受験お役立ち情報
2024.07.25
近年拡大する総合型選抜。その背景には高校の学びに「探究学習」が取り入れられていることも挙げられよう。2022年度から「総合的な探究の時間」がスタートし、「探究」という学びが広がっている。この「探究」とはどのような学びなのか、そして、大学入試とりわけ総合型選抜とどのようにつながっているのかを解説していく。
生徒
「探究」が大学入試に活きるって話を聞いたことがあります。それってどういうことですか?
先生
良い質問だね。今日は「総合型選抜と探究学習のつながり」について話していくね。まず、「総合型選抜」という入試方式を知ってる?
生徒
うーん、なんとなくは知っていますけど、詳しくはわからないです。
先生
総合型選抜は、大学側が「求める学生像(アドミッション・ポリシーと言う)」をあらかじめ示し、受験生がそれにふさわしい人物かどうかを評価する入試方式なんだ。選考方法として志望理由書、面接や小論文が用いられる場合が多い。
生徒
なぜ志望理由書、面接、小論文があるのですか?
先生
学力試験では測ることが難しい思考力や判断力、学びへの意欲などを幅広く評価するためだよ。受験生にとっては、大学受験の機会が増え、早い時期に合格できるメリットがあったりするよ。
生徒
それってすごくいいですね。総合型選抜に興味が湧いてきました!
先生
さらに付け加えると、2024年度の入試からは、新しい学習指導要領に沿って、大学入試全般が変わるんだ。高校で探究学習に取り組み、知識だけでなく、それを活用する力、学びに向かう姿勢など幅広い能力をバランスよく身につけた受験生を評価する大学が増えていくよ。総合型選抜は一般選抜に比べ、そうした能力を評価しやすい入試のひとつなんだ。
生徒
なるほど。次は、「探究学習」についてもっと詳しく教えてください。
先生
探究学習は、4つのプロセスに分けられるよ。
生徒
4つのプロセスを通して学ぶのは、なぜですか?
先生
今日の社会は、グローバル化やAI技術の発展、感染症の流行などの課題があり、今後ますます予測困難な時代になっていくと言われているんだ。このような答えのない問いに向き合い、解決を目指すには探究学習で身につけた力が求められる。例えば、探究学習で得た「主体的に課題を見つける力」や「協働して解決する力」は、将来どんな仕事でも役立つ。
生徒
探究学習を通して得られることは、社会に出たときに役立つんですね!
先生
まさにそうなんだ。社会人になったときに、いきなり「この仕事の課題は何?」とか、正解のない課題に対して「自分で考えて、解決策を提案してほしい」と言われても難しいよね。探究学習で得られる力は、今後の社会に必要とされる能力なんだ。
生徒
なるほど。じゃあ、その探究学習が総合型選抜とどうつながるんですか?
先生
探究学習というのは、その学びを通じて、自分は何に興味があるのか、大学で何を学びたいか、将来どう社会に貢献したいかがはっきりしてくるという一面がある。そういったことを意識し、考えてきた人物を大学は求めているんだ。この点を評価する入試として総合型選抜がある。また、評価する手段として志望理由書や面接があるんだよ。
生徒
志望理由書や面接では具体的にどんなことが問われるんですか?
先生
大学で学びたいことや将来の展望などが問われるよ。特に面接では志望動機の強さや学びへの意欲、コミュニケーション力などが見られる。高校の「探究学習」での取り組みを振り返ることで、これらの質問に対して思考が整理され、答えやすくなるよ。
生徒
それなら探究学習をしっかりと記録しておくことが大事ですね。あと、小論文を課す大学が多いと聞きました。小論文では、何を見ているんですか?
先生
その通り。小論文では、基礎学力や表現力だけでなく、大学の学びへの意欲、社会課題に対する関心なども評価されるよ。大切なのは、課題に対する自分の意見を具体的に述べること。課題文型やテーマ提示型など、さまざまな出題形式があるけど、自分の考えをしっかりと表現する力が求められる。
生徒
実際に探究学習は総合型選抜でどのくらい利用されているんですか?
先生
このデータを見てごらん。2024年度入試を受けた現大学1年生に行った「探究学習を入試利用しましたか」という調査結果だよ。なんと総合型選抜で利用したと回答した割合が43.4%もあるんだ。これは一般選抜に比べて3倍以上も多い。
これだけ高い割合で総合型選抜で利用されているんだ。総合型選抜と探究学習の相性がいかに良いかというのが分かるよね。
生徒
総合型選抜と探究学習の相性が良いことがよくわかりました。探究学習をしっかりやって、ちゃんと記録をしておくことが大事ですね!
生徒
最近よく「探究型入試」と聞くことがありますが、それについても教えてください。
先生
探究型入試は、総合型選抜の中でも最近注目されている方法で、新しい入試制度として導入する大学が増えているんだ。「探究評価型入試」や「探究成果活用入試」といった名前を付けている大学があるよ。
生徒
具体的にどんな入試内容なのですか?
先生
ある大学の入試では、高校での探究学習をまとめた文章を提出させているよ。面接の代わりに探究学習についてのプレゼンテーションを実施する大学もある。探究関連のコンテストに参加して入賞した生徒について1次審査を免除する大学もあるんだ
生徒
探究学習での学びや成果が総合型選抜に活かせるんですね。それなら、自分の探究学習をしっかりまとめておくことが大事ですね。
先生
その通り。探究学習を通して得た興味や関心分野、大学で学びたいこと、将来の目標を志望理由書や活動報告書に記入しよう。具体的な活動をもとにした記述は、相手に伝わりやすいよ。探究テーマと異なる分野でも、探究のプロセスで得た力をアピールすることが重要だよ。
生徒
分かりました。「探究型入試」を実施している大学を調べてみます。
先生
いいね。「探究型入試」を導入する大学はどんどん増えてきているんだよ。この拡大傾向はまだしばらく続きそうで、それだけ探究学習を総合型選抜に活かせる機会が増えていくってことになるね。
生徒
探究学習についてまとめるときは、どんなポイントに気をつければいいですか?
先生
まず、自分がどのように課題を見つけ、どんな方法で情報を収集し、どのように整理・分析したかを明確に書くこと。特に、なぜその課題に関心を持ったのか、どのような問いを立てたのか、それを検証するためにどのような情報が必要か、などについて記入できるといいね。
また、その過程でどんな学びや気づきがあったのか、自分が成長した部分を具体的に述べることが重要なんだ。そして、大学でその経験をどう活かしたいか、将来の目標にどうつながるかを具体的に示すことが求められる。
生徒
わかりました!探究学習で得たことをうまくまとめられるように頑張ります!
先生
そうですね。また、探究学習を通じて身につけた力は、大学以降の学びや社会人としての生活でも大いに役立つよ。例えば、思考力・判断力・表現力や主体性・協働性は、どのような場面でも必要な能力だよ。
生徒
先生、探究学習がこんなに重要だとは思いませんでした。
先生
探究学習は自分の興味関心を深めるだけでなく、将来の進路やキャリアに直結する大切な学びなんだ。そして、探究学習を通じて得た経験や知識は、大学での学びにそのままつながっていくよ。
生徒
なるほど。大学での学びも楽しみになってきました。
先生
そうだね。大学では先生から与えられた課題に取り組むだけではないよ。自ら問いを探し、それの解決に取り組む活動が圧倒的に増えるはず。高校と大学との学びのギャップが問題とされる中で、探究学習で培った自主性や探究心は、大学での学びをスムーズに進めるための重要な要素となると思うよ。
生徒
そう考えると、今からしっかりと探究学習に取り組むことが大切ですね。
先生
その通り。探究学習は決して簡単なものではないけれど、自分が興味を持ったことに向き合い、とことん突きつめる中で得られる達成感や自信はとても大きなもの。ぜひ積極的に取り組んでください。
生徒
わかりました。探究学習を通じて、自分の将来の目標を見つけていきたいです。
先生
それは素晴らしい目標だね。探究学習はそのための第一歩。探究学習で得た経験を活かして、大学でもさらに学びを深め、将来の夢を実現してほしいと思います。
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