【解説】一般選抜

大学入試には、「一般選抜」「学校推薦型選抜」「総合型選抜」と、大きく分けて3つの方式があります。
それぞれの入試方式の特徴を理解したうえで、自分に合った方式を見極めることが大切です。
本記事では、「一般選抜」について解説します。
なお、「学校推薦型・総合型選抜」については、こちらの記事を参考にしてください。
大学受験まるわかり

一般選抜とは?

一般選抜は、いわゆる「学力重視」の入試方式です。

学校推薦型選抜・総合型選抜では、高校時代の活動状況や成績、学びに向かう姿勢や意欲、受験生の個性や長所などについて、書類審査や面接などを通して総合的・多角的に評価されます。

対して一般選抜では、こうした観点も考慮はされるものの、基本的には試験当日のペーパーテストや面接(口頭試問)の結果で合否が決まります。つまり、「試験本番の一発勝負」の色合いが濃い試験だと言えるでしょう。

一般選抜は、国公立大と私立大によって、スケジュールや形式が大きく異なります。それぞれについて見ていきましょう。

国公立大の一般選抜

国公立大の一般選抜は、基本的に「大学入学共通テスト(以下、共通テスト)+各大学の個別試験(2次試験)」の総合得点で合否が決まります。

個別試験は前期日程と後期日程があり、各日程1校のみ受験が可能です。また、一部の公立大では中期日程や独自の別日程を設けています。最大3回(別日程を含めるとプラスα)の受験チャンスがありますが、前期日程で第一志望の国公立大を受験するのが一般的です。なお、近年は後期日程の廃止・縮小の傾向が強まっていることも押さえておきましょう。

受験科目は大学・学部により異なりますが、共通テストは5(6)教科7(8)科目、個別試験(2次試験)は3〜4教科というのが一般的。公立大学や後期日程では科目数が少ないケースもあり、後期日程では面接や小論文などが課されることもあります。

また、前期・後期問わず、医学部医学科や教育学部などでは面接や口頭試問が課される場合も。受験を検討している大学・学部については、早めに受験科目を確認しておきましょう。

なお、共通テストと個別試験(2次試験)の配点比率や各科目の配点は大学が個別に設定できるため、大学・学部によりさまざまです。共通テストを重視する大学・学部なのか、個別試験(2次試験)を重視する大学なのかにより受験対策も異なってきますので、配点には十分に留意しましょう。

出願・選抜が早期に始まる学校推薦型選抜・総合型選抜とは異なり、国公立大の一般選抜の試験は年明けから始まります。

まずは、1月中旬に共通テストを受験(出願は9月末〜10月上旬)。自己採点の結果をもとに最終的に出願校を決定し、1月下旬〜2月上旬にかけて大学に個別試験(2次試験)の出願をします(前期・中期・後期日程とも同時期)。2月下旬に前期日程試験を受験し、3月上旬の合格発表で合格が決まれば入学手続きを行います。不合格の場合は、3月上旬〜中旬の中期・後期日程試験を受験。3月下旬には合格発表が行われます。なお、前期日程で合格し、入学手続きを行うと、中期・後期日程は受験できない点に注意しましょう。

詳しい受験スケジュールについてはこちらの記事をチェック!

また、大学によっては「2段階選抜」を実施しているところもあります。これは、共通テストの得点により第1段階選抜を行うもので、ここを通過しないと個別試験(2次試験)を受けることができません。なお、2段階選抜を実施するかどうかは志願倍率(募集人員に対してどれだけの志願者がいるか)により決まるため、出願前にはわかりません。

私立大の一般選抜

私立大の一般選抜は、大きく「各大学の個別試験で判定する独自方式」と「大学入学共通テスト利用入試(以下、共通テスト利用入試)」の2タイプに分けられます(両方を合わせたタイプもあります)。

パスナビでは、「共通テストを利用しない入試」「共通テストを利用する入試」に分類して掲載しています(「共通テストを利用する入試」には大学独自の問題を課す融合タイプも含みます)。

試験方式や日程は大学・学部によりさまざまで、同じ大学・学部でも複数の方式・日程を設けているのが一般的です。例えば、同一の学部・学科で複数の試験日が設定され、その中から試験日を自由に選んで受験ができる「試験日自由選択制」や、事前に申請した得意科目に重点的に配点される「得意科重視型」といった方式もあります。

国公立大とは異なり、スケジュールさえ合えば何校でも受験が可能です。

【独自方式】

一般選抜のうち各大学が独自に行う個別試験は、受験科目が3教科が基本です。文系学部では「英語/国語/地歴・公民や数学から1科目選択」、理系学部では「英語/数学/理科の3教科から1科目選択」が一般的です。

また、英語については、英検®、TEAP、IELTSなどの英語外部検定の成績を利用できる制度を設けているところもあります。

(パスナビの英語外部検定利用入試の見方はこちら

なお、1〜2科目で受験できる大学・学部もありますが、高倍率になりやすい、科目を絞り込みすぎると受験校の選択の幅を狭めてしまう、などのリスクもあるため、注意しましょう。

【共通テスト利用入試】

一般選抜のうち共通テスト利用入試は、共通テスト(3〜5教科が一般的)の結果で合否を判定する方式です。大学によっては、共通テストに加え、独自の試験を課すケースもあります。

共通テストを受けるだけで複数の大学・学部に出願できるため併願に向いていますが、同じ大学・学部でも、独自方式より高倍率になる傾向があります。

私立大の一般選抜の出願は早いところでは12月下旬から始まり、共通テスト後の1〜2月にかけて試験が実施されます。大学によっては、3月以降も後期入試や2期募集(名称は大学により異なる)を行うところもあります。

合格者発表はそれぞれの試験の数日後に行われ、期日まで入学手続きを行います。併願校の入学手続き期日よりも第一志望校の合格発表が後の場合は、併願校の入学資格を確保するために入学金などを支払うことになります。第一志望校に合格・入学する場合でも、併願校に支払ったお金の一部は戻らないケースもあることに注意しましょう。

なお、遠方の受験生に配慮し、地方(大学外の場所)に試験会場を設ける大学もあります。受験にかかる交通費や宿泊費を抑えられるというメリットもあるので、事前に調べておくと良いでしょう。


国公立大の一般選抜は、一部の例外を除き「共通テスト+個別試験(2次試験)の総合得点で合否が決まる」、「前期・(中期)・後期から各1校のみ受験できる」と比較的シンプルですが、私立大の一般選抜は、方式・日程とも実にバリエーションが豊富です。

方式・日程から検討すると混乱しかねないので、まずは大学・学部を絞り込んだうえで、自分に合った方式・日程を選択するようにしましょう。

なお、パスナビでは、各大学・学部の一般選抜の入試科目・配点について、「国公立」「私立独自方式」「私立共通テスト利用入試」の条件から選んで検索ができます。ぜひ、活用してみてください。