
2026年国公立大入試について、人気度を示す「志願者動向」を分析する。大学受験生数は増加したものの、一般選抜の志願者数は前年に比べて約2%減。共通テストは難化し、学力最上位層以外の受験生は志望校変更の動きが見られた。
文部科学省の発表によると、2026年(以下、26年。他年度も同様)の国公立大一般選抜の確定志願者数は419,258人で、25年に比べ2.2%減(独自日程で入試を行う国際教養大・新潟県立大・叡啓大・芸術文化観光専門職大は集計に含まれない)。全募集人員(97,399人)に対する倍率(志願倍率)は4.3倍で、前年に比べ0.1ポイントダウンした(グラフ①)。

4(6)年制大学の受験生数は前年比で約2%増(螢雪時代推定)となった一方、大学入学共通テスト(以下、共テと略)の志願者数は前年並みにとどまった。さらに、共テの平均点ダウン(=難化)もあり、受験生が私立大に志望校を変更し、国公立大の志願者が減少したものと見られる。
また、学校推薦型・総合型選抜(以下、推薦型・総合型と略)の募集枠拡大も志願者減に影響したと見られる。文部科学省の発表によると、後期の募集人員は2.9%減少する一方、推薦型・総合型の募集人員は4.0%増加した。
入試日程別に志願状況(グラフ②)と志願倍率の変化(25年→26年)を見ると、前期は「0.2%減:2.9倍→2.9倍」、後期は「4.5%減:10.3倍→10.2倍」、公立大中期(以下、中期)は「5.2%減:13.8倍→12.9倍」となった。募集人員の増減(前期:0.5%減、後期:2.9%減、中期:0.9%増)と比較すると、志願倍率(=見かけの倍率)の高さから後期・中期への出願をあきらめ、強い現役志向もあって私立大への志望変更や併願増に動いたと見られる。
さらに、国立・公立別の志願状況を比べると、国立大の「前期0.6%増、後期5.0%減」に対し、公立大は「前期2.4%減、後期2.7%減」。全体的に、公立大志望者層の私立大への流出が顕著な結果となった。

共テは前回まで3年連続で平均点がアップ(=易化)したが、今回は平均点がダウン(=難化)し、国公立大の志願者減につながった。平均点ダウンの要因になった科目など、さらに詳しく見ていこう。
国公立大受験の共テ科目の標準となる、文系・理系に共通の6教科7科目(地歴・公民1科目として100点、理科1科目として100点、情報100点の900点満点)の加重平均点(科目別平均点と受験者数から算出。理科基礎は2分野受験の加重平均点)を算出すると、509.71点(得点率56.6%)となった。加重平均点は25年に比べ25.86点ダウン、得点率は2.9ポイントダウンとなる。
過去の事例を見ても、新課程初年度は平均点が高く、2年目は調整されて落ち込む傾向がある。そのため今回のダウンも予想通りではあるものの、下がり幅は大きめだった。
以下、表1で科目別に見てみよう。

【易化】
化学、英語リーディングなどで平均点がアップ。英語リーディングは前年と比べて問題形式に大きな変化はなく、難易度的にも比較的取り組みやすかったと見られる。
【難化】
国語、「数学Ⅰ、数学A(以下、数学ⅠAと略)」、物理、英語リスニング、情報Ⅰなどが平均点ダウン。前年まで2年連続で対前年10点以上アップしていた国語は、26年は10.30点のダウンとなった。
数学ⅠAは平均点が6.31点ダウンしたことで4割台に落ち込み、過去2番目の低さとなった。国公立大志望者にとって、文系・理系を問わず打撃になったと見られる。
【物理ショック】
今回の共テで特筆すべきは「物理ショック」とも言うべき物理の平均点大幅ダウンだ。対前年で13.41点ダウンし、平均点は初の4割台となった。各分野から幅広く出題されたが、教科書などではあまり見られない、暗記だけでは対応が難しい問題が目立ち、苦戦した受験生が多かったようだ。同じ理科で対照的だったのは化学で、過去最低だった前年より11.52点のアップとなった。
【導入2年目の情報Ⅰ】
情報Ⅰの平均点は対前年で12.67点ダウン。下がり幅だけ見ると大幅ダウンだが、導入初年度の前年の平均点は7割近くだったため、難易度としては適正な水準に落ち着いたとも言える。
情報Ⅰの各分野から出題され、ほとんどが身近なテーマについて情報Ⅰの知識を活用しながら解いていく問題だったが、前年に比べ問題文や図が増加したため、時間不足に陥った受験生も多かったのではないか。
【実際の出願傾向】
平均点アップが続いた25年までとは明確に異なる結果だったため、現役志向の受験生が志望校変更に踏み切ったケースも多かったようだ。
国立難関校を目指す学力最上位層の受験生は初志貫徹する傾向が見られたが、準難関校~中堅校を目指す学力層の受験生には、共テ難化が大きく影響。志望校のランクダウンや、私立大への志望変更、併願増に走るケースも多く見られた。また、各地区の中堅校では前年の反動も顕著に見られた。
26年入試の変動要因として挙げられるのは、理工系・情報科学系学部等の新増設や女子枠の導入、募集人員を一般選抜から推薦型・総合型に移行する動きだ。
理工系・情報科学系の新増設は山口大‐情報、佐賀大‐コスメティックサイエンス学環、熊本大‐共創学環、長野大‐共創情報科学など。ただし、新増設が相次いだ割に、理工系・情報科学系の志願者は伸び悩んだ。
理工系・情報科学系の推薦型・総合型における女子枠の導入・拡大傾向は続き、京都大・大阪大・広島大などで新設、新潟大・名古屋大などでは募集枠を拡大した。
また、女子枠の新設・拡大の影響から、新潟大‐工、京都大‐理、大阪大‐基礎工、広島大‐工などの前期で募集人員を削減した。こうした傾向が、一般選抜の志願動向にも影響を及ぼすケースも見られた。
なお、4月から公立大に移行する東北公益文科大は、26年は私立大として別日程で入試を実施。志願者数は前年の3倍以上に膨れ上がった。
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