医学博士・本郷赤門前クリニック院長
吉田 たかよし 先生


受験生になったら必ず見直したいのが、生活面。その3本柱が睡眠・食事・運動です。特に睡眠は、記憶の定着や脳の疲労回復に不可欠。脳はサーカディアンリズム(いわゆる体内時計)に従って活動しており、睡眠時間の確保はもちろん、就寝・起床の時間を一定に保つこと、睡眠の質を高めることも非常に重要です。また、脳を良い状態に保つためには、適度な運動が不可欠。日々の食事も、次項の「改善ポイント」を参考に受験仕様に切り替えましょう。
脳は無意識下で環境の影響を大きく受けています。特に、いろいろな情報が目から入ってくる環境では、脳がその情報処理に労力を割いてしまい、そのぶん集中力や思考力は低下します。そこで、4月にはぜひ、学習環境の見直しをしましょう。最も大事なのは、整理整頓。机の上や周辺には余計なものを置かず(勉強机でのスマホ使用はNG!)、英語なら英語、数学なら数学に集中できる環境を整えましょう。この時期に、学校の図書館、塾の自習室、カフェなど、勉強に集中できる場所をいくつか見つけておくことも重要です。
脳は睡眠中に記憶の整理整頓を行っています。受験生であれば、毎日7時間は睡眠時間を確保しましょう。特に深夜1~3時の間の最も深い睡眠時には記憶の固定化が起こっていて、この時間に睡眠が浅いと覚えた知識が消えてしまいます。夜更かしや寝る前のスマホは、睡眠の質の低下を招くのでNG。休日であっても平日と同じ時間に起床・就寝して、生活リズムを乱さないようにしましょう。また、脳の疲労を回復させるのに有効なのが、昼食後の20分程度の昼寝。コーヒーを飲んでから昼寝をすると、起きるころにカフェインが効き、脳の覚醒度を上げてくれます。
疲れたときには甘いもの…というイメージがありますが、血糖値の急変動は脳にとって良くありません。血糖値が安定すると集中力も持続するので、白米より玄米、糖分と食物繊維を同時に摂るなど意識しましょう。記憶に良い影響を与えるDHAやEPAを含む魚、脳のストレス耐性を高めるビタミンB群、脳の緊張を緩和するセロトニンのもとになる栄養素を含むバナナやナッツ類などは積極的に摂るといいでしょう。また、脳と腸の状態は連動しており、腸内環境を整えることはとても大事です。おすすめはヨーグルト。食後に食べると、乳酸菌が腸まで届き効果的です。
適度な運動には、ストレスホルモンであるコルチゾールをリセットする作用があり、運動することで発生するアデノシンには睡眠の効果を高める作用もあります。一方、運動量が減ると、脳の記憶力やストレス耐性、思考力などが低下します。加えて、睡眠の質が低下することで不安・不満を感じやすくなり、感情がネガティブになりがちです。時間のない受験生におすすめなのが、自宅~駅や駅~学校の区間をダッシュすること。短時間で運動効果の高い縄跳びもおすすめです。勉強中も座りっぱなしはNG。部屋の中を歩いたり屈伸したりすることを習慣化しましょう。
机の上や周りをスッキリ整えることに加えて、照明やカーテンの色合いなども工夫しましょう。照明は、昼間は脳を覚醒させる青白い光に、夜は自然と質の高い睡眠に誘う暖色系の光に切り替えるとベスト。色彩は、集中力を高める青、ストレス軽減効果のある緑がおすすめです(赤は一時的に集中力が高まるが持続しない)。また、自室では集中ゾーンとリラックスゾーンを分け、「ここに座ったら集中」という場所を決めておきましょう。トイレやお風呂では副交感神経が優位になり記憶に向いているので、覚えたいことを書いたメモなどを貼っておくのがおすすめです。

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