英語
ZEN Study 三浦 淳一 先生
予備校や進学校での大学受験指導のほか、映像授業でも活躍中。旺文社『全国大学入試問題正解 英語』の解答者で、『全レベル問題集 英語長文①~⑥』『入門英語長文問題精講』(いずれも旺文社)など、多数の著書がある。
自由英作文に出るテーマは、「英語を小学校から学ぶべきか」「授業中にスマホを使用することの是非」「人工知能が社会に及ぼす影響」など定番と言えるものも多い。ところが、想定外のテーマだと事前に準備した解答パターンが通用せず、構想にとまどって時間を浪費しがちだ。対策としては、わざと問題のテーマを書きにくく変えて練習するとよい。例えば、「英語は高校入学まで学び始めるべきではない」という常識とは異なる主張にしたり、「人工知能が家庭に及ぼす影響」のように一見無関係なものを結びつけて書く練習をしてみよう。
出題例
2024年 東京大(前期) 大問2(A)
「紙は人類の最も偉大な発明の一つである」「自転車は(以下同)」のいずれかを選択。「パソコン」「スマホ」「自動車」なら書きやすかっただろう。「紙→記録→知識の蓄積」「自転車→環境・健康にプラス」という発想ができるかどうかがカギ。
入試で出題される英文は年々長文化している。こうした長文化傾向に対応するために、英文中の必要な情報を素早く探し出して設問を処理することを重視し、「精読」の練習を疎かにする受験生が多い。しかし、難関国公立大では難解な構造をもつ英文を和訳させる出題が続いており、文構造を把握する力を鍛えていない受験生には厳しい問題となっている。また、英文の内容はある程度つかめるが、高得点が期待できるような日本語訳に仕上げる能力が乏しい受験生も多く見られる。精読練習を十分にこなすとともに、日本語の表現力にも磨きをかけたい。
出題例
2024年 大阪大(前期) 大問1(A)
コンマ「,」が多くて読みにくい英文が特徴。メインの出題ポイントは強調構文だが、他に挿入、倒置、省略、名詞構文など多くのポイントが詰め込まれている。語彙レベルも高く、内容も抽象的で、自然な日本語にするには相当な練習量が必要。
正誤問題は、問われているポイントが何なのかがわかれば簡単だが、それがわからないことが多く、苦手にしている受験生が多い。特に厳しいのが、選択肢に「誤りがない場合」を含むタイプだ。誤りを見つけるだけの問題なら、確実に正しい部分を除外する「消去法」で正解が得られる場合が多いが、このタイプではそれができないので、より正確な知識が求められる。また、近年の正誤問題は、文構造を正しく把握する力を問う問題が増えている。文法・語法の知識で答えが出なければ文構造をチェックするという解答プロセスも身につけよう。
出題例
2024年 早稲田大(社会科学) 大問1
各問の文中に4か所の下線が施され、「誤りなし」(NO ERROR)が5つめの選択肢となっている。問われているポイント自体は基礎的(Sが単数形なのにVがareとなっている誤りなど)だが、文構造を把握する力や注意深さが要求される。
秋からの個別試験対策 差がつく学習法
受動語彙だけでなく、能動語彙を増やす
「受動語彙」とは見て意味がわかる語彙、一方「能動語彙」とは自分で書くときに使える語彙を言う。多くの受験生は単語集を「英語から日本語へ」で覚えるが、こうした学習で受動語彙を増やしても、英語を書けるようにはならない。「日本語から英語へ」の学習で能動語彙を増やすことが、英作文対策には不可欠である。
熟語を計画的に覚えて得点力を上積みする
単語は、単語集がボロボロになるまで何周も見直して覚えるのに、熟語を疎かにする受験生が多い。実際には、熟語を知っているだけで瞬時に正解が出る空所補充や語句整序の問題も多く、単語以上に熟語は得点に直結する。タイムパフォーマンスがよいので、今後は単語集と同様に、熟語集も計画的に活用しよう。
過去問の解答時間を時期に応じて変える
志望校の過去問は、9~10月から解き始めよう。最初は時間内に解き終わらなくても、気にする必要はない。例えば、試験時間が90分とすると、9月のスタート段階では120分、10月には110分、12月には100分と徐々に短縮していこう。直前期には80分で解き、見直しができるような時間配分になれば理想的だ。