何を学ぶ
動植物、微生物などの生物資源を効率的に生産・利用するための学問分野。生物学や化学を基礎とし、私たちの「食」を支える農業の持続的な生産・発展に貢献する応用科学。

望月 佑哉(もちづき ゆうや)先生
茨城大学/農学部/講師
1987年生まれ。静岡県富士市出身。東京農工大学大学院連合農学研究科修了。博士(農学)。2017年より現職。専門は園芸学。主な著書に『オランダ最新研究 環境制御のための植物生理』(農文協)。
生物生産・生物資源学分野の歴史
われわれは地球上の自然環境のなかで生きている生物の一員であり、ほかの生物種と互いに関わり合いながら生命を育んできた。生命を維持するために欠かせない食料は、狩猟や採取により獲得していた時代を経て、農耕を発展させ、周りの生物種を農作物や家畜として改良することで、高度に利用してきた。今日では、食料のみならず薬品や繊維などの工業原料、さらにはバイオエタノールなどのエネルギー源としても生物が利用されている。このため、有用生物は鉱物資源などのように生物資源と呼ばれることもある。生物資源には微生物、動物、植物など有用な生物そのものだけでなく、それらを構成する有用な遺伝子やタンパク質なども含まれる。今日、生物は農業のみならず多くの産業分野で利用されている重要な資源となっている。
本学問分野は、これまで農学、林学、畜産学、農芸化学などで取り扱われてきた学問であったが、既存の分野の枠を超えて食料問題や環境問題に対応し、人間が生物資源を高度に有効活用して持続的に発展するための新しい学問分野である。生物生産・生物資源学のうち、主として生物資源の生産に関わる分野を生物生産学、生物資源の創生や利用に関わる分野を生物資源学が担っている。
本学問分野は、これまで農学、林学、畜産学、農芸化学などで取り扱われてきた学問であったが、既存の分野の枠を超えて食料問題や環境問題に対応し、人間が生物資源を高度に有効活用して持続的に発展するための新しい学問分野である。生物生産・生物資源学のうち、主として生物資源の生産に関わる分野を生物生産学、生物資源の創生や利用に関わる分野を生物資源学が担っている。
生物生産学とは
生物生産学とは、家畜や有用動物、作物(イネやムギ)や園芸作物(リンゴ、トマト)などの有用な生物資源を高品質かつ安定的に生産・利用するための学問分野である。作物を例に説明すると、植物の栽培生理について学ぶ栽培学、野菜・果樹・花卉などの園芸作物について学ぶ園芸学、植物の病気について学ぶ植物病理学、植物の害虫や有害動物について学ぶ応用動物昆虫学、そして作物の品種改良について学ぶ育種学などの分野から構成されている。
このように、従来の農学を基礎としているが、進展が著しい分子生物学やゲノム工学、植物や動物の形状をモニタリングする農業情報学などの分野と連携し、有用生物資源の生産に関わる課題の解決を目指している。
このように、従来の農学を基礎としているが、進展が著しい分子生物学やゲノム工学、植物や動物の形状をモニタリングする農業情報学などの分野と連携し、有用生物資源の生産に関わる課題の解決を目指している。
生物資源学とは
生物資源学とは、生物資源が生産する有用な天然物やタンパク質、その設計図となるDNAの機能を解明し、それらを生産する新たな有用生物を創生し、生物資源を食品、薬品、エネルギー源などに高度利用するための学問分野である。
従来の農芸化学を基礎としているが、農学や畜産学の一部も取り込み、分子生物学やバイオテクノロジーを駆使して、現代農業における課題解決に取り組んでいる。
従来の農芸化学を基礎としているが、農学や畜産学の一部も取り込み、分子生物学やバイオテクノロジーを駆使して、現代農業における課題解決に取り組んでいる。
生物生産・生物資源学のおもしろさ
前述したように、この分野で扱う生物または生物資源は、微生物、動物、植物、およびそれらの生産物と広範囲にわたる。その種類は、農業や食品分野で有用とされる作物や家畜、そして有用微生物のみならず、医薬品や地球温暖化(例えば温室効果ガスの削減など)の解決策として用いられる微生物などが選抜され、実験に用いられる。最近では、DNAの塩基配列情報の解読スピードが飛躍的に加速化し、この分野で扱う生物や生物資源に関する遺伝情報が大量に蓄積されるようになった。
また、水田や畑、ビニールハウスなどの施設で栽培された作物の生育や収量、品質に関するデータに加え、ドローンや三次元形状記憶センサなどを利用した画像、衛生データや気象データなどから、農作物を安定的に生産するための栽培技術の確立や、植物の生育モニタリングなどが行われている。本分野では、これらミクロからマクロに広範囲にわたる大量のデータを取り扱う。作物を例に挙げると、いろいろな生理過程や環境条件に対するストレス応答の仕組みなどが分子のレベルまで解明されつつある。対象となる作物の生育と反応を分子レベルも含めて理解・整理することで、生産性や品質の向上にとって重要となる形質を具体的に探索することができる。
さらに、大量のデータを理解・整理する能力の向上を目指し、茨城大学では「農学分野データサイエンス教育プログラム」が2022年度からスタートした。附属農場である国際フィールド農学センター内の水田や畑において、スマート農業の進展を踏まえてIoT機器などを導入し、省力的で肥料や農薬の使用量を削減できる環境負荷の少ない栽培管理方法などについて検討が行われている。大量のデータをどのように収集し、そのデータをどのように利活用するのかを学生とともに探求している。
このように、生物生産・生物資源学は、農業や食品を取り巻く生物や生物資源に関するミクロからマクロなデータを取得し、それらを理解・整理しようと試みるものである。そして、限りある資源を有効活用し、われわれ人間にとって最も身近であり、かつ、グローバルな環境問題や食料問題の解決に貢献するために必要な知識や技術を習得することができる魅力的な学問分野である。
また、水田や畑、ビニールハウスなどの施設で栽培された作物の生育や収量、品質に関するデータに加え、ドローンや三次元形状記憶センサなどを利用した画像、衛生データや気象データなどから、農作物を安定的に生産するための栽培技術の確立や、植物の生育モニタリングなどが行われている。本分野では、これらミクロからマクロに広範囲にわたる大量のデータを取り扱う。作物を例に挙げると、いろいろな生理過程や環境条件に対するストレス応答の仕組みなどが分子のレベルまで解明されつつある。対象となる作物の生育と反応を分子レベルも含めて理解・整理することで、生産性や品質の向上にとって重要となる形質を具体的に探索することができる。
さらに、大量のデータを理解・整理する能力の向上を目指し、茨城大学では「農学分野データサイエンス教育プログラム」が2022年度からスタートした。附属農場である国際フィールド農学センター内の水田や畑において、スマート農業の進展を踏まえてIoT機器などを導入し、省力的で肥料や農薬の使用量を削減できる環境負荷の少ない栽培管理方法などについて検討が行われている。大量のデータをどのように収集し、そのデータをどのように利活用するのかを学生とともに探求している。
このように、生物生産・生物資源学は、農業や食品を取り巻く生物や生物資源に関するミクロからマクロなデータを取得し、それらを理解・整理しようと試みるものである。そして、限りある資源を有効活用し、われわれ人間にとって最も身近であり、かつ、グローバルな環境問題や食料問題の解決に貢献するために必要な知識や技術を習得することができる魅力的な学問分野である。
生物生産・生物資源学のカリキュラム
この分野のカリキュラムでは、まず生物学や化学に関する基礎科目、分子生物学や生化学などの専門的な基礎科目群を中心に学修し、その後、応用科目群を学びながら実験・実習科目、卒業研究を通して専門性を高めていく。茨城大学農学部を例に挙げると、食生命科学科では、生命科学、食品の加工、流通、安全性について学び、生物機能の高度利用、安全な食の供給による食料問題の解決を学ぶためのカリキュラムが構築されている。地域総合農学科の応用植物科学コース(2025年度農業科学コースから名称変更)では、農作物や園芸作物などの生産技術や品種開発の専門知識に加え、農業経営等についても学修し、地域の農業生産を支える力を身につけるためのカリキュラムが、地域共生コースでは、農地と水の利用に関する専門科目や実習に加え、地域の問題を社会科学的観点から考察することで豊かな地域づくりを支える力を身につけるためのカリキュラムが構築されている。また、茨城大学では国内外で活躍できる人材を輩出するため、3年次後期に東南アジアの大学へ半年間留学し、その国の食料生産と食の安全性について学ぶことができる。
いずれの学科も、生物や化学を中心に専門性を深め、卒業研究では両学科の特色を生かした課題に取り組む。また、この分野は産業との結びつきが強く、地域や関連業種で活躍している方を講師として招き、実践的な視野を身につけられるような科目も初年次から設定されている。
いずれの学科も、生物や化学を中心に専門性を深め、卒業研究では両学科の特色を生かした課題に取り組む。また、この分野は産業との結びつきが強く、地域や関連業種で活躍している方を講師として招き、実践的な視野を身につけられるような科目も初年次から設定されている。
卒業後の進路
大学によっても異なるが、卒業後は3~5割の学生が大学院に進学し、より高度な専門性を身につけるべく学修・研究を続けている。一方、学部で卒業する場合は、農業分野に加え、食品、医薬品、環境関連の企業に就職することが多い。また、国や都道府県の公務員採用試験を受験し、行政職や試験研究職として公的機関で活躍する卒業生もいる。
この分野で学んだ学生は、生物生産・生物資源学の専門知識を身につけるだけでなく、広い視野で科学的に社会を見る能力も養われる。したがって、卒業生のなかには商業やサービス業などの異業種で活躍する人もいる。2年間の大学院修士課程を修了した学生も、学部卒業生と同様に専門性を生かせる業種に就職するが、より専門性の高い研究・開発職に就く可能性が高い。また、大学や公的研究機関の研究者を目指し、さらに3年間の博士課程に進学し、博士号の取得を目指す学生もいる。修了生は実際に研究者や大学の教員など多方面で活躍している。
この分野で学んだ学生は、生物生産・生物資源学の専門知識を身につけるだけでなく、広い視野で科学的に社会を見る能力も養われる。したがって、卒業生のなかには商業やサービス業などの異業種で活躍する人もいる。2年間の大学院修士課程を修了した学生も、学部卒業生と同様に専門性を生かせる業種に就職するが、より専門性の高い研究・開発職に就く可能性が高い。また、大学や公的研究機関の研究者を目指し、さらに3年間の博士課程に進学し、博士号の取得を目指す学生もいる。修了生は実際に研究者や大学の教員など多方面で活躍している。
生物生産・生物資源学を目指す人へ
生物生産・生物資源学は、食料、生命および環境など広い分野にまたがる学問分野であるため、学科名は同じでも大学によってカリキュラムやコースには特色があり、大きく異なる場合がある。したがって、志望校の選択には注意が必要である。各大学のホームページやパンフレットを参考にするのはもちろんであるが、志望大学に所属する教員の研究・教育内容などを参考に志望校を決定するのもよい。さらに深く知りたい場合は、志望校の大学院修士課程のパンフレットや、教員の研究者情報を閲覧するのもよい。

