何を学ぶ
体育・スポーツ・健康に関する最先端の研究に裏付けられた理論を広く学び、これを高いレベルの実技実践と結びつける、文武両道の教育が行われているところに特徴がある。

酒井 利信(さかい としのぶ)先生
筑波大学/体育系/教授
1964年生まれ。神奈川県出身。筑波大学大学院修了。博士(体育科学)。剣道教士七段。著書に『刀剣の歴史と思想』(日本武道館)、『日本剣道の歴史』(スキージャーナル)、『武道研究の道標』(デザインエッグ)などがある。
体育学とは
体育という用語は、そもそもPhysical Educationの訳語であると言われている。そうなると体育学は教育の問題に限られることになるが、現在ではもっと広い意味で、身体教育はもちろん、身体活動に関する文化史、身体の成り立ちや仕組み、身体の健康、身体運動であるスポーツ競技そのものといったような、身体に関する事象全てを対象とした実に広範囲にわたる学問と考えて良い。
ここで、大学における体育学とは何かということを考えてみたい。そもそも大学には大きく二つの機能があると言われている。それは、研究と教育である。では研究とは何かというと、「未解決問題の解明」であると私は考えている。世の中にはわかっていないことが実にたくさんある。このわかっていないこと、つまり未解決の問題を解き明かすのが研究である。勉強は、既にわかっていることを知識として身につけることと考えて良い。大学は、未解決の問題を解明する最先端の研究を行うところであり、同時にその研究によってわかった研究成果を学生に還元する教育の場(学生にとっては勉強の場)である。つまり、大学によって教える内容は異なってくるため、自分が受けたい教育に関して高度な研究を行っている大学に行く必要がある。体育学の場合、研究対象は身体に関わる事柄ということになる。さらに体育学の特殊なところは、学生に還元する教育内容として、最先端の研究成果に加えて高い運動技術が含まれるという点である。
以下、研究と教育に分けて大学における体育学について、筑波大学を例に概説していきたい。
ここで、大学における体育学とは何かということを考えてみたい。そもそも大学には大きく二つの機能があると言われている。それは、研究と教育である。では研究とは何かというと、「未解決問題の解明」であると私は考えている。世の中にはわかっていないことが実にたくさんある。このわかっていないこと、つまり未解決の問題を解き明かすのが研究である。勉強は、既にわかっていることを知識として身につけることと考えて良い。大学は、未解決の問題を解明する最先端の研究を行うところであり、同時にその研究によってわかった研究成果を学生に還元する教育の場(学生にとっては勉強の場)である。つまり、大学によって教える内容は異なってくるため、自分が受けたい教育に関して高度な研究を行っている大学に行く必要がある。体育学の場合、研究対象は身体に関わる事柄ということになる。さらに体育学の特殊なところは、学生に還元する教育内容として、最先端の研究成果に加えて高い運動技術が含まれるという点である。
以下、研究と教育に分けて大学における体育学について、筑波大学を例に概説していきたい。
多種多様な研究領域
体育学の研究対象は先に述べたとおり実に多岐にわたっているが、これに対するアプローチの仕方もさまざまである。
たとえばスポーツの歴史については歴史学的な手法を用い、身体の成り立ちや仕組みについては解剖学や生理学的な方法を用いる。スポーツ医学は、当然のことながら親学問である医学の手法を用いる。
体育学の研究領域は、その研究の仕方によって体育・スポーツ学、健康体力学、コーチング学の3群から構成されている。
以下、具体的な研究内容を、いくつか事例をあげて説明してみたい。
<体育・スポーツ学>
体育・スポーツ哲学は、体育・身体・スポーツ・運動文化を哲学的に考察する領域であり、代表的な研究書としては『身体教育を哲学する―体育哲学叙説』などが著名である。体育史・スポーツ人類学は、体育・スポーツの持つ今日的意義や文化的な意義について歴史学や人類学的視点から探求する領域である。近年、オリンピック・ムーブメントに関する歴史人類学的研究が注目されている。武道学は、近世以前に宗教(神道・禅・修験道)や芸道(茶道・能楽)の影響を受けて非常にユニークな文化として成立した武道(武芸・武術)を研究対象とし、文献を読み解くことによりその特徴を明らかにしようとする領域である。最近の特筆すべき研究成果としては、武道における身体と心に関する研究や、刀剣思想の研究などがある。
<健康体力学>
運動生理学は、運動時の呼吸や循環反応の仕組みに関する研究、あるいは暑熱順化や高所(低酸素)トレーニングに関する研究などを行う領域である。当研究領域は、脳機能に関する研究などを行っている運動生化学の領域とともに、世界的に高い評価を得ている。スポーツ医学は、スポーツ傷害の予防、リハビリ、運動療法、コンディショニングなどの研究を行う領域である。運動トレーニングによる血管の適応機構についての研究などが、内科系の研究として注目されている。
<コーチング学>
コーチング学分野における各運動種目のコーチング論は、世界最高レベルの高い実技実践をベースに、そこで発生する諸問題を学術的に解明して、競技現場でのコーチングに役立てようとする研究領域である。優れた教授陣による研究に加え、近年はハンドボールや水泳、あるいは武道系の若手研究者の活躍がめざましい。
学年が上がり、大学院へとステージが上がるにつれ、既知の知見を吸収するだけでなく、こういった研究そのものへ参加するようになる。
たとえばスポーツの歴史については歴史学的な手法を用い、身体の成り立ちや仕組みについては解剖学や生理学的な方法を用いる。スポーツ医学は、当然のことながら親学問である医学の手法を用いる。
体育学の研究領域は、その研究の仕方によって体育・スポーツ学、健康体力学、コーチング学の3群から構成されている。
以下、具体的な研究内容を、いくつか事例をあげて説明してみたい。
<体育・スポーツ学>
体育・スポーツ哲学は、体育・身体・スポーツ・運動文化を哲学的に考察する領域であり、代表的な研究書としては『身体教育を哲学する―体育哲学叙説』などが著名である。体育史・スポーツ人類学は、体育・スポーツの持つ今日的意義や文化的な意義について歴史学や人類学的視点から探求する領域である。近年、オリンピック・ムーブメントに関する歴史人類学的研究が注目されている。武道学は、近世以前に宗教(神道・禅・修験道)や芸道(茶道・能楽)の影響を受けて非常にユニークな文化として成立した武道(武芸・武術)を研究対象とし、文献を読み解くことによりその特徴を明らかにしようとする領域である。最近の特筆すべき研究成果としては、武道における身体と心に関する研究や、刀剣思想の研究などがある。
<健康体力学>
運動生理学は、運動時の呼吸や循環反応の仕組みに関する研究、あるいは暑熱順化や高所(低酸素)トレーニングに関する研究などを行う領域である。当研究領域は、脳機能に関する研究などを行っている運動生化学の領域とともに、世界的に高い評価を得ている。スポーツ医学は、スポーツ傷害の予防、リハビリ、運動療法、コンディショニングなどの研究を行う領域である。運動トレーニングによる血管の適応機構についての研究などが、内科系の研究として注目されている。
<コーチング学>
コーチング学分野における各運動種目のコーチング論は、世界最高レベルの高い実技実践をベースに、そこで発生する諸問題を学術的に解明して、競技現場でのコーチングに役立てようとする研究領域である。優れた教授陣による研究に加え、近年はハンドボールや水泳、あるいは武道系の若手研究者の活躍がめざましい。
学年が上がり、大学院へとステージが上がるにつれ、既知の知見を吸収するだけでなく、こういった研究そのものへ参加するようになる。
豊富な教育内容
体育学分野において学習する科目は実に多彩であり、大きく専門基礎科目と専門科目に分かれている。
□専門基礎科目
専門基礎科目は、体育・スポーツ科学を専門に学ぶ全ての学生に共通して必要最低限の基礎的知識・技術を習得する科目群であり、体育・スポーツ学分野、コーチング学分野、健康体力学分野、実技理論・実習の4グループから構成されている。
以下、専門基礎科目について、いくつか具体的な学科目をあげて説明してみたい。
<体育・スポーツ学分野>
スポーツ社会学は、現代社会におけるスポーツの位置と文化的特徴について、大衆消費社会やメディアとの関係でとらえようとするものである。体育・スポーツ心理学は、身体運動の心理的特性、運動学習理論、パーソナリティーなどを中心として、体育・スポーツ心理学の基本事項を理解しようとするものである。
<コーチング学分野>
運動学は、運動ができる(うまくなる)ようになるための、現場での学習場面および指導場面において重要になる発生運動学の基礎理論を学習するものである。一般コーチング学は、優れたコーチになるために必要とされる諸要素、すなわち指導行動と育成行動を理解し、選手の競技力と人間力を向上させ続ける能力を身につけようとするものである。
<健康体力学分野>
スポーツバイオメカニクスでは、身体運動を力学的に考えるための諸法則を学習する。
<実技理論・実習>
各種運動群の実技理論・実習(7種目以上を選択)、臨海実習、テーピング・マッサージなどを学ぶ。
□専門科目
専門科目は、専門基礎科目の学習を基礎としながら体育・スポーツの専門性をさらに向上させることを目的とした科目群であり、キャリア支援科目、分野別専門科目、卒業研究領域科目、実技系科目の4グループから構成されている。
以下、専門科目について、いくつか具体的な学科目をあげて説明してみたい。
<キャリア支援科目>
オリンピック教育は、オリンピック・ムーブメントと絡んだオリンピックの文化・教育性について学習し、これからのオリンピック・ムーブメントのあり方について展望するものである。スポーツタレント発掘論は、オリンピックや世界大会などで成功するためには、どのようなタレント(才能)が要求されるのか、どのような点に着目してタレントのある子どもを見出し、育てていけば良いのかを考えるものである。
<分野別専門科目>
メンタルトレーニングの原理と方法では、競技力向上あるいは実力発揮のための心理スキルトレーニング(メンタルトレーニング)の理論と方法を学ぶ。スポーツ戦術論では、スポーツの実践現場で用いられている戦術理論について学習する。アンチ・ドーピングでは、スポーツ界の暗部ともいうべきドーピングの現状、歴史、注意点などについて学ぶ。
<卒業研究領域科目>
卒業研究領域ごとに開設された演習・実習、専門語学、卒業研究。
<実技系科目>
種目別コーチング演習。
以上の科目群に加えて、国語や外国語あるいは情報といった一般教養的科目としての基礎科目と、教員免許取得に必要な教職科目がある。
□専門基礎科目
専門基礎科目は、体育・スポーツ科学を専門に学ぶ全ての学生に共通して必要最低限の基礎的知識・技術を習得する科目群であり、体育・スポーツ学分野、コーチング学分野、健康体力学分野、実技理論・実習の4グループから構成されている。
以下、専門基礎科目について、いくつか具体的な学科目をあげて説明してみたい。
<体育・スポーツ学分野>
スポーツ社会学は、現代社会におけるスポーツの位置と文化的特徴について、大衆消費社会やメディアとの関係でとらえようとするものである。体育・スポーツ心理学は、身体運動の心理的特性、運動学習理論、パーソナリティーなどを中心として、体育・スポーツ心理学の基本事項を理解しようとするものである。
<コーチング学分野>
運動学は、運動ができる(うまくなる)ようになるための、現場での学習場面および指導場面において重要になる発生運動学の基礎理論を学習するものである。一般コーチング学は、優れたコーチになるために必要とされる諸要素、すなわち指導行動と育成行動を理解し、選手の競技力と人間力を向上させ続ける能力を身につけようとするものである。
<健康体力学分野>
スポーツバイオメカニクスでは、身体運動を力学的に考えるための諸法則を学習する。
<実技理論・実習>
各種運動群の実技理論・実習(7種目以上を選択)、臨海実習、テーピング・マッサージなどを学ぶ。
□専門科目
専門科目は、専門基礎科目の学習を基礎としながら体育・スポーツの専門性をさらに向上させることを目的とした科目群であり、キャリア支援科目、分野別専門科目、卒業研究領域科目、実技系科目の4グループから構成されている。
以下、専門科目について、いくつか具体的な学科目をあげて説明してみたい。
<キャリア支援科目>
オリンピック教育は、オリンピック・ムーブメントと絡んだオリンピックの文化・教育性について学習し、これからのオリンピック・ムーブメントのあり方について展望するものである。スポーツタレント発掘論は、オリンピックや世界大会などで成功するためには、どのようなタレント(才能)が要求されるのか、どのような点に着目してタレントのある子どもを見出し、育てていけば良いのかを考えるものである。
<分野別専門科目>
メンタルトレーニングの原理と方法では、競技力向上あるいは実力発揮のための心理スキルトレーニング(メンタルトレーニング)の理論と方法を学ぶ。スポーツ戦術論では、スポーツの実践現場で用いられている戦術理論について学習する。アンチ・ドーピングでは、スポーツ界の暗部ともいうべきドーピングの現状、歴史、注意点などについて学ぶ。
<卒業研究領域科目>
卒業研究領域ごとに開設された演習・実習、専門語学、卒業研究。
<実技系科目>
種目別コーチング演習。
以上の科目群に加えて、国語や外国語あるいは情報といった一般教養的科目としての基礎科目と、教員免許取得に必要な教職科目がある。
体育学を学ぶ皆さんへ
人間の全ての営みの基本は身体である。それが研究活動のような知的な営みであっても。私は皆さんくらいの年齢のころに、恩師から「脳も身体の一部だよ!」と言われ、ハッとしたことがある。身体のことを広く、そして深く学び追究することのできる体育学の世界へぜひとも来てもらいたい。必ずここからさまざまな可能性が開けるはずである。

