志望大学・学部や入試方式を絞り込む際や、志望校合格に向けて学習戦略を立てる際に活用したいのが、入試データ。今回は、パスナビに掲載している「入試難易度」「入試結果(倍率)」「合格最低点」について、それぞれの概要と活用法を解説します。
「入試難易度」として、パスナビでは河合塾より提供されたデータを掲載しています。
入試難易度には、大学の個別試験の難易度を表す「偏差値」と大学入学共通テストで必要な難易度を表す「共通テスト得点率(共テ得点率)」が含まれています。
そもそも「偏差値」とは、そのテストの平均点を50とし、そのテストの受験生の中でどれくらいの位置にいるかを示すものです。
テストの平均点は、母集団(受験者)により上下します。例えば、同じ内容のテストでも、学力の高い受験生が多く受ける場合は平均点が高くなり、結果として偏差値の基準も高くなります。
母集団により偏差値の基準は変わるため、A社の模擬試験の偏差値と、B社の模擬試験の偏差値を比べることには、あまり意味がありません。また、同じ会社が実施する試験でも、教科・科目数に差がある国公立大学と私立大学のように、志望する受験者の集団が異なる場合についても同様です。
つまり、自分が受けた模試の偏差値とパスナビに掲載されている偏差値(入試難易度)をそのまま比べても、正確に比較することはできません。
一方、「共通テスト得点率」とは、共通テストでどのくらいの得点を取得したかという割合です。前年度の入試結果や募集人員・入試科目、模試志望者の動向などさまざまな要素を分析して決定するもので、パスナビ掲載の河合塾のデータでは、各大学の共通テストの科目・配点に沿って、得点(率)で算出しています。
パスナビで提示している各大学、各入試の「偏差値」と「共通テスト得点率」は、いずれも河合塾が予想する「合格可能性50%」のラインを示したものです。
「合格可能性50%」は、河合塾の模試の判定では「C判定」にあたります。パスナビ掲載の「入試難易度」は、いわゆる合否のボーダーラインの基準であると捉えましょう。
パスナビの入試難易度のデータの見方については、こちらを参考にしてください。
先に述べたように、偏差値は母集団により異なる、つまり、受けた模試によって異なります。
そのため、模試の結果が出るたびに、偏差値が志望校の入試難易度に到達しているかどうかに一喜一憂するのはナンセンス。パスナビで提供しているのはあくまでも河合塾のデータであることを肝に銘じ、入試難易度の数字は参考程度にとどめましょう。
模試は、自分の学力の現状把握や弱点発見の機会。結果(偏差値)にはこだわりすぎないことが大切です。
一方、共通テスト得点率については、共通テストの過去問を解いた際に、自分がどれくらい得点できたかと比較するのは有効です。
ただし、あくまでも過去のデータをベースにしたものであるため、模試の偏差値と同様に参考程度にとどめつつ、学習戦略を立てる際に活用するようにしましょう。
「倍率」には、「実質倍率」や「志願倍率」などがあり、データの扱いには注意が必要です。
「実質倍率」は、受験者何人につき1人が合格したかを表す数字で、「受験者数÷合格者」で算出します。
例えば、100人が受けてそのうち50人が合格すれば倍率は2倍(2人に1人が合格)に、100人が受けて33人が合格すれば倍率は約3.3倍(約3人に1人が合格)になります。
パスナビでは、各大学へのアンケート調査に基づき、二段階選抜を実施する国公立大学を除き、 原則的に「実質倍率」を掲載しています。
一方、「志願倍率」は「志願者数÷募集人員」で算出します。私立大学の場合は出願しても実際には受験しないケースがあること、また、(合格しても他大学に入学するケースを考慮して)募集人員に対して合格者を多めに出すのが一般的であることから、一般的に志願倍率はとても高くなります。大学によっては、ホームページなどで「志願倍率」の数字を公表しているところもあるため、倍率の数字だけに振り回されないよう注意が必要です。
なお、パスナビでは、国公立大学で所定の志願倍率を超えた場合に行う「二段階選抜(共通テストの結果に応じて2次試験の受験者を絞り込む方式)」が実施された入試については、「志願者数÷合格者数」で掲載しています。これは、母数を「第一段階選抜前の受験者数(=志願者数)」とすることで、実質的な倍率を表すためです。
また、パスナビの「入試結果(倍率)」ページでは、倍率以外に募集人員や志願者数、受験者数、合格者数などの入試結果データも掲載しています。大学によっては複数の入試の結果を合算して公表しているところもあるため、注意しましょう。
パスナビの入試結果(倍率)のデータの見方については、こちらを参考にしてください。
志望校や自分が受験する入試方式の倍率を見て、「だいたい何人に1人が合格する」といった感覚をつかんでおくことは大事です。
また、入試の倍率には隔年現象が見られることが多く、倍率が高い年の翌年は下がり、倍率が低い年の翌年は上がる傾向があります。あくまでも傾向ですが、データを見るときには覚えておくと良いでしょう。
一方、倍率だけに注目して受験校や入試方式を決めるのはリスクがあります。
例えば、募集人員が10人の方式と100人の方式では、倍率が同じでも枠が多い後者のほうが、より多く合格者が出ることになります。つまり「募集人員が多い方式を受ける」のが、入試方式選びの鉄則といえるでしょう。
私立大学では多様な入試方式を設けているところも多いので、受験する大学・学部を決めたうえで入試方式を選ぶ際には、このことを覚えておきましょう。
そして、倍率はあくまでも過去の入試結果であることも忘れずに。倍率が高いからと怯えないこと、低いからと油断しないことが大事です。
●入試結果(倍率) 検索はこちら
「合格最低点」とは、その年の入試における合格者の最低得点です。パスナビでは、大学へのアンケートをもとにデータを掲載しています。
国公立大学の場合は、合格最低点には、個別試験(2次試験)の得点、共通テストの得点、総合得点の3つがあります。
もっとも大事なデータは、総合得点の合格最低点です。
個別試験の合格最低点と共通テストの合格最低点の合計が総合得点の合格最低点に満たないことからもわかるように、合格最低点はトータルで見ることが重要です。
また、素点ではなく何らかの換算がされているケースが多いのは、選択科目間の得点調整などが行われるため。パスナビ上で「独」や「偏」が付いている場合は、純粋な「得点」ではないことも、頭の片隅に置いておきましょう。
パスナビの合格最低点のデータの見方については、こちらを参考にしてください。
年により入試の難易度にはバラつきがあるため、受験する大学や入試方式の合格最低点については、過去3年分ほどデータを集めるのがベスト。合格最低点の推移や平均値を確認して、「だいたい何割くらいとれば合格できそうか」という感覚を掴んでおきましょう。
また、志望校の過去問を解いた際には、自分の得点が合格最低点に届いているのかどうか気になるもの。
教科・科目ごとの配点と照らし合わせて、どの教科・科目でどのくらいの得点を目指すのかという戦略を立てることは有効ですが、細かい配点については公表していない大学が多いので、参考程度にとどめておきましょう。
●合格最低点検索はこちら
入試データはあくまでも難易度の予想や過去の入試結果にすぎず、今後の入試がどうなるかは正確にはわかりません。データだけを読み込んだりそれだけを過信することがないよう、注意が必要です。
とはいえ、入試データを読み取り分析することは、入試方式の決定や学習戦略の立案においてとても重要なこと。データの意味や見方を正しく理解して、有効に活用してください。
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