いよいよ受験期も勝負の後半戦に突入。学習量も不安も増大し、精神的・物理的な負荷がピークに達するこの時期を軽やかに乗り切るには、「勉強の効率化」がカギになる。負荷を軽減し、ストレスなく結果が出る勉強へと変革するための鉄則を、粂原先生に教えていただいた。

粂原 圭太郎 さん
京都大学経済学部に首席入学(経済経営学科卒業)。オンライン個別指導塾「となりにコーチ」を運営。マンガ『ガクサン』(佐原実波/講談社)の監修を務めるなど、学習法や学習参考書に詳しい。2019年から3期連続(65~67期)競技かるた名人位。
突然ですが、みなさんはどんなときに「受験勉強がつらい」と感じますか?つらいことを続けると脳内ではストレスホルモンが増大し、集中力や意欲、思考力、記憶力といった学習に関わる機能が低下し、受験勉強の効率・成果にも悪影響が出てしまいます。逆に言えば、勉強が「つらくない」ものになれば、ストレスなく結果を出すことができるのです。
では、どうすればいいか。「気合いで克服!」と根性論で乗り切れるのは、一部の人だけです。乗り切れなかったときの精神的ダメージが大きく、おすすめできません。私が提唱しているのは、「つらいと感じにくいやり方」に切り替えること。精神的・物理的な負荷を最小限に抑えつつ最大限の結果が出る、「効率化」した勉強法をお伝えしましょう。
タイプ1勉強に終わりが見えず、 達成感が得られずに消耗…
鉄則1:「やらないこと」を決め、to doを絞り込む
タイプ2努力が成果につながらず、伸び悩みで疲弊…
鉄則2:「できるようになったこと」を書き出す
タイプ3勉強に取りかかるまでに時間がかかる…
鉄則3:休む前に、次にやる勉強の準備をしておく
タイプ4机には向かっているが、集中力がもたない…
鉄則4:1回の勉強時間を短くし、こまめに休憩する

受験勉強はやってもやってもやるべきことが湧いてきて、ゴールが見えず達成感が得にくいのがつらいところ。抜け漏れゼロの完璧な状態で試験当日を迎える…というのは理想論にすぎず、実際は合格点をとれればOKです。であれば、戦略的に「やらないこと」を決めて、やるべきことを絞り込み、集中的に対策するほうがいいですよね。例えば、苦手で伸びが期待できない数学に1時間費やすのか、対策が遅れていてまだ伸びしろのある日本史に1時間を費やすのかなど、志望校の配点と現状の学力・伸びしろから、どこを重点的に対策すべきかを見極めましょう。


この時期は、夏に頑張ったのに模試の結果が奮わず、伸び悩みで疲弊してしまう人も少なくありません。勉強は努力と成果にタイムラグがあり、成績がぐんと伸びる前には「プラトー」と呼ばれる停滞期があります。これは科学的に解明されていることであり、伸び悩みは飛躍の前段階なのです。
とはいえ、成果が出ないのはつらいですよね。そんなときは、ノートを1冊用意し、「できるようになったこと」を書き溜めましょう。その日に覚えた単語、解けるようになった問題など、どんな小さなことでもOK。可視化することで、確実に成長していることが実感でき、徒労感はなくなるはずです。

脳は、工程が多い作業に対してストレスを感じます。勉強の場合、問題集を机の上に出す、ページを開く、解く問題を決める、ペンを持つ…という複数の工程があり、やる前から「ああ面倒だ…」と思ってしまうのです。一方、脳には「作業興奮」という性質があり、一度作業を始めると、容易に続けられます。つまり、勉強スタート時のハードルをいかに下げるかが重要なのです。勉強に取りかかるまでに時間がかかる人は、夜寝る前や休憩に入る前に、翌日や休憩後にやることを決め、机の上に問題集の該当ページを開いて準備しておきましょう。問題の最初の一文を読んでおくと、よりスムーズに勉強に入れますよ。

勉強がつらく集中力がもたないときは、「15分勉強して3分休憩」など、1回の勉強時間を短く設定しましょう。15分ももたない…なら、「3分だけ集中」でもOK。先述のように脳には作業興奮という性質があり、3分だけのつもりが5分、10分と集中できるようになります。私のおすすめは、「25分勉強して5分休憩」のセットを繰り返すこと。1回あたりの負荷が少なく、結果的にトータルの勉強時間も伸びる傾向があります。また、休憩時間に座りっぱなしはNG。立ち上がるだけでもいいので、体を動かしましょう。
集中力を高める!おすすめルーティン
ガッツリ集中して勉強の質を上げるためにおすすめなのが、勉強を始める前2つのルーティン。1つは、ペン先などどこか1点を10秒間、瞬きせず凝視すること。私自身、競技かるたの試合の前には、畳の上の1点を凝視することで、集中力や記憶力が高まり、ベストな緊張状態になることを実感してきました。もう1つは、片足で立ち、目をつむって10秒数えること。実際にやってみるとわかると思いますが、他のことを考える余裕がなく、自然と集中力が高まります。どちらも試験本番でも使える技なので、今のうちからルーティン化しておきましょう。

受験勉強は、つらくてしんどいもの。本当にそうでしょうか?仕組みや設計を変えることで、勉強のハードルは下げられる。そのことを、今回の記事で理解してもらえたのではないでしょうか。次のステップは実践です。紹介し4つの鉄則を、日々の受験勉強に取り入れてみてください。きっと効果を実感できるはずです。最後に、今、成果が出ずにつらいと感じているのは、あなたが頑張っている証拠です。伸びる直前の症状であると前向きに受け止め、歩みを止めないでください。応援しています!
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