2025年新課程入試の注意点はここだ!

2022年度から高校で始まった新課程に対応し、2025年入試から、いわゆる「新課程入試」がスタートします。
共通テストにおける「情報Ⅰ」の追加や科目・出題範囲の変更、それに伴う注意点、また大学個別の試験における変更点についても解説していきます。
大学受験まるわかり

新課程入試とは?

2025年入試から始まる「新課程入試」とは、2022年度から高校で始まった新課程(新しい学習指導要領に基づく教育課程)に対応した入試のこと。

2025年入試における現役生(高校3年生)にとっては、高校1年生のときから学んできた課程に基づく入試のため、「以前の入試とは異なる新しい入試」と受け止める必要はありません。

一方、既卒生(2021年度以前に高校に入学した人)にとっては、旧課程からの変更点がいくつかあるため、注意が必要です。

どこが変わるのか、順番に見ていきましょう。

大学入学共通テストの変更点

まずは、2025年の大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の出題教科・科目と試験時間・配点をチェックしましょう。

教科・科目数は、「6教科・30科目」から「7教科・21科目」に変更になります。

新しい教科「情報Ⅰ」が課される

共通テストにおける最大の変更点は、新しい科目「情報Ⅰ」が課されることです。

「情報Ⅰ」は新課程において必履修科目となっており、2022年度以降に高校に入学した全生徒が学びます。

共通テストにおいて「情報Ⅰ」を受験科目にするかどうかは大学によりますが、国立大学の大多数が、公立大学でも半数ほどが「必須」としています(「点数化しない」ケースを含む)。

また、私立大については「選択科目」や「課さない」という大学もあり、扱いには差が出てきそうです。

2025年入試においては、いわゆる「過去問」がありませんが、大学入試センターでは「問題作成方針に関する検討の方向性」や「試作問題」を公表しているので、どのような問題が出題されるのかイメージをつかむことができます。

なお、試作問題では、各単元から満遍なく出題され、教科書ではあまり扱われない資料なども登場しました。

「数学Ⅱ・B」が「数学Ⅱ・B・C」になる

これまでの「数学Ⅱ・B」が「数学Ⅱ・B・C」となり、出題範囲に「数学C」が加わります。

必答問題の「数学Ⅱ」に加え、「数学B」の「数列」「統計的な推測」、「数学C」の「ベクトル」「平面上の曲線と複素数平面」が選択問題となり、4項目から3項目を選択して解答することになります。

範囲増(問題数増)に伴い、試験時間も10分延びて70分となります。

出題範囲や解答時間が「数学Ⅱ・B」とは異なるため、過去問演習時には注意が必要です。

地歴・公民が6科目に再編される

地歴・公民については、科目構成が変わります。

「地理総合、地理探究」「歴史総合、日本史探究」「歴史総合、世界史探究」「公共、倫理」「公共、政治・経済」「地理総合・歴史総合・公共」の計6科目から最大2科目を選択します(ただし、「公共,倫理」と「公共,政治・経済」の2科目選択は不可)。

また、2科目に「地理総合/歴史総合/公共」を含む場合は、「地理総合/歴史総合/公共」で選択する2分野と異なる分野から1科目を選択する必要があります(下図参照)。

また、「歴史総合」は日本史・世界史を合わせた近現代史が対象の融合科目なので、日本史・世界史の2科目選択者でない場合は負担増となるため要注意。科目の組み合わせ方法がややこしいので、よく検討する必要があります。どの科目を受けるのか、どの分野を選択するのかを早い段階で決めておくと、受験対策がスムーズでしょう。

※「地理総合・歴史総合・公共」は必履修科目の3分野を組み合わせた科目で3分野から2分野を選択して解答。

国語の試験時間が伸びる

国語は、「近代以降の文章」についての大問が1つ追加され、「近代以降の文章(3問)」「古文(1問)」「漢文(1問)」という大問5つの構成になります。

大問が増えることに伴い、試験時間もこれまでより10分延びて90分となります。

なお、試作問題の内容から、「近代以降の文章」のうち1問は、報告書などの「実用的な文章」を扱い、図表やグラフを含む文章を解釈したり、レポートなどの書き手の立場で設問に答えたりする内容になると予想されます。

数学Ⅱ・Bと同様、問題数や解答時間が従来の「国語」とは異なるため、過去問演習時には注意しましょう。

大学の個別試験の変更点

続いて、大学が行う個別試験における変更点について見ていきましょう。

出題範囲や扱いなどは大学により異なるため、必ず各大学の入試要項やホームページ等で確認してください。

地歴・公民

「地理総合」「歴史総合」「公共」を出題範囲に入れる大学が多数派ですが、「探究(地理探究・日本史探究・世界史探究)」のみを範囲とする大学もあります。

数学

文系では「数学B=数列/数学C=ベクトル」、理系では「B=数列/数学C=ベクトル、平面上の曲線と複素数平面」を出題範囲とする大学が多いです。

ただし、大学によっては数学Bに「統計的な推測」を範囲に含むケースや数学Cから「複素数平面」を除くケースなどもあり、要確認です。

情報

個別試験で独自に問題を作成・出題する大学はほとんどありません。

ただし、一部の情報科学系の大学・学部では必須として課すほか、選択科目として情報を加える大学もあります。

既卒生への影響は?

既卒生(浪人生)と現役生との間に不利が生じないよう、2025年入試では既卒生に対して経過措置が取られます。

共通テストでは、地歴・公民、数学、情報について旧課程の問題が用意され、理科は必要に応じて選択問題が用意されます。

また、大学の個別試験でも、主に数学や地歴について、既卒生を対象にした選択問題の出題などの措置が取られます。

新しい入試と恐れず、正々堂々と戦うべし!

2025年入試から始まる新課程入試の概要をつかめたでしょうか。

新しい課程に切り替わる年の入試は、出題レベルの難易度が比較的抑え目になるケースが多いと言われています。

新しい入試だと過度に恐れることなく、着実に受験勉強を進めていきましょう!