河合塾 藤田 貴志 先生
数学的読解力と計算力を向上させる独自の指導法を展開。認識に関する基準を取り入れた自己評価の仕組みを構築。高等学校の定期テストや実力テストにも双方向型学習が実現できる数学学習・評価支援システムを開発中。
解法の暗記に頼っていると、派手な条件や印象的なキーワードから瞬時にひらめいた解法に突っ走り、脱線や行き詰まりにつながりやすい。問題文をよく読み、要求内容を正しくつかめれば、適切な解法は自ずと絞られるはずだ。問題演習では、問題文はもちろん解説を読む時にも「何が要求されていて、それをどんな方法で達成するか?」を丁寧に確認して理解したい。公式や解法も、単なる使い方ではなく「どういった場面で効果的か?」という意義も合わせて確認するとよい。また、計算が合う・合わないは、数学の得意・不得意を分ける大きな要因になる。反復練習は大事な作業だが、+αとして、問題を解く前に結果を予想しながら計算したり、解いた後にその結果が妥当なものか検証したりすることで、見通しがよくなったり、間違いに気づきやすくなることも知っておきたい。
思考力を重視する受験生にありがちな落とし穴として、「方法を覚える」「類題で慣れる」といった学習を必要以上に避けてしまうことが挙げられる。考えることはもちろん大事だが、入試では得点力がモノを言う。中には覚えたほうが早いものや、反復して慣れておいたほうが有利なものも多い。夏までには網羅型の問題集で基本型をひと通り確認し、「見たら手が動く」状態にしておきたい。
苦手意識があると無意識に模範解答を前からなぞり読みしてしまうことが多い。その場では理解が進んだように感じるが、この方法では得点力の向上は期待できない。大切なのは、解答や解説の活かし方である。結論から遡って「なぜこの方針に至ったか?」を考えたり、そのカギとなるポイントを整理してみよう。別の問題に出会った時、自力で使えるイメージを持つことが重要だ。
図は、多くの情報を同時につかんだり伝えるのに適しており、使いこなせば思考力や答案作成力の強化につながる。うまく描けない受験生は、見た目の美しさにこだわったり、不要な部分まで丁寧に描きすぎる傾向があるが、重要なのは必要な情報を把握し整理することなので、注目すべき部分だけを抽出し、関係性を明確にすることである。図を「生きた情報」の整理ツールとして活用しよう。
答案が数式だけで埋め尽くされていると、その式を立てた意図が見えづらく、論理の流れも採点者に伝わりにくい。数学の答案には計算結果だけでなく、状況の整理や方針の提示といった「言葉による補助」が必要だ。式の意味や導出の理由を添えることで、採点者にとって読みやすいだけでなく、自分の考えも整理しやすくなる。思考の道筋と論理展開を意識した答案作成を習慣にしていこう。
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