共通テスト 新課程初年度(2025年)の
出題内容はどうなる?
本文中では、共通テスト、センター試験とも本試験について解説。平均点は大学入試センター発表のデータの小数第2位を四捨五入(前年差も小数第2位を四捨五入)。
国語・数学②で大問数増!試験時間は10分増
国語と数学Ⅱ・B・Cは、試験時間が10分長くなります。また、国語は新傾向の問題が1題加わり、大問5題の構成になります。大学入試センターが公表した試作問題では、図やグラフを含む複数の資料を関連づけて解答を導く内容となっています。数学Ⅱ・B・Cは「必答3題+選択3題」となり、2024年までの「必答2題+選択2題」より問題が多くなります。大問の中身の構成が変わる可能性はありますが、試験時間が延びても時間が足りなくなるつもりで準備を進めておきましょう。
思考力・判断力・表現力や連動型の問題にも要注意!
センター試験から共通テストになった際に出題形式が大きく変わりましたが、2025年はその傾向がより強まります。単純に知識を問う問題は減り、複数の資料や図・グラフなどを読み取って考察したり、学んだ知識を日常的な場面で活用するような問題が増えると予想されます。2024年の世界史Bで出題された、いわゆる連動型の問題(連続する複数の問いにおいて、前問の答えとその後の問いの答えを組み合わせて解答させ、かつ正答が複数ある形式)が他の科目でも出題される可能性があります。
共通テストの平均点が高かった場合・低かった場合の自己採点結果のとらえ方
↑ 高かった場合
難関大の志願者が高得点層に集中し、得点差が縮小。2次対策に一段と力を
難関国立大の志願者の共通テスト得点が高得点層に集中し、志願者間の得点差が小さくなります。難関大は配点比率が大きい2次試験勝負と言われますが、平均点が高かった場合にはさらにその傾向が強まります。共通テストで目標得点をクリアした際にも気を緩めず、2次対策に注力しましょう。国公立大の志願者全体が増える可能性があるため、共通テスト後に志望校を変更する場合は、自己採点集計の目標得点や第1段階選抜の実施予想にも注意してください。
↓ 低かった場合
安全志向が働いて、中堅大は志願者増、難関大は志願者減。後悔しない選択が重要
志望校の出願をあきらめる受験生が増加します。難関大の競争は緩和し、その他の大学に志願者が集中してしまうことがあります。安全にと思って出願校を変更しても、その大学が高倍率となって難化することも。落ち着いて2次試験で挽回する可能性を検討し、納得のいく出願をすることが大切です。志望校を下げて合格しても、入学後に後悔するのでは意味がありません。併願校を増やしてでも第1志望校にチャレンジする、という選択肢も考えてみてください。
前回の新課程初年度はどうだった?
ゆとり教育からの脱却。理科の出題範囲が拡大
数学・理科は他の教科よりも1年先行して、2015年から新課程での入試が行われました。旧課程履修者への経過措置が行われたのも、この2教科です。文系の受験生も理科(基礎を付した科目)が2科目必要になり、理系用の理科(基礎を付さない科目)が高校履修の全範囲から出題されました。旧物理Ⅰと生物(基礎を付さない)との間で21.5点もの差が出たため、17年ぶりに得点調整が行われ、少し混乱が見られました。
5教科総合で文系はアップ、理系はほぼ横ばい
2015年から2年かけて全科目が新課程に移行しました。「ゆとり教育からの脱却」が掲げられ、センター試験も難化する可能性がありました。中には難化した科目もありましたが、5教科の総合平均点は文系が2年とも上昇、理系はほぼ変わりませんでした。大きな変化の初年度はやさしめの出題になることが多いようです。2025年も平均点が上がるとは限りませんが、新課程初年度だからと不安になる必要はないでしょう。
この記事は「螢雪時代(2025年1月号)」より転載いたしました。
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