【解説】卒業後の進路・資格

志望校を選ぶ際の観点の一つが、「大学卒業後の進路・資格」。
卒業後の進路や取得できる資格などについての情報を各大学が公表しており、パスナビでも調べることができます。
こうした情報を読み取る際の注意点や、読み取った情報をどのように志望校探しに役立てればよいかについて解説します。
大学受験まるわかり

本記事は志望校選びの観点の一つ「卒業後の進路・資格」を掘り下げた記事です。今回の記事を含め、多角的な観点から志望校を比較・検討しましょう。
「7つの観点から志望校を選ぼう」

卒業後の進路の選択肢は?

進路の選択肢を見てみよう

大学卒業後の進路には、大きく分けて、「就職」と「大学院への進学」があります。

また、就職のなかでも、企業・団体への就職と、国家資格や免許、専門的なスキルを必要とするスペシャリストとしての就職に大別されます。後者については、例えば、医師、歯科医師、薬剤師、看護師、理学療法士、国家公務員、学校教員などが挙げられます。

なお、資格試験を受けるためには実務経験(社会人として特定の分野で働いた経験)が必要な場合もあり、企業に就職しつつも将来的にはスペシャリストを目指すケースもあります。

データはどう役立てる?

就職関連データの読み解き方

続いて、卒業後の進路に関連する情報の見方を説明していきます。

【進学率・進学者数】

卒業生のうちどのくらいの学生が大学院に進学しているかを表す数字です。

一般的に、文系に比べて理系の方が進学率が高くなりますが、大学・学部により大きく異なります。

今から大学院への進学を視野に入れている人は、「進学率が高い・進学者数が多い」という観点も、志望校選びに取り入れてみるとよいでしょう。

【就職率】

「就職率」として公表されている数字の見方に関しては注意が必要です。

「就職率」には、「就職希望者のうち何%の就職先が決まったか」を表す場合と、「進学以外の卒業者数のうち何%の就職先が決まったか」を表す場合があります。

一般的に前者のほうが数値が大きくなりますが、「就職希望者」の定義は大学により異なるため、後者のほうがより客観的なデータといえます。

このため、就職率の数字が高いからといって、安易に「就職に強い大学なんだ」「就職支援が手厚い大学なんだ」と判断するのは避けたほうがよいでしょう。

また、大学によっては「進路決定率」を公表しているところもあります。

進路決定率とは、卒業者数のうち就職者と進学者が占める割合です。この数値により、就職、進学以外の道を選んだ学生がどの程度いるかがわかります。

なお、就職、進学以外の道には、海外留学、専修学校入学、進学準備、就職準備などがあります。

【主な就職先】

「主な就職先」として大学が公表しているのは、「そこに就職した学生の数が多い就職先」とは限りません。

いわゆる高校生や保護者が知っている有名な企業や団体、自治体などを「主な就職先」として公表しているケースもあります。

パスナビの「主な就職先」では、大学・学部ごとの具体的な就職先が人数とともに掲載されているので、参考にしてみてください。

志望校選びにおいて「就職率」や「主な就職先」に関するデータを利用する際は、慎重に読み取るように注意しましょう。

さらに、大学卒業後のことを調べる際には、大学の就職活動サポートにも注目してみましょう。

企業の説明・見学会、業界の研究会、インターンシップの仲介、個別面接・相談、卒業生による面談、各種試験対策講座の開講、資料・情報提供など、大学によりさまざまなサポートをしています。

大学のホームページやパンフレットなどで、どのような取り組みがあるのかを確認してみるとよいでしょう。

資格の種類を確認しよう

資格(検定、免許)とは、ある分野についての知識や技能を所定のレベルまで修得しているという証明書のようなもの。

大きく3つのカテゴリーに分けることができます。

大学選びにおいては、主に②の観点で資格について見ていくことになります。

資格取得には、特定の資格を持っている人だけが行える仕事に就ける、専門知識・技能を仕事に活かせるといったメリットがあります。

言い換えると、就職においては、医師、薬剤師、学校教員などその職業に就くためには資格(免許)取得が必須のケースと、資格を取得することで就職において有利になるケースがあります。

資格には、「国家資格」と「民間資格」があります。

医師や看護師、弁護士、公認会計士など「師」や「士」がつく仕事に就くためには、国が実施する資格試験に合格し、国家資格を取得することが必須になっていることがほとんどです。

一方、財団法人や民間の各種協会・団体が独自に認定するのが民間資格で、ビジネス系、コンピュータ・情報処理系、食品・生活系、語学系などさまざまなものがあります。

自分が興味のある資格が4つのうちどのパターンに当てはまるのか、受験資格について調べておくことが肝心です。

なお、民間資格や検定試験のなかには日商簿記検定のようにレベルに応じた段階を設定しているものも多くあり、実務経験を積みながら上の級を目指すことも可能です。

志望校選びにどう役立てる?

先に述べたように、「進学率・進学者数」は、大学院進学を検討している人にとっては、志望校選びの際の観点の一つになります。

一方、「就職率」や「主な就職先」については注意深く読み取りましょう。

なりたい職業がある人、取得したい資格ある人は、その職業や資格について詳しく調べ、必要や知識や技術が修得できる大学・学部・学科はどこか、資格・免許の取得が可能な大学・学部・学科はどこかを絞り込んでいきましょう。

特に、医師・薬・看護系の専門職や学校教員になりたい人は、資格取得のためのカリキュラムが組まれている大学・学部・学科を選ぶことが必須になります。

また、それ以外の学部・学科系統でも、将来の職業に役立つ資格や免許が取得できるところもあります。

パスナビの各大学のページでは、学部・学科(専攻)ごとに「取得できる資格」を調べられるので、ぜひ活用してみましょう。


データの意味合いを理解して利用しよう

ここまで見てきたように、資格については、「特定の資格の取得が必須の職業」と、「資格を持っていると有利になる職業」に分かれるので注意が必要です。前者(資格取得が必須の職業)に就きたい場合は、その資格取得を目指せるカリキュラムがある大学・学部を選ぶ必要があり、志望校選定においてとても重要な観点になります。

また、先述のとおり、就職関係の情報の数値や扱いについては、慎重に読み取るようにしましょう。

今回お伝えした「卒業後の進路・資格」という観点や、以前の記事でお伝えした他の観点も含めて、さまざまな角度から比較・検討して自分に合った志望校を探し出してください。