何を学ぶ
職業的な演奏家や指導者はもちろん、広範な音楽活動にさまざまな面から貢献できるような専門的技術・知識を身につけた人材を育成。音楽を専門とする人材の活躍の場は幅広い。

沼口 隆(ぬまぐち たかし)先生
東京藝術大学/音楽学部/教授
東京都生まれ。ドルトムント大学博士課程修了。専門は西洋音楽史(特に18~19世紀)。一般書に『よく分かるクラシックの基本』、『楽譜をまるごと読み解く本』(ともに共著)など。
音楽との接点
テレビでも、ラジオでも、番組の始まりや終わりは、たいてい何らかの楽曲である。番組の中でもBGMは頻繁に流れているし、CMでも音楽抜きのものは、ほとんどないだろう。
映画を観ても、ビデオゲームで遊んでも、音楽は付き物だ。逆に、音楽を聴くだけで懐かしくなってしまうような映画やビデオゲームもあるはずだ。YouTubeなどの動画でも、音楽を伴っていることが少なくないばかりか、音楽そのものがテーマになっていることも非常に多い。皆でダンスを見せ合ったりするのだって、音楽がなければ成立しないだろう。あえて消音にするのでもない限り、音楽を完全に遮断して「観る」という行為だけを取り出すことは結構難しいはずだ。
街を歩いても、音楽はいろいろなところに存在している。たとえば、商店に入れば、音楽が聞こえてくることは少なくない。そのお店のテーマソングみたいなものが流れていることもあれば、ヒットソングなどのこともあり、いわゆるクラシック音楽という場合もあるだろう。喫茶店などでは、音楽を流すことで、隣席の会話が気にならなくなる(他人に会話を聞かれる心配が減る)という効果もある。
ただ道を歩いているだけでも、夕刻に定時を知らせる音楽が流れる自治体は多いだろうし、都会ならば、音楽を伴った宣伝カーが通り過ぎて行ったりもする。無論、お店から音楽が漏れ聞こえることもあるだろう。
電車の出発を知らせる合図として音楽を用いることに対しては、いまだに賛否両論があるが、若い世代は、ガラガラと鳴り響く金属製のベルしかなかった時代を知らないのだから、賛否もなにもあるまい。これもまた日常的な音楽である。
移動時間にイヤホンをする人も非常に多くなった。音楽を聴いている人が多いのだろう。仮に語学講座などを聴いているとしても、音楽と全く無縁ではないはずだ。
学校にももちろん、音楽はたくさんある。音楽の授業ばかりではなく、体育でダンスや踊りをやれば、必ず音楽が必要になるだろう。運動会や学芸会にだって音楽は欠かせない。筆者の通った小学校では、下校の時刻を楽曲で知らせることになっていたし、最近では、給食の時間に生徒の好きな楽曲を流しているという学校もあると聞く。
すべての場所に常に音楽があるというのではない。試験会場のように、静寂こそが求められている場所もある。しかし、生活にはさまざまな場面があり、冠婚葬祭のような特別の機会でなくとも、音楽が聞こえていることは、恐らく意識している以上に多いはずだ。そしてすべての音楽には、それを創作した人がいて、それをその場面に使うことを選択している人がいる。打ち込みの音楽(デジタルサウンド)でない場合には、それを演奏している人(々)もいる。われわれは、意識するか否かにかかわらず、とても多くの人々の音楽的な営みと接しているのである。
映画を観ても、ビデオゲームで遊んでも、音楽は付き物だ。逆に、音楽を聴くだけで懐かしくなってしまうような映画やビデオゲームもあるはずだ。YouTubeなどの動画でも、音楽を伴っていることが少なくないばかりか、音楽そのものがテーマになっていることも非常に多い。皆でダンスを見せ合ったりするのだって、音楽がなければ成立しないだろう。あえて消音にするのでもない限り、音楽を完全に遮断して「観る」という行為だけを取り出すことは結構難しいはずだ。
街を歩いても、音楽はいろいろなところに存在している。たとえば、商店に入れば、音楽が聞こえてくることは少なくない。そのお店のテーマソングみたいなものが流れていることもあれば、ヒットソングなどのこともあり、いわゆるクラシック音楽という場合もあるだろう。喫茶店などでは、音楽を流すことで、隣席の会話が気にならなくなる(他人に会話を聞かれる心配が減る)という効果もある。
ただ道を歩いているだけでも、夕刻に定時を知らせる音楽が流れる自治体は多いだろうし、都会ならば、音楽を伴った宣伝カーが通り過ぎて行ったりもする。無論、お店から音楽が漏れ聞こえることもあるだろう。
電車の出発を知らせる合図として音楽を用いることに対しては、いまだに賛否両論があるが、若い世代は、ガラガラと鳴り響く金属製のベルしかなかった時代を知らないのだから、賛否もなにもあるまい。これもまた日常的な音楽である。
移動時間にイヤホンをする人も非常に多くなった。音楽を聴いている人が多いのだろう。仮に語学講座などを聴いているとしても、音楽と全く無縁ではないはずだ。
学校にももちろん、音楽はたくさんある。音楽の授業ばかりではなく、体育でダンスや踊りをやれば、必ず音楽が必要になるだろう。運動会や学芸会にだって音楽は欠かせない。筆者の通った小学校では、下校の時刻を楽曲で知らせることになっていたし、最近では、給食の時間に生徒の好きな楽曲を流しているという学校もあると聞く。
すべての場所に常に音楽があるというのではない。試験会場のように、静寂こそが求められている場所もある。しかし、生活にはさまざまな場面があり、冠婚葬祭のような特別の機会でなくとも、音楽が聞こえていることは、恐らく意識している以上に多いはずだ。そしてすべての音楽には、それを創作した人がいて、それをその場面に使うことを選択している人がいる。打ち込みの音楽(デジタルサウンド)でない場合には、それを演奏している人(々)もいる。われわれは、意識するか否かにかかわらず、とても多くの人々の音楽的な営みと接しているのである。
音楽に関わる人々
音楽にいかに多くの人が関わるかということの一例に演奏会を取り上げてみよう。まずは場所である。すべての演奏会場が音楽用に作られているわけではないが、とりわけクラシック専用ホールなどの場合、それに適した音響を踏まえた設計が不可欠であり、日本にも国際的に名の通った音響設計会社がある。
でき上ったホールを運用する人員も不可欠である。実は、舞台を管理・運営をする会社は、ホールの所有会社とは別である場合も多い。楽器や機材の配置は、音楽ジャンルにかかわらず演奏会の基盤を成す重要な事柄であり、照明や映像など、さまざまな効果を調整する人員も必要となる。曲によって編成が変わったりもするので、事前の準備ばかりではなく、本番中にもやることは多い。演奏者たちの控室である楽屋を管理し、必要に応じて飲食物なども用意する。演奏家たちの舞台への出入りまで含めて、舞台運営を統括する責任者をステージマネージャーと呼ぶこともある。
演奏者自身が楽器を持って歩かない(持って歩けない)場合には、楽器の搬入・搬出も必須である。運送業者ではあるが、楽器の扱いには特に注意を要するので、専門の業者に委ねられる。また、とりわけクラシックにおいては、大規模なオーケストラでさえも所有していないような珍しい楽器を用いる場合があり、そうした楽器を取りそろえて貸し出す業者もある。
オペラやバレエ、あるいは独自のステージを組むポピュラー音楽のライブなどの場合、大掛かりなセットを組み立てる大道具担当も必須である。オペラやミュージカルであれば、かつらや衣装、帽子や装身具などの小道具も必要になってくる。
いったん演奏会場を離れてみると、そもそも演奏会などを企画し、宣伝し、チケットを販売するという段階がある。制作会社が担う具体的な仕事の内容は、会社によっても、個々の公演によっても異なってはくるが、ゼロから企画を立ち上げる場合、日程の決定、演目・曲目の選定、予算編成、会場確保、出演依頼、宣伝方針の決定等々、本番が済んで精算を終えるまでに、やるべきことは非常に多い。ひと口に「宣伝」と言っても、チラシ作成に始まり、出演者によるテレビ等への出演なども含まれる場合があるし、昨今ではSNS等のさまざまなメディアを通じた発信も重要度が非常に高くなっている。
チケット販売は、ホールなども手掛ける場合はあるが、別途に専門の会社が担うことが多い。聴衆・観衆が直接の接点を持ち始めるのは、ようやくこの辺りからではないだろうか。演奏会場に行くと、チケットのチェックをしたり、チラシを配ったり、クロークの管理をしたりという仕事もあるが、これもまたホール自体とは別会社が担っていることが多い。
そしてもちろん、何よりも重要なのが音楽家(作曲家・演奏家)たちである。クラシックの場合、昔の作曲家の作品を取り上げることが圧倒的に多く、ポピュラーでは演奏者と作曲者がしばしば同一だが、クラシックでも作曲者自身が演奏に関わることはあり、ポピュラーでも、創作と演奏が分かれている例は幾らでもある。
演奏家は、オーケストラや合唱団のような団体に属している場合を除き、マネージメント会社に所属しているのが一般的で、そこを通じて広報活動を行ったり、仕事の受注をしたり、スケジュール管理をしたりしている。団体の場合には、それ自体としての運営や広報が必要となってくる。
そして放送や録音・録画の仕事もある。販売するか否かにかかわらず、多くの公演は記録されている。昨今では、録画も簡単になり、YouTube等でも気軽に発信できるようになったため、需要はいよいよ増している。録音には、ライブ録音もあれば、スタジオ録音もあり、後者では、演奏会とは別の場所の問題が絡んでくる。
演奏会や公演について、予告記事を書いたり、出演者にインタビューをしたり、あるいは公演後に批評を書いたりする仕事もある。クラシックの演奏会であれば楽曲解説が配られることが多く、その原稿を書く人もいれば、冊子自体を編集する人もいる。ポピュラー音楽のライブなどでは、グッズやパンフレットを作成して販売することも多い。
これだけ挙げても、まだまだ言及しきれていない職種もあるはずだし、音楽の営みは、何も演奏会だけに限られたものでもない。いずれにしても、たった一つの演奏会をするためだけであっても、いかに多くの人々の協力が必要かということは感じ取ってもらえたのではないだろうか。ここに挙げた職種のすべてに演奏能力や音楽に関する知識が必要なわけではないが、音楽に関する豊富な知識がなければ、魅力ある企画を立ち上げることはできないし、曲の中身もろくに知らずに、放送したり録画したりすることもできない。大道具を組み立てるのに音楽能力は必要ないが、どのような作品で、どのような効果が求められているのかを知っておくことは不可欠であろう。また、演奏家と関わる上では、自らも演奏家としての経験があった方が、その心理を理解しやすくなるのは当然である。
でき上ったホールを運用する人員も不可欠である。実は、舞台を管理・運営をする会社は、ホールの所有会社とは別である場合も多い。楽器や機材の配置は、音楽ジャンルにかかわらず演奏会の基盤を成す重要な事柄であり、照明や映像など、さまざまな効果を調整する人員も必要となる。曲によって編成が変わったりもするので、事前の準備ばかりではなく、本番中にもやることは多い。演奏者たちの控室である楽屋を管理し、必要に応じて飲食物なども用意する。演奏家たちの舞台への出入りまで含めて、舞台運営を統括する責任者をステージマネージャーと呼ぶこともある。
演奏者自身が楽器を持って歩かない(持って歩けない)場合には、楽器の搬入・搬出も必須である。運送業者ではあるが、楽器の扱いには特に注意を要するので、専門の業者に委ねられる。また、とりわけクラシックにおいては、大規模なオーケストラでさえも所有していないような珍しい楽器を用いる場合があり、そうした楽器を取りそろえて貸し出す業者もある。
オペラやバレエ、あるいは独自のステージを組むポピュラー音楽のライブなどの場合、大掛かりなセットを組み立てる大道具担当も必須である。オペラやミュージカルであれば、かつらや衣装、帽子や装身具などの小道具も必要になってくる。
いったん演奏会場を離れてみると、そもそも演奏会などを企画し、宣伝し、チケットを販売するという段階がある。制作会社が担う具体的な仕事の内容は、会社によっても、個々の公演によっても異なってはくるが、ゼロから企画を立ち上げる場合、日程の決定、演目・曲目の選定、予算編成、会場確保、出演依頼、宣伝方針の決定等々、本番が済んで精算を終えるまでに、やるべきことは非常に多い。ひと口に「宣伝」と言っても、チラシ作成に始まり、出演者によるテレビ等への出演なども含まれる場合があるし、昨今ではSNS等のさまざまなメディアを通じた発信も重要度が非常に高くなっている。
チケット販売は、ホールなども手掛ける場合はあるが、別途に専門の会社が担うことが多い。聴衆・観衆が直接の接点を持ち始めるのは、ようやくこの辺りからではないだろうか。演奏会場に行くと、チケットのチェックをしたり、チラシを配ったり、クロークの管理をしたりという仕事もあるが、これもまたホール自体とは別会社が担っていることが多い。
そしてもちろん、何よりも重要なのが音楽家(作曲家・演奏家)たちである。クラシックの場合、昔の作曲家の作品を取り上げることが圧倒的に多く、ポピュラーでは演奏者と作曲者がしばしば同一だが、クラシックでも作曲者自身が演奏に関わることはあり、ポピュラーでも、創作と演奏が分かれている例は幾らでもある。
演奏家は、オーケストラや合唱団のような団体に属している場合を除き、マネージメント会社に所属しているのが一般的で、そこを通じて広報活動を行ったり、仕事の受注をしたり、スケジュール管理をしたりしている。団体の場合には、それ自体としての運営や広報が必要となってくる。
そして放送や録音・録画の仕事もある。販売するか否かにかかわらず、多くの公演は記録されている。昨今では、録画も簡単になり、YouTube等でも気軽に発信できるようになったため、需要はいよいよ増している。録音には、ライブ録音もあれば、スタジオ録音もあり、後者では、演奏会とは別の場所の問題が絡んでくる。
演奏会や公演について、予告記事を書いたり、出演者にインタビューをしたり、あるいは公演後に批評を書いたりする仕事もある。クラシックの演奏会であれば楽曲解説が配られることが多く、その原稿を書く人もいれば、冊子自体を編集する人もいる。ポピュラー音楽のライブなどでは、グッズやパンフレットを作成して販売することも多い。
これだけ挙げても、まだまだ言及しきれていない職種もあるはずだし、音楽の営みは、何も演奏会だけに限られたものでもない。いずれにしても、たった一つの演奏会をするためだけであっても、いかに多くの人々の協力が必要かということは感じ取ってもらえたのではないだろうか。ここに挙げた職種のすべてに演奏能力や音楽に関する知識が必要なわけではないが、音楽に関する豊富な知識がなければ、魅力ある企画を立ち上げることはできないし、曲の中身もろくに知らずに、放送したり録画したりすることもできない。大道具を組み立てるのに音楽能力は必要ないが、どのような作品で、どのような効果が求められているのかを知っておくことは不可欠であろう。また、演奏家と関わる上では、自らも演奏家としての経験があった方が、その心理を理解しやすくなるのは当然である。
大学で音楽を学ぶということ
音楽を学ぶ大学としては、音楽大学が中心となるが、以下でも触れる通り、ほかにも選択肢はある。音楽大学の構成の一例として別表の東京藝術大学の例を参照してみてほしい。
音楽大学の教育の中心になっているのは、専門的な演奏技術の洗練である。最前線は、いわゆる「プロの演奏家」を養成することにあり、非常に狭き門ではあるが、プロの演奏団体に就職したり、演奏家として一本立ちをしたりという可能性も開かれている。作曲は、専門技術を磨くという意味では、演奏とも重なる面は多い。
音楽大学に占める規模の点では、クラシックの割合が高いが、邦楽、ジャズ、ミュージカル、ポピュラー音楽などを教えている大学もある。また、声楽科においてオペラを学ぶことができ、大学の公演に出演できる大学もあるし、バレエやダンスなどのコースをそろえている大学もある。
クラシックの演奏を専門に学んでも、その技術を生かして、ポピュラー系のアーティストになったり、ポピュラー音楽を演奏の面で支えたりしている人々もいる。作曲でも、基礎的な技術を身につけた上で、ゲーム音楽なども含めた、さまざまなジャンルの創作に取り組んでいく人々もいる。
音楽を学んだ人々の重要な就職先の一つが教職で、小学校・中学校・高校のいわゆる「音楽の先生」であるが、教育学部の多くは音楽科を擁しており、音楽大学では教職課程が設けられていることが多い。
音楽を対象とした研究領域を音楽学という(楽理科などという学科名の場合もある)。音楽史学、音楽美学、音楽民族学、音楽社会学、音楽心理学、音楽音響学、音楽教育など、近接領域との関わり方によって実にさまざまな領域がある。音楽大学でも、歴史研究や作品研究、民族音楽研究などを行えることが多い。音楽大学で学ぶメリットは、演奏専攻の学生と同じように、ソルフェージュ等の音楽基礎能力を身につけたり、楽器の演奏を学んだりできる点だろう。学部で音楽学を学んだあとに、プロの演奏家になる者も少なくないし、大学院から社会学や教育学などの方面に進む者もいる。音楽のマネージメント的な側面やジャーナリズム的な側面に焦点を当てた学科やカリキュラムを用意している大学も多くなっている。
一般大学で美学を専攻し、研究対象を音楽にしている例も多い。哲学や美学をより重点的に学べる点が魅力だろう。一般大学にも、部活動などで優れた演奏団体があったりするし、個人レッスンという手段もあるので、音楽大学でなければ音楽的環境に恵まれないというわけでは無論ない。上述の分野の例でも分かる通り、社会学や心理学など、音楽との関係性が必然的ではないような分野において、音楽に焦点を当てて研究をすることも可能だ。
音楽大学の教育の中心になっているのは、専門的な演奏技術の洗練である。最前線は、いわゆる「プロの演奏家」を養成することにあり、非常に狭き門ではあるが、プロの演奏団体に就職したり、演奏家として一本立ちをしたりという可能性も開かれている。作曲は、専門技術を磨くという意味では、演奏とも重なる面は多い。
音楽大学に占める規模の点では、クラシックの割合が高いが、邦楽、ジャズ、ミュージカル、ポピュラー音楽などを教えている大学もある。また、声楽科においてオペラを学ぶことができ、大学の公演に出演できる大学もあるし、バレエやダンスなどのコースをそろえている大学もある。
クラシックの演奏を専門に学んでも、その技術を生かして、ポピュラー系のアーティストになったり、ポピュラー音楽を演奏の面で支えたりしている人々もいる。作曲でも、基礎的な技術を身につけた上で、ゲーム音楽なども含めた、さまざまなジャンルの創作に取り組んでいく人々もいる。
音楽を学んだ人々の重要な就職先の一つが教職で、小学校・中学校・高校のいわゆる「音楽の先生」であるが、教育学部の多くは音楽科を擁しており、音楽大学では教職課程が設けられていることが多い。
音楽を対象とした研究領域を音楽学という(楽理科などという学科名の場合もある)。音楽史学、音楽美学、音楽民族学、音楽社会学、音楽心理学、音楽音響学、音楽教育など、近接領域との関わり方によって実にさまざまな領域がある。音楽大学でも、歴史研究や作品研究、民族音楽研究などを行えることが多い。音楽大学で学ぶメリットは、演奏専攻の学生と同じように、ソルフェージュ等の音楽基礎能力を身につけたり、楽器の演奏を学んだりできる点だろう。学部で音楽学を学んだあとに、プロの演奏家になる者も少なくないし、大学院から社会学や教育学などの方面に進む者もいる。音楽のマネージメント的な側面やジャーナリズム的な側面に焦点を当てた学科やカリキュラムを用意している大学も多くなっている。
一般大学で美学を専攻し、研究対象を音楽にしている例も多い。哲学や美学をより重点的に学べる点が魅力だろう。一般大学にも、部活動などで優れた演奏団体があったりするし、個人レッスンという手段もあるので、音楽大学でなければ音楽的環境に恵まれないというわけでは無論ない。上述の分野の例でも分かる通り、社会学や心理学など、音楽との関係性が必然的ではないような分野において、音楽に焦点を当てて研究をすることも可能だ。
なぜ大学で音楽を学ぶのか
演奏家を目指す人間にとっては、より水準の高い指導を受けられるというのが最大の関心事になるだろう。実力の拮抗(きっこう)する仲間たちから刺激を受け、アンサンブルなどを通じて、一人では身につけることのできない音楽性を養うことの意義も大きい。学生オーケストラやオペラ公演のような、ほかではなかなか得ることのできない経験をすることも大切である。しかし、演奏や作曲のみで生計を立てられる人はほんの一握りに過ぎない。
一流のプロも教育活動を行うことが多いが、より教育に重きを置いた活動をする人々もいる。音楽教室の教師や、すでに触れた学校教員がこれに当たる。大学の常勤教員を目指すのであれば、博士号の取得までが求められることも普通になってきている。
学問の分野には、医学のように専門職に直結するものもあるが、文学や哲学のように、ごく一部の研究者を除いては、職業に直結しづらい分野もある。しかし、思想や芸術や歴史は、人類共通の財産であり、それ自体が職業に直結しないからといってないがしろにされて良いはずがない。一人の人間が音楽を学び、その経験と知識を社会に還元することは、われわれの社会全体を豊かにすることにつながっていく。
音楽と関わりが深い仕事でも、専門的技術や知識なくして務まるものはあるだろう。しかし、それは専門的経験が不要であることを決して意味しない。音楽を深く知ればこそ、より大きな貢献ができることは少なくない。
一流のプロも教育活動を行うことが多いが、より教育に重きを置いた活動をする人々もいる。音楽教室の教師や、すでに触れた学校教員がこれに当たる。大学の常勤教員を目指すのであれば、博士号の取得までが求められることも普通になってきている。
学問の分野には、医学のように専門職に直結するものもあるが、文学や哲学のように、ごく一部の研究者を除いては、職業に直結しづらい分野もある。しかし、思想や芸術や歴史は、人類共通の財産であり、それ自体が職業に直結しないからといってないがしろにされて良いはずがない。一人の人間が音楽を学び、その経験と知識を社会に還元することは、われわれの社会全体を豊かにすることにつながっていく。
音楽と関わりが深い仕事でも、専門的技術や知識なくして務まるものはあるだろう。しかし、それは専門的経験が不要であることを決して意味しない。音楽を深く知ればこそ、より大きな貢献ができることは少なくない。

