何を学ぶ
歯学は、歯や口だけでなく、全身の一部として、さまざまな病気や健康を追求する。21世紀の歯科医療と次世代の治療の開発を追求、実現する奥の深い学問。

西村 理行(にしむら りこう)先生
大阪大学/大学院歯学研究科/特任教授
大阪大学歯学部卒。同大学院歯学研究科(第二口腔外科:歯学博士)、ニューヨーク大学医学部、テキサス大学医学部、大阪大学教授、歯学研究科長・歯学部長を経て現職。
歯学部での学び
皆さんは、歯科医師や歯学部にどのようなイメージをお持ちだろうか。「齲蝕(うしょく)(むし歯)や歯周病(歯槽膿漏)の治療や学習を行う」、「手先が器用な人が細かい作業のテクニックを習得する」などがまず思い浮かぶのではないだろうか。
大阪大学歯学部附属病院では、口腔がん、口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)、顎顔面発育・形成異常に対する治療を行っており、これらの病気の原因、症状、治療法を学ぶ。また大きな外科手術を伴う矯正治療、歯周病に対する新規再生治療、顎顔面の再建を考慮した大規模なインプラント治療、緻密な小児歯科や障がい者歯科治療、予防歯科治療、さらに進めた予測歯科医学など、多岐にわたる高度かつ専門的な歯科医学と歯科医療を学習することができる。
人生100年時代を迎え、“健康寿命”に加えて、人生を豊かに過ごすこと、すなわち“幸福寿命”を長く保つことが求められている。大阪大学歯学部・歯学研究科では、「より良く、“食べる”、“味わう”、“話す”、“暮らす”、“生きる”」ことを目標として教育、研究、診療を行っている。
大阪大学歯学部附属病院では、口腔がん、口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)、顎顔面発育・形成異常に対する治療を行っており、これらの病気の原因、症状、治療法を学ぶ。また大きな外科手術を伴う矯正治療、歯周病に対する新規再生治療、顎顔面の再建を考慮した大規模なインプラント治療、緻密な小児歯科や障がい者歯科治療、予防歯科治療、さらに進めた予測歯科医学など、多岐にわたる高度かつ専門的な歯科医学と歯科医療を学習することができる。
人生100年時代を迎え、“健康寿命”に加えて、人生を豊かに過ごすこと、すなわち“幸福寿命”を長く保つことが求められている。大阪大学歯学部・歯学研究科では、「より良く、“食べる”、“味わう”、“話す”、“暮らす”、“生きる”」ことを目標として教育、研究、診療を行っている。
全身と口腔の関連を学び、科学する
歯学部では、歯や口だけではなく、全身を意識して、歯・口腔に関する教育、研究を行っている。
たとえば、高血圧、心疾患、糖尿病など全身の病気に対して治療を受けている患者さんの全身状態や治療内容を知らずに歯科医療を行うことは非常に危険だ。口腔の病気に対する教育と研究を行う上で、全身を深く理解して歯科医学・歯科医療に臨むことが不可欠だ。
最近では、歯周病などの歯科疾患が心臓や血管の病気、糖尿病などに深く関与していることが明らかになっている。したがって、全身から歯・口腔を、そして歯・口腔から全身を理解する必要性があるため、全身と口腔の関連を科学して、教育、研究を行っている。
たとえば、高血圧、心疾患、糖尿病など全身の病気に対して治療を受けている患者さんの全身状態や治療内容を知らずに歯科医療を行うことは非常に危険だ。口腔の病気に対する教育と研究を行う上で、全身を深く理解して歯科医学・歯科医療に臨むことが不可欠だ。
最近では、歯周病などの歯科疾患が心臓や血管の病気、糖尿病などに深く関与していることが明らかになっている。したがって、全身から歯・口腔を、そして歯・口腔から全身を理解する必要性があるため、全身と口腔の関連を科学して、教育、研究を行っている。
21世紀の歯科医学、歯科医療の推進 次の20年、30年を見定めて
20世紀後半の生命科学と医学の劇的進歩を受けて、大阪大学歯学部・歯学研究科では、細胞生物学、分子生物学、遺伝子工学、遺伝学、発生工学を取り入れて、先進的に歯科医学をきわめ、歯科医療への展開を目指している。特に、歯、口腔、顎顔面の発生、発育とさまざまな病気のメカニズムを、遺伝子、分子、細胞および動物やヒトのレベルで深く理解し、緻密かつダイナミックに研究を展開している。
大阪大学歯学部では、日本の歯学部として唯一21世紀COEプログラムに採択され、“BioDentistryの創生”に成功している(図1 )。これら研究成果の情報は、歯学部生も講義や実習、あるいは基礎配属実習(カリキュラムで後述)を通じて享受できる。World-leading Dental Schoolとして世界を牽引できるのは、卓越した研究力と人材育成を基盤としているからである。
さらに最近の生成AIに代表される、AIやビッグデータを利用した情報科学の生命科学への融合も必須となっている。大阪大学歯学部・歯学研究科は、AI研究、バイオインフォマティクス研究(生命科学の膨大な遺伝情報を取得し、コンピューターにて解析する技術)をいち早く取り入れ、令和時代に相応しい歯科医学研究を展開している。
AI研究やバイオインフォマティクス研究を活用することで、これまではSFの世界と思われていた、パーソナル歯科医療やオーダーメイド歯科医療が実現可能となってきている。たとえば、患者さんの個々の遺伝情報に基づいて、ある病気になる可能性や薬の効きやすさ・副作用の診断なども可能になる(図1 )。
また、大阪大学歯学部・歯学研究科は、再生歯科医学を確立している。FGF2という物質を用いることにより、従来では治療の改善が見られなかった歯周病患者さんを保険診療で治療できるようになった。最近では、患者さん自身のお腹の脂肪から骨や歯茎になる能力の細胞を取り出して、その患者さんの歯周病を治療する新世代の歯科再生治療の臨床研究も進めている(図1 )。
このように大阪大学歯学部・歯学研究科は、20年、30年先の未来を見据えて、最先端の歯科医学研究を展開し、その成果を歯科医療に応用することで世界をリードしている。
大阪大学歯学部では、日本の歯学部として唯一21世紀COEプログラムに採択され、“BioDentistryの創生”に成功している(
さらに最近の生成AIに代表される、AIやビッグデータを利用した情報科学の生命科学への融合も必須となっている。大阪大学歯学部・歯学研究科は、AI研究、バイオインフォマティクス研究(生命科学の膨大な遺伝情報を取得し、コンピューターにて解析する技術)をいち早く取り入れ、令和時代に相応しい歯科医学研究を展開している。
AI研究やバイオインフォマティクス研究を活用することで、これまではSFの世界と思われていた、パーソナル歯科医療やオーダーメイド歯科医療が実現可能となってきている。たとえば、患者さんの個々の遺伝情報に基づいて、ある病気になる可能性や薬の効きやすさ・副作用の診断なども可能になる(
また、大阪大学歯学部・歯学研究科は、再生歯科医学を確立している。FGF2という物質を用いることにより、従来では治療の改善が見られなかった歯周病患者さんを保険診療で治療できるようになった。最近では、患者さん自身のお腹の脂肪から骨や歯茎になる能力の細胞を取り出して、その患者さんの歯周病を治療する新世代の歯科再生治療の臨床研究も進めている(
このように大阪大学歯学部・歯学研究科は、20年、30年先の未来を見据えて、最先端の歯科医学研究を展開し、その成果を歯科医療に応用することで世界をリードしている。
大阪大学歯学部の魅力的なカリキュラム
歯学部の修業年限は、6年間(図2 )。大阪大学歯学部では、1年次から2年次前期までは、外国語、数学、物理学、化学、生物学、文系学問、保健体育など、さまざまな科目を共通教育科目として学ぶ。総合大学の優位性を生かして、必修科目以外の科目も履修可能で、幅広い学問的かつ社会的視野を形成する。2年次後半からは、解剖学、生化学、生理学、組織学、3年次からは、薬理学、細菌学、病理学、歯科理工学、衛生学などの基礎歯科医学について学習する。講義だけでなく、全身の解剖実習をはじめ、多くの実習も行い、歯科医学の根幹をなす基礎歯科医学と基礎医学に関する知識を修得する。
3年次では、基礎配属実習が組み込まれており、解剖学、生化学、生理学、薬理学、細菌学、病理学、歯科理工学などの基礎講座に少数単位で配属される。最先端の基礎歯科医学研究、基礎医学研究および生命科学研究に携わり、研究者としての素養を身につける。基礎配属実習で涵養(かんよう)される研究マインドは、研究者になるためだけでなく、歯科医師として科学的・論理的に医療を考え、治療を行うことにも大きく役立つ。歯学部生自身が学会や一流学術国際誌に成果発表した例も少なくない。基礎配属実習終了後も研究室で研究を継続した成果報告はもちろん、遺伝子ノックアウトマウスを作製し、解析を行った成果発表など、多様な形で歯科医学研究に貢献している。
4年次からは、補綴(ほてつ)学、保存学、歯周病学、口腔外科学、小児歯科学、矯正歯科学、歯科麻酔学などの臨床歯科医学の講義や実習が始まる。5年次では、臨床実習に進むために必要な知識と態度・技能を有することを判定するために、CBT(Computer Based Testing)とOSCE(Objective Structured Clinical Examination)からなる共用試験を受験する。
共用試験に合格すると、臨床実習生(歯学)として、5年次後半から実施される臨床実習に参画。臨床実習は、歯学部附属病院・医学部附属病院および学外の病院等にて約1年間実施され、インストラクターの指導のもと患者さんの診察や診療を体験し、歯科医師として必要な資質を涵養するとともに、知識、態度、技能の獲得を目指す。
一方、国際性豊かなグローバル歯科医師・研究者としての素養を備える一環として、希望者に欧米アジアの協定大学の歯学部への短期留学プログラム(1~2週間程度)を準備している。留学期間としては短期間だが、語学への壁の意識を取り払い、国際ネットワークを形成することに加え、海外文化への理解を深め、国際性を涵養することなどを目的とした充実したプログラムである。
3年次では、基礎配属実習が組み込まれており、解剖学、生化学、生理学、薬理学、細菌学、病理学、歯科理工学などの基礎講座に少数単位で配属される。最先端の基礎歯科医学研究、基礎医学研究および生命科学研究に携わり、研究者としての素養を身につける。基礎配属実習で涵養(かんよう)される研究マインドは、研究者になるためだけでなく、歯科医師として科学的・論理的に医療を考え、治療を行うことにも大きく役立つ。歯学部生自身が学会や一流学術国際誌に成果発表した例も少なくない。基礎配属実習終了後も研究室で研究を継続した成果報告はもちろん、遺伝子ノックアウトマウスを作製し、解析を行った成果発表など、多様な形で歯科医学研究に貢献している。
4年次からは、補綴(ほてつ)学、保存学、歯周病学、口腔外科学、小児歯科学、矯正歯科学、歯科麻酔学などの臨床歯科医学の講義や実習が始まる。5年次では、臨床実習に進むために必要な知識と態度・技能を有することを判定するために、CBT(Computer Based Testing)とOSCE(Objective Structured Clinical Examination)からなる共用試験を受験する。
共用試験に合格すると、臨床実習生(歯学)として、5年次後半から実施される臨床実習に参画。臨床実習は、歯学部附属病院・医学部附属病院および学外の病院等にて約1年間実施され、インストラクターの指導のもと患者さんの診察や診療を体験し、歯科医師として必要な資質を涵養するとともに、知識、態度、技能の獲得を目指す。
一方、国際性豊かなグローバル歯科医師・研究者としての素養を備える一環として、希望者に欧米アジアの協定大学の歯学部への短期留学プログラム(1~2週間程度)を準備している。留学期間としては短期間だが、語学への壁の意識を取り払い、国際ネットワークを形成することに加え、海外文化への理解を深め、国際性を涵養することなどを目的とした充実したプログラムである。
歯学部卒業後の輝く未来と多様なキャリアパス
歯学部卒業後のキャリアパスとして、歯科医院での勤務や歯科医院の開業を想像する人が多いのではないだろうか。歯学部卒業後に歯科医師として勤務するためには、歯科医師国家試験に合格し、研修歯科医として1~2年間の臨床研修を修了しなければならない(図2 )。大阪大学歯学部のほぼ全ての卒業生は、歯学部附属病院、関連病院、関連歯科医院あるいは全国の研修機関で研修する。
歯科医師臨床研修後のキャリアパスとしては、「一般歯科医師として勤務し、将来的に開業する」だけでなく、「歯学部あるいは医学部、生命科学関連学部の大学や研究機関で研究者や教育者(学部生・大学院生)として活躍する」、「大学病院や中核病院にて先端的な歯科医療や口腔外科、矯正歯科、再生歯科医療など専門性の高い高度歯科医療に取り組む」、「文部科学省や厚生労働省の官僚や医官、あるいは地方自治体の技官として歯科医学や歯科医療の行政に携わる」、「保健所で公衆衛生と歯科医療の意義を普及できる」、「ベンチャー企業などを起こし産業界で活躍する」など多くの可能性がある(図2 )。
これらの多様なキャリアパスの中から、多くの可能性にあふれた未来を切り拓くことができる。特に大阪大学大学院歯学研究科では、世界最先端の歯科医学、医学、生命科学、情報科学やAIを活用した研究を展開することができ、実際、大阪大学歯学部卒業生の過半数が、歯学研究科に進学し、歯科医師、歯科医学研究者・教育者、行政関係者として、将来のキャリアパスを構築している。
さらに、大阪大学歯学部附属病院では、齲蝕や歯周病に対する一般歯科、小児歯科、矯正歯科、口腔外科、再生歯科医療、インプラント治療などの世界最先端の歯科医療を展開できる。特に、口腔がんでは口腔がんセンターが中心となり、手術、抗がん剤による化学療法、放射線治療による集約的治療を行っている。口唇口蓋裂に対しては、口唇裂・口蓋裂・口腔顔面生育治療センターが中心となり、授乳期の哺乳指導、一次形成手術、発音に対する治療、外科手術を含めた矯正治療、成人での二次手術と生涯一貫治療を行っている。近未来歯科医療センターや口腔インプラントセンターでは、歯周病に対する最新の再生歯科医療や最先端のインプラント治療を進めている。
また、大阪大学歯学部は、歯学部附属病院以外に、関西・近畿圏を中心に30以上の中核関連病院を有し、大学病院と同等の高度かつ専門的歯科医療を展開できる。関連病院では、内科、外科をはじめ、多くの医師や医療関係者と協働して、専門性を高め、広いネットワークを築ける。
歯科医師臨床研修後のキャリアパスとしては、「一般歯科医師として勤務し、将来的に開業する」だけでなく、「歯学部あるいは医学部、生命科学関連学部の大学や研究機関で研究者や教育者(学部生・大学院生)として活躍する」、「大学病院や中核病院にて先端的な歯科医療や口腔外科、矯正歯科、再生歯科医療など専門性の高い高度歯科医療に取り組む」、「文部科学省や厚生労働省の官僚や医官、あるいは地方自治体の技官として歯科医学や歯科医療の行政に携わる」、「保健所で公衆衛生と歯科医療の意義を普及できる」、「ベンチャー企業などを起こし産業界で活躍する」など多くの可能性がある(
これらの多様なキャリアパスの中から、多くの可能性にあふれた未来を切り拓くことができる。特に大阪大学大学院歯学研究科では、世界最先端の歯科医学、医学、生命科学、情報科学やAIを活用した研究を展開することができ、実際、大阪大学歯学部卒業生の過半数が、歯学研究科に進学し、歯科医師、歯科医学研究者・教育者、行政関係者として、将来のキャリアパスを構築している。
さらに、大阪大学歯学部附属病院では、齲蝕や歯周病に対する一般歯科、小児歯科、矯正歯科、口腔外科、再生歯科医療、インプラント治療などの世界最先端の歯科医療を展開できる。特に、口腔がんでは口腔がんセンターが中心となり、手術、抗がん剤による化学療法、放射線治療による集約的治療を行っている。口唇口蓋裂に対しては、口唇裂・口蓋裂・口腔顔面生育治療センターが中心となり、授乳期の哺乳指導、一次形成手術、発音に対する治療、外科手術を含めた矯正治療、成人での二次手術と生涯一貫治療を行っている。近未来歯科医療センターや口腔インプラントセンターでは、歯周病に対する最新の再生歯科医療や最先端のインプラント治療を進めている。
また、大阪大学歯学部は、歯学部附属病院以外に、関西・近畿圏を中心に30以上の中核関連病院を有し、大学病院と同等の高度かつ専門的歯科医療を展開できる。関連病院では、内科、外科をはじめ、多くの医師や医療関係者と協働して、専門性を高め、広いネットワークを築ける。
大阪大学歯学部が期待する学生
大阪大学歯学部は、健康科学に貢献できる創造力を備え、歯学分野における次世代のリーダーを目指す意欲ある人を求めている。
特に、大阪大学歯学部に魅力を感じている人のなかでも、1)最先端の歯科医療を展開すること、2)世界の歯科医学、医学あるいは生命科学の研究を牽引すること、3)再生医療、遺伝子治療や創薬(治療薬の開発)などの新規治療法・早期診断法の開発、4)歯科医療の行政に携わり、国民の健康増進に貢献すること―に熱意を有する人に、受験してもらいたいと願っている。大きな一つの希望としては、“偏差値”という物差しだけで受験を判断せずに、世界の歯科医学と歯科医療のリーダーを目指す熱意と意欲を有する受験生を切望している。
特に、大阪大学歯学部に魅力を感じている人のなかでも、1)最先端の歯科医療を展開すること、2)世界の歯科医学、医学あるいは生命科学の研究を牽引すること、3)再生医療、遺伝子治療や創薬(治療薬の開発)などの新規治療法・早期診断法の開発、4)歯科医療の行政に携わり、国民の健康増進に貢献すること―に熱意を有する人に、受験してもらいたいと願っている。大きな一つの希望としては、“偏差値”という物差しだけで受験を判断せずに、世界の歯科医学と歯科医療のリーダーを目指す熱意と意欲を有する受験生を切望している。


