成を経験します。併せて、研究倫理や安全教育を受けることで、研究活動に必要な基礎的スキルを身につけます。これらの活動を通じて、実験方法の習得、データ処理、論文作成、プレゼンテーション技術などの能力を磨きます。
卒業後の進路として、多くの学生は大学院博士前期課程(修士課程)に進学し、学会での研究発表を行いながら他大学や研究機関の研究者と議論を深めます。修士課程修了後は、光学機器メーカー、電気電子企業、半導体機器メーカー、通信情報企業、電線メーカー(光ファイバー、光増幅器など)などで技術者として活躍することが多いです。また、ディスプレイ技術の開発、VR/ARデバイスの設計、映像処理技術の最適化、光センシングを活用したAIシステムの構築など、多様な分野で光工学の知識が生かされています。
博士後期課程に進学し、より高度な専門知識や研究スキルを身につけ、博士号取得を目指す道もあります。これらのスキルは、企業の研究開発職や技術職、スタートアップの立ち上げ、政策立案など、幅広い分野で生かせるため、博士号取得者の活躍は多様化しています。国内外の研究所や大学で博士研究員(ポストドクター)として経験を積み、その後、大学教員や研究機関の研究者となるキャリアもあります。
電気通信大学では、光工学分野の最先端研究を学ぶ環境が整っています。2006年にはジョン・ホール、2018年にはドナ・ストリックランドによるノーベル賞記念イベントを開催し、学生が受賞者と交流し最新の研究に触れる機会を得ました。こうした学習環境のもと、光技術の発展を担う人材が育成されています。
光工学は、今後ますます重要性が増している、挑戦しがいのある分野です。

