受験お役立ち情報
2024.04.30
大学入試が昔とは様変わりしている。一般選抜よりも総合型選抜・学校推薦型選抜、つまり年内入試の入学者の方が多くなっているのだ。なぜ、一般選抜が減少し、年内入試が拡大しているのか。ここではデータをもとに分かりやすく解説していく。
生徒
最近「年内入試」が増えているって言うけど、年内入試って何ですか?
先生
年内入試というのは、総合型選抜と学校推薦型選抜のことだよ。
一般選抜は年明けの2月ごろからスタートするのに対して、総合型や推薦型は年内の秋から始まるから「年内入試」と呼ばれているんだ。
志望理由書や小論文・面接などが重視される入試だよ。
生徒
なんで最近、年内入試が増えているんですか?
先生
それには大きく3つの理由があるんだ。
まずは大学入試で今、何が起きているか。
全体的な状況から見ていこう。
先生
このグラフを見てごらん。
受験生数が減っているのがわかるよね。これは今後も減っていくんだ。
生徒
でも子供の数の減少って、前からあったんじゃないですか?
先生
そのとおり。
受験生数の減少は今に始まった話じゃない。
でも受験生数を「延べ人数」で見るとかなり状況は変わるんだ。延べ人数では1人が3校に出願した場合、「3人」と数えるよ。
生徒
あ!さっきのグラフと全然違う!
先生
2019年までは増えているよね。
これは受験生数は減っていたけれども、併願校数が増えたからなんだ。
ところが2021年にガクっと落ちた。
併願校数を減らしたから一気に落ち込んだんだ。
生徒
何があったんですか?
先生
コロナだよ。
試験会場で感染するリスクを避けるために、受験生が併願校を絞ったんだ。
この減り具合は今までの日本の入試で最大規模。
コロナで受験生数の減少が一気に表面化したんだ。
先生
2021年の激減に加えて、もう1つ大学入試に大きなショックだったのが、2022年以降も元には戻らなかったこと。
いよいよ「大学経営難」の時代が本当にやってくる。
それで多くの大学が年内入試で早めの入学者確保に乗り出したんだ。
生徒
年内入試を増やしたいのは大学側なんですか?
先生
年内に決めたいのは受験生側も同じ。このグラフは現役で大学に進学した人の割合だ。
増加しているのがわかるよね。
生徒
受験生の9割以上が現役で進学しているんですね!
先生
ここまで来ると「大学は現役で行くもの」っていう考えが世の中の常識になっちゃう。
それで「早く確実に受かる」ために、自分の実力にあった大学を総合型・推薦型で受ける受験生が増えているんだよ。
生徒
年内入試の増加は大学と受験生、両方のニーズなんですね。
先生
実際、年内入試の志願者が増えている様子を見てみよう。
さっき受験生の延べ人数が2021年にガクっと落ちるグラフを見たよね。あれを私立大の一般選抜と総合型・推薦型に分けたものがこれだ。
生徒
一般選抜の方が落ち込みが大きく見えます。
先生
そうなんだ。
コロナで両方とも落ちたんだけど、総合型・推薦型の方がまだマシだった。コロナという非常事態の中で「手堅く合格を決めたい」という受験生心理が働いたんだね。
その後も「一般選抜=減少」「総合型・推薦型=増加」の傾向が続いているよ。
生徒
受験生が総合型・推薦型に流れているのがわかりますね。
生徒
でもこれじゃあ総合型・推薦型は倍率が高くなっているんじゃないですか?
先生
ところがそうではないんだ。
このグラフを見てごらん。
生徒
合格者数がすごく増えていますね!
先生
大学側も早く入学者を確保したい。
だから合格者を毎年多く出す。
その結果、私立大の総合型・推薦型の倍率はこうなっているよ。
生徒
むしろ倍率は下がっているんですね。意外でした。
先生
志願者は増、合格者も増、その結果倍率はダウン、というのがここ数年の私立大の年内入試だね。
先生
最初に言った、年内入試が増えている3つの理由はわかったかな?
「受験生数の減少」で大学は早く入学者を確保したい。
「現役志向の上昇」で受験生も早く合格したい。
この両者の思惑が「コロナ」を機に加速したんだ。
生徒
よくわかりました! 私も年内入試で受験します!
先生
ちょっと待って。
そう決めるにはまだ早いよ。
総合型も推薦型も、年内入試は「その大学に惚れ込む」というのが大前提。面接や小論文でそれをしっかりアピールすることが大事なんだ。
単に「早く合格がほしいから」という理由だと、入学してから後悔しちゃうかもしれない。
それに対策だって時間がかかる。
志望理由書や小論文・面接に時間をかけて落ちてしまった場合、一般選抜に向けて遅れた分を取り返せる? 気持ちを切り替えられる?
生徒
そうですね…。
先生
年内入試は「この大学でこの勉強がしたい!」という人が受ける入試。
一般選抜は学力試験で難易度がより高い大学にチャレンジしたい人が向いているね。
生徒
わかりました。
とにかく大学を調べるところから始めてみます。
どの入試方式が自分に合うのかは、その次ですね!
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