
東京都・攻玉社中学校・高等学校 進路指導部
立崎 宏之 先生
担当は数学。学年全体で入試ガイダンスを年に数回実施。生徒本人が自分の進路を自分自身で考えること、自分から進路の情報を調べられるようになることを目標に進路指導にあたっている。吹奏楽部の顧問も務める。

本番直前期の過去問の役割は、出題傾向の確認と実戦的な演習です。共通テスト直後など余裕のある時期にじっくり過去問に向き合い、出題傾向や配点、自身の苦手分野の把握をしておきましょう。
直前期は実戦的な演習に切り替え、本番を想定して時間を計って解くことをおすすめします。また、併願校を含めた受験日程を正確に把握し、それをもとに学習スケジュールを立てることも大事です。第1志望校や併願校の過去問を何年分解けるかは、受験日程により決まります。
これから迎える本番直前期は、過去問演習を通じて、完答を目指す問題なのか、部分点を取りたい難問なのか、その見極めができるようになりましょう。

過去問は1つの年度の大問セットをまとめて解くことを推奨しますが、この方法のデメリットとして時間がかかることが挙げられます。時間がない人は、ある程度は分野別に過去問演習するのもありです。ただ、同じ年の問題の中に、確実に取らなければならない問題や、部分点狙いにならざるを得ない難問があり、時間配分もそれによって変わることを体感できるのは、1年分まとめて解くメリットです。時間配分を設定してから解きましょう。

分野別に大問単位の演習をする場合、たとえば1題20分で解こうとする問題で5分悩んでも解答の初手が浮かばないなら、一度解答例を見てしまうのがいいでしょう。数学では、時間をかけても手が出ない問題はあるので、時間の節約のための割り切りも必要です。ただし、あとで必ず解き直しましょう。その際、明らかに一般の受験生のレベルを超えているような難問だと感じたら、無理せずほかの問題演習に時間を使うことも考えましょう。

答案を先生に添削してもらうことは有効な学習法ですが、解いてから返却までに時間が空く、「丸投げ」になりがち、などデメリットもあります。不安に感じる箇所を事前に伝えておくなど、添削のやり取りをよりスムーズにする工夫も必要です。また、添削よりも、その場の質問で解決するほうが効率的な場合もあるでしょう。添削は最初の数回にし、あとは自力と質問で解答を振り返る、というように、最終的には自学を目指すのが理想です。

直前期にこそ意識したいのは「あまりにも判読性の低い答案はNG」ということです。特別に美しい文字で書く必要はありませんが、自分以外の人が読み取れないほどの乱れた字体は避けましょう。また、数式の羅列だけで次の式に移る接続語や書くべき定理名が全くない答案も、採点しづらいものです。重要なのは「解法の方針」を採点者が読み取れること。試験本番の答案は乱雑になりがちですが、最低限の丁寧さを常に心がけましょう。
一般的に、第1志望校の過去問は5年分くらい解けると、出題傾向を把握できると思います。直近の1年分は最後の仕上げ用に確保しておき、それ以前の数年分で演習を積みましょう。もちろん、東京大や京都大など最難関大の場合は、さらに多くの問題数を解くべきです。併願校の過去問は、受験する数や日程にもよりますが、最低でも1年分、可能なら3年分できると理想的です。もし過去問のストックを使い切ってしまったら、先生に相談し、志望校レベルの問題が収録された問題集を推薦してもらうといいでしょう。
本番に向けて意識してほしいのは、「何があっても最後まで走り抜く、と心に決めておくこと」です。どんな出題があったとしても、解ける部分を探し、手を止めないという心構えを、試験の開始前に再確認しておきましょう。解法が思いつかなくても、いったん次の問題を進めているうちに着想することは多いものです。「ここで迷ったり後悔したりしても、プラスにはならない」というあきらめないメンタルが大切だと思います。

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