これからの受験期後半戦では、残された時間で最大限の成果を生み出す戦略的かつ効率的な学習が不可欠だ。
前半戦で培ってきた学力を爆発的な“伸び”につなげ、志望校合格を勝ち取るための超効率的な学習テクニックを、本誌連載でおなじみの小船先生に教えていただいた。

小船 幹生 先生
京都大学理学部を卒業後、同・大学院理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻修士課程を修了。欧州原子核研究機構で研修後、東京大学理科Ⅲ類に合格。現在は、予備校や中高一貫校で情報科、大学で統計学・確率論の講師を務めるほか、官公庁・金融機関でデータサイエンス研修や分析業務などを行う。

受験勉強では、時間や集中力などのリソース管理が非常に重要です。有限なリソースを最大限に活用するために大事なのが、「余計な思考や選択をしない」こと。勉強を始める前に、「さて、何をどのくらいやろうか?」と考えることは、時間を無駄にするだけでなく、脳を疲弊させ、集中力を低下させます。
そこで、やることを固定化し、習慣化しましょう。各科目の時間や順番、具体的な学習内容を決めておき、そのセットを徹底的に繰り返すのです。私はこれをIT用語になぞられて「トランザクション」(「不可分な一連の処理」のこと)と呼んでいます。眼鏡をかけるなど、開始のスイッチとなる「トリガー」とセットで習慣化すると効果的です。時間が来たら、途中でもスパッと次の科目に切り替えましょう。これをまずは2週間続けてみてください。勉強のストレスが一気に軽減され、集中力と学習効率は大きく向上します。


覚えるべきことを覚えるのは、受験勉強の王道であり大前提。ですが、全体像がよくわからないままやみくもにパーツを覚えた結果、いざ使おうとしたときにうまく知識を取り出せない…という状況に陥っている受験生は少なくありません。せっかく覚えたのにもったいない。そう、圧倒的に効率が悪いですよね。特に、入試本番が近づく秋以降は、覚えた知識を引き出したり掛け合わせたりする「アウトプット力」がより重要になってきます。
効率のよいアウトプットに不可欠なのが、インプットとアウトプットの連携を強化すること。そのために有効なのが、知識の構造化・体系化です。これまでに覚えたこを、ラベルを付けた「引き出し」や「フォルダ」に分けて関連付けながら整理し直すイメージです。ラベリングには、教科書や参考書の目次にある章や大見出しの文言をそのまま使うのがおすすめ。頭の中に引き出しやフォルダができると、新しい知識を覚えた際にも、どこに何を格納するべきかがわかります。そして、覚えたことを使う(=問題を解く)際にも、効率よく取り出すことができるのです。



私が受験生時代に実践し、インプットの質や効率が飛躍的にアップした学習法が、「覚えたいことを自分の声で録音し、それを聞いて覚える」という方法です。スマホの録音・再生アプリを使い、セルフレクチャーするように録音。最初は等倍で聞き、次第に速度を上げてリピートしまくります。脳は、自分の音声の発信・受信をほぼ同時に行っており、少し先を予測して聞くことができます。慣れてきたら3倍速くらいまでいけちゃいます。
おすすめなのが、録音する際にあえてノイズやインパクトを盛り込むこと。公園で録音したり、モノマネや声色、抑揚を変えて録音すると、場所や音の記憶とセットになって思い出しやすくなります。受験勉強では、目で見たり手で書いたりするシーンが多いですが、そこに「声に出す・聞く」という別の感覚を用いることは、脳にとって刺激になります。スマホとイヤホンがあればいつでもどこでも聞けるという手軽さもあり、インプットの効率が爆上がりすること間違いなしです。

違うのはここ! 賢いヤツは引き算がうまい!?
東大や京大に合格する「賢いヤツ」に共通するのが、「引き算」がうまいこと。受験勉強では、あれもこれもとやるべきことが増えがちですが、彼・彼女たちは、あえて「やらない」と判断して省くことで、最重要事項に全力投球するのです。まさに、効率化・最適化の極みですね。試験本番では満点をとる必要はありません。大学・学部にもよりますが、合格のボーダー(得点率)は6~7割というところでしょう。合格点に到達するためには何が必要で何が不必要か、これからの時期は「引き算思考」で戦略を練ってみることをおすすめします。
私は受験生時代、効率化・省力化を徹底的に追求しました。なぜなら、受験勉強は手段にすぎず、極力ストレスなく済ませたいものだからです。ですが、こうした効率化・省力化の考え方は、今後の人生でぶち当たるすべての壁には当てはまりません。大学では、みなさんが本当にやりたいことができる環境が待っています。そこでは、答えのない問いに向き合い、答えを模索し、試行錯誤を重ね、遠回りもたくさんするでしょう。大学では、そんな沼にどっぷりと浸かって、時間や思考を費やす経験をしてください。

この記事は
「螢雪時代(2026年10月号)」
より転載いたしました。
「螢雪時代」最新号は好評発売中!
詳細はこちらをご覧ください。
この続きを読むには
に登録(無料)が必要です
さらに旺文社のサービスで
この他にも便利な機能が!
詳しくはこちら





