何を学ぶ
インテリア、住宅に興味がある学生の興味をさらに伸ばし、現実の住宅、集合住宅等の設計や管理・運営に役立つように、設計製図、環境、構造、法規等さまざまな科目を学ぶ。

小池 孝子(こいけ たかこ)先生
東京家政学院大学/生活共創学部
生活共創学科住環境デザインコース/教授
生活共創学科住環境デザインコース/教授
三重県出身。名古屋大学経済学部経済学科卒業、日本女子大学家政学部住居学科卒業、同大学大学院博士課程修了。一級建築士。著書に『保育環境のデザイン』(共著・全国社会福祉協議会)など。
住居学とは何か
住居学は、住宅、住宅のインテリア、住宅地などの住環境が有するさまざまな問題を解決し、豊かな生活の実現を目指す学問だ。また家政学と建築工学の2分野に大きく関係し、そのほかに都市工学、経済学、法律学、美術などにも関わる広範な領域をカバーする。社会における実業としては、ハウスメーカーや中小工務店による戸建・集合住宅の企画、設計、施工、管理、建設会社(ゼネコン)によるマンションの企画、設計、施工、管理、リフォーム会社などによる戸建住宅やマンションのリフォーム、不動産会社による企画開発、売買、仲介、管理・運営などに対応し、それらを合わせると国内での経済規模は非常に大きいものとなっている。
住居学の現代的課題
日本社会は未曾有(みぞう)の少子高齢化、人口減少社会に突入し、使われない空き家の問題がクローズアップされている。住宅やマンションの新築分譲も、このまま人口が減れば、頭打ちになるのは明らかである。古い空き家やマンションを耐震補強、断熱補強した上でリフォームし、再利用することも盛んに行われるようになってきた。それにしたがって、ハウスメーカーもリフォーム会社を立ち上げ、ホームセンターや家電業界も、リフォームに参入して、リフォーム事業の経済規模も急速に伸びている。これからの住居学の実務では、いかに空き家や古いマンションを高齢者や家を持てない若い世代に合うようにリフォームするかも、大きなテーマになっている。また、都市部への人口集中によって、地方都市のコンパクト化が喫緊(きっきん)の課題となり、都心部は次々に高層化され、高密度化している。2020年からコロナ禍での在宅ワークの進展で、狭い住居内でのワークスペースの確保や人間関係のストレスも問題となった。高層住居では、火事や地震などの災害ばかりでなく、接地性の悪い住宅における子どもの遊び場の確保や心理的な不安なども問題として上がってきている。現在、日本の住宅の4割以上をマンションが占めている。分譲マンションでは住民同士が協力して建物の修繕や生活ルールづくりといった管理・運営を行う必要があるが、人間関係が希薄化する現代では困難も多く、専門家によるアドバイスが求められている。
さらに、温暖化による温度上昇、海面上昇、豪雨の問題も、住居に大きく影響する。原始以来、水に近い土地に住んできた人間だが、ここにきて低地に住む危うさが指摘されている。脱炭素、省エネも社会的課題となり、ZEH(ゼッチ)*の制度化により、住宅においても創エネルギー・省エネルギーが進んでいる。
少子高齢化社会では一億総活躍が叫ばれ、女性も仕事に出るのが普通となった。ゼネコン(総合建設業)の現場で働く施工管理者にも、整理整頓の得意な女性を多く求めていて、国からも女性の比率や現場のトイレにまで指導が入っている。筆者の働く大学の女子卒業生も、大手ゼネコンの施工管理部に多く就職している。世をあげて女性活躍がうたわれているが、その場合保育園の受け入れ児童数が緊急の課題である。住居学では、保育における空間づくりもテーマの一つである。
さらに、温暖化による温度上昇、海面上昇、豪雨の問題も、住居に大きく影響する。原始以来、水に近い土地に住んできた人間だが、ここにきて低地に住む危うさが指摘されている。脱炭素、省エネも社会的課題となり、ZEH(ゼッチ)*の制度化により、住宅においても創エネルギー・省エネルギーが進んでいる。
少子高齢化社会では一億総活躍が叫ばれ、女性も仕事に出るのが普通となった。ゼネコン(総合建設業)の現場で働く施工管理者にも、整理整頓の得意な女性を多く求めていて、国からも女性の比率や現場のトイレにまで指導が入っている。筆者の働く大学の女子卒業生も、大手ゼネコンの施工管理部に多く就職している。世をあげて女性活躍がうたわれているが、その場合保育園の受け入れ児童数が緊急の課題である。住居学では、保育における空間づくりもテーマの一つである。
主な学科とカリキュラム
住宅、建築、インテリアの歴史、構法、構造、環境、設備、材料、建築法規など、幅広い知識を身につける必要があるが、もっとも重要な演習科目が「設計製図」である。小・中・高とほとんど製図と無縁だった学生たちにとって、製図はかなりハードルの高い学習分野である。
しかし、住宅、建築、インテリアを表現するのに、写真では大雑把(おおざっぱ)すぎ、3Dでは寸法や材料が曖昧(あいまい)でわからない。平面図、立面図、断面図という基本的な図面の書き方を演習で学び、ほかに、パース(透視図)、アクソノメトリック図、アイソメトリック図なども学習する。1年次〜4年次に至るまで、デザイン、製図、模型製作などをすることで、自分の作品をつくる楽しみを味わいながら住宅や建築の基本を修得する。この「設計製図」という科目が、住居学、建築学ともに、もっともおもしろくも大変な、他学科にはない科目となる。設計製図を避けて通るわけにはいかないが、積極的に作品制作をすると、あっという間に4年間が過ぎることと思う。手先の不器用な人は、手書きの図面がうまく書けないと悩むことがある。しかし現在は、高性能のパソコンが廉価で買える時代である。CAD(キャド)*というコンピュータで図面を引くソフトも普及しているので、心配はいらない。また3Dを起こすソフトも出ていて、3DやCADは無料ソフトもネットから多数ダウンロードできるので、利用するとよい。
住居学志望の生徒でよく心配されるのが、物理や数学ができなくて大丈夫かということである。構造や環境・設備の分野では、物理、数学が必要だが、それも基礎的な部分である。一級建築士、二級建築士の試験では、微積分を使う問題は出題されていない。数学、物理に自信のない人も、大学に入ってから、物理における力学の基礎や数学の基本をやり直せば、対応は十分可能である。
代表的な授業科目を以下に紹介しよう。
A. 住生活・住居計画系
住生活論、住居管理論、住居経済、住居計画、住環境法規など
B. 歴史・意匠系
生活史、住居史、西洋建築史、日本建築史、住居意匠論、住居設計論、インテリアデザイン論など
C. 構法・構造系
構法計画、構造力学、構造計画、建築材料、建築施工など
D. 環境・設備系
住居環境工学、建築設備論、住居衛生学、住居気候学など
E. 実習・演習系
建築設計製図、住居設計製図、インテリア設計製図、環境調査、卒業設計など
卒業研究では、配属された研究室にて、設計または論文を完成させる。設計における独自性、オリジナルな表現、論文における客観性、論理性など、根本的で本質的な議論によって、自分で考え、まとめる力が養われる。4年間でもっとも充実した時期となる。大学や学科によって、住居に重点を置くもの、大規模な建築に重点を置くもの、インテリアに重点を置くものなど、さまざまである。同じインテリアにおいても、住居系なのか商業系なのかで、だいぶ雰囲気が異なる。どのような建築家やデザイナーの先生がいるかを事前に調べてみるのもいいだろう。
しかし、住宅、建築、インテリアを表現するのに、写真では大雑把(おおざっぱ)すぎ、3Dでは寸法や材料が曖昧(あいまい)でわからない。平面図、立面図、断面図という基本的な図面の書き方を演習で学び、ほかに、パース(透視図)、アクソノメトリック図、アイソメトリック図なども学習する。1年次〜4年次に至るまで、デザイン、製図、模型製作などをすることで、自分の作品をつくる楽しみを味わいながら住宅や建築の基本を修得する。この「設計製図」という科目が、住居学、建築学ともに、もっともおもしろくも大変な、他学科にはない科目となる。設計製図を避けて通るわけにはいかないが、積極的に作品制作をすると、あっという間に4年間が過ぎることと思う。手先の不器用な人は、手書きの図面がうまく書けないと悩むことがある。しかし現在は、高性能のパソコンが廉価で買える時代である。CAD(キャド)*というコンピュータで図面を引くソフトも普及しているので、心配はいらない。また3Dを起こすソフトも出ていて、3DやCADは無料ソフトもネットから多数ダウンロードできるので、利用するとよい。
住居学志望の生徒でよく心配されるのが、物理や数学ができなくて大丈夫かということである。構造や環境・設備の分野では、物理、数学が必要だが、それも基礎的な部分である。一級建築士、二級建築士の試験では、微積分を使う問題は出題されていない。数学、物理に自信のない人も、大学に入ってから、物理における力学の基礎や数学の基本をやり直せば、対応は十分可能である。
代表的な授業科目を以下に紹介しよう。
住生活論、住居管理論、住居経済、住居計画、住環境法規など
生活史、住居史、西洋建築史、日本建築史、住居意匠論、住居設計論、インテリアデザイン論など
構法計画、構造力学、構造計画、建築材料、建築施工など
住居環境工学、建築設備論、住居衛生学、住居気候学など
建築設計製図、住居設計製図、インテリア設計製図、環境調査、卒業設計など
卒業研究では、配属された研究室にて、設計または論文を完成させる。設計における独自性、オリジナルな表現、論文における客観性、論理性など、根本的で本質的な議論によって、自分で考え、まとめる力が養われる。4年間でもっとも充実した時期となる。大学や学科によって、住居に重点を置くもの、大規模な建築に重点を置くもの、インテリアに重点を置くものなど、さまざまである。同じインテリアにおいても、住居系なのか商業系なのかで、だいぶ雰囲気が異なる。どのような建築家やデザイナーの先生がいるかを事前に調べてみるのもいいだろう。
資格と仕事
卒業後は一級建築士・二級建築士の試験を受けることができる。ただし、一級建築士の免許登録には一定の実務経験が必要となる。
在学中は、宅地建物取引士、インテリアコーディネーター、インテリアプランナー、福祉住環境コーディネーターなどの資格を取ることで、自分の能力に磨きをかけると同時に、将来の仕事への備えをすることができる。大学によって取れる資格や、必要実務年数が異なるので確認が必要である。
家は、電化製品や車のように、海外で生産して輸入するということができない。部品や製品は輸入できても、土地の上にコンクリートの基礎を作って、その上に組み立てて、配管、配線の工事を行わねばならない。その後に、内外装を作らねばならない。どんなに小さな町にも、工務店や設備業者がある。また、不動産と言うように、動かない資産なので、やはり海外に持っていけない。時代がどう移り変わっても、日本からなくならない仕事である。
ものをつくるのが好き、家や街を見て歩くのが好き、インテリアに興味があるといった人は、ぜひ、この分野の学習を検討してみてほしい。
在学中は、宅地建物取引士、インテリアコーディネーター、インテリアプランナー、福祉住環境コーディネーターなどの資格を取ることで、自分の能力に磨きをかけると同時に、将来の仕事への備えをすることができる。大学によって取れる資格や、必要実務年数が異なるので確認が必要である。
家は、電化製品や車のように、海外で生産して輸入するということができない。部品や製品は輸入できても、土地の上にコンクリートの基礎を作って、その上に組み立てて、配管、配線の工事を行わねばならない。その後に、内外装を作らねばならない。どんなに小さな町にも、工務店や設備業者がある。また、不動産と言うように、動かない資産なので、やはり海外に持っていけない。時代がどう移り変わっても、日本からなくならない仕事である。
ものをつくるのが好き、家や街を見て歩くのが好き、インテリアに興味があるといった人は、ぜひ、この分野の学習を検討してみてほしい。
*ZEH=net Zero Energy Houseの略語で、「エネルギー収支をゼロ以下にする家」という意味。家庭で使用するエネルギーと、太陽光発電などで創るエネルギーをバランスして、1年間で消費するエネルギーの量を実質的にゼロ以下にする家のこと。
*CAD=Computer Aided Design:コンピュータ支援設計。


