指定校推薦とは-「指定校」発表の前の準備が重要

基礎知識

2024.07.25

指定校推薦とは

大学入試方式の1つ、指定校推薦。高校の推薦で大学に進学を決めることができるため、利用したいと考えている高校生も多いのではないか。

一見、大学を決めやすそうで利用しやすそうに見える受験方式だが、利用にあたり注意が必要なこともある。それは「指定校」が発表される前の準備。これが最も大切になる。では、指定校推薦とは、どんな受験の方式なのか、そしてどんな注意点があるのか、実際に受験した生徒の声と合わせて、紹介をしていく。

指定校推薦とはどんな受験方式か

指定校推薦は、「学校推薦型選抜」の1つ。まず、大学側が指定する高校に一定の推薦枠を設ける。生徒には高校3年生の時に指定校が発表されるので、高校生は希望する大学への推薦を希望する。

その後、高校内でどの生徒を推薦するかの選考が行われ、推薦者が決定する。希望をすれば全員が推薦されるわけではなく、高校それぞれでの選考基準に基づいて推薦者が決まるため、校内選考にもれてしまった場合、別の受験方式を検討することになる。

指定校推薦は一校のみしか出願できない、いわゆる専願が前提であり、合格後に辞退することはできない。また、入学後も大学での成績などが高校にも連絡されることや、自分の成績などによって後輩の指定校推薦の枠が増えたり減ったりすることもあるので、より責任感を持って大学生活を過ごす必要がある。

なお、指定校推薦は基本的に私立大で実施される入試方式となっている。

「評定平均」を高校1年生のうちから意識しよう

校内選考では高校生活3年間の成績や行動が審査の対象になる。したがって、指定校推薦を受けると決めたら、毎日の授業を大切にし、定期テストにも真剣に取り組むといった地道な努力が求められる。

特に「評定平均」が高い生徒が評価される。評定平均は1~2年生と3年生夏休み前の成績から算出されるため、3年生になってからでは評定平均をあげられない。指定校推薦による大学進学を考えている場合、1年生からの地道な努力がきわめて大切になる。

つまり、「指定校」が発表される3年生から動き出すのでは遅く、「指定校」が発表される前の準備こそが重要なのだ。客観的な評価指標として、英検などの資格を取得しておくことも大切になる。

指定校推薦のスケジュール

指定校推薦合格までの一般的な流れは以下の通り。

高校1・2年生

①進路希望調査

高校2年生の秋から冬にかけて進路希望調査が実施される。指定校推薦を受験する意思を早めに伝えておくことが重要。

高校3年生

4月頃②進路面談

高校3年生に進級した直後の4月ごろに実施。指定校推薦を受験するかの確認をされる場合があるので早めに相談をしよう。

5〜6月頃③推薦入試の要項配布

大学からの募集要項が高校3年生の5~6月頃に配布されます。その大学の入試全体を説明する大切な資料なので、取り寄せておこう。

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7月頃④評定平均の確定

3年生の夏休み前に行われるテストの結果により、調査書などに書く「評定平均」が確定。

7〜8月頃⑤夏のオープンキャンパス

夏休み期間に各大学で実施されるオープンキャンパスに参加しよう。生の情報を得て志望動機をリアルに仕上げよう。

9月頃⑥校内選考

指定校推薦で最も重要なのが校内選考だ。評定平均をはじめとする学習成績や課外活動、部活動、取得資格、高校生活への取り組みなどが比較・検討される。

10月頃⑦書類作成・出願

出願書類を準備し、締め切りまでに出願する。

指定校推薦のメリット・デメリット

指定校推薦のメリット・デメリットとはどんなことだろうか。

メリット
先生方が推薦してくれる

指定校推薦のメリットは、生徒の近くで学校生活を見ていた先生方が個々の生徒の能力や人物像を詳細に評価してくれることにある。生徒が高校生活や社会活動で示したリーダーシップや個性、そして学業成績などが、校内選考の重要な要素となるのだ。また、高校の校長の推薦のもと受験できるため、合格確率は高くなるというメリットもある。ただ、入学を前提とする入試であるため、合格後の辞退は避けたい。所属する高校にも大学にも迷惑をかけることになるので、事前にしっかりとした志望校調べが前提となる。

デメリット
希望する大学の推薦枠は毎年あるわけではない

希望する大学の推薦枠が必ずあるわけではない点がデメリットとしてあげられよう。指定校推薦の枠は毎年変わる場合があるのだ。通っている高校に自分が希望する大学の指定校枠が過去にあったとしても、自分が受験する年にはないこともあるので、その点は注意が必要だ。

指定校推薦に落ちたらどうする…?

指定校推薦の校内選考が決まるのは高校3年生の10月頃。仮に校内選考に落ちた場合、それ以降に出願できるのは一般選抜がほとんど。12月頃に出願できる総合型選抜もあるが、募集枠は少なめだ。

指定校推薦だけで大学進学を考えるのは危険で、不合格になってしまってから次の試験の準備に切り替えるのは時間的にも精神的にも大変になる。落ちた場合のプランもしっかりと考えておくようにしよう。

「早めの準備が大切」
指定校推薦を受験した受験生の声

高校2年の終わり頃から有名私立大のA大学を志望していましたが、高校3年になると多くの生徒がその大学の指定校枠を狙っていることがわかってきました。自分よりも成績が良い生徒もおり、競争が厳しくなることが予想されたため、志望校をB大学の英文学科に変更しました。夏休み明け、高校で指定校推薦希望者の募集があり、応募しましたがB大学の英文学科も人気で、残念ながら校内選考で漏れてしまいました。 指定校推薦の2次募集があり、B大学のフランス文学科を志望したところ校内選考を通過し、見事合格を勝ち取ることができました。

指定校推薦という入試制度を知ったのは高校2年の冬頃でした。その後は自分の強みを活かして努力を続け、成績を向上させました。もう少し早く指定校推薦のことを知っていれば、1年生の時から定期テストや課題に真剣に取り組み評定平均値を上げる努力を続けていたかもしれません。

後輩のみなさんへのアドバイスとしては、まずは自分の目標や希望を早めに定め、志望校を決定し、それに向かって着実に努力しましょう。目標があるからこそ努力ができるのだと思います。また、大学進学に関する情報を早めに収集することも必要です。特に指定校推薦を狙う場合は、早い段階から自分の強みや目標を把握し、志望校選びをすることが大切だと感じています。

公立高校の元校長先生からのアドバイス

指定校推薦は早めに受験が終わるメリットがありますが、高校の成績を高い水準で保つ必要があるため注意が必要です。対策を進める際には、1年生のうちから学習計画をしっかりと立て実行する。毎学期の定期テストでよい成績を維持するなどを意識してみるとよいでしょう。