
入試の過去問は、受験勉強の効果を左右する重要アイテム。過去問をうまく使いこなせば、現状の大きな実力差を挽回して志望校の逆転合格を勝ち取ることも、けっして夢ではない。では、“飛躍→逆転”のために、過去問をどう利用するのか?各科目のプロがアドバイスする。

ZEN Study 三浦 淳一 先生
予備校や進学校での大学受験指導のほか、映像授業でも活躍中。『全国大学入試問題正解 英語』の解答者であり、『全レベル問題集 英語長文①~⑥』『入門英語長文問題精講』(いずれも旺文社)など、多数の著書がある。

まずは読解問題の出題形式が、客観式(マーク式)中心なのか、記述式中心なのかを確認したい。一般に、私立大は客観式、国公立大は記述式が多いが、例外的な大学もある。この形式の違いにより、対策として使うべき教材も変わってくる。
近年は、独立した形での文法・語法問題を課さない大学も多い。出題されないのに文法問題集をやっても時間の無駄なので、事前に確認しておきたい。なお、読解総合問題の中で、直接・間接的に文法知識を問うケースもあるので注意しよう。
英作文は一般的に配点が高く、合否を分けるポイントになっていることから、出題の有無に加え、出題の形式(和文英訳/自由英作文など)についても十分な分析と確認をしておきたい。英作文対策は、けっして後回しにしてはいけない。
近年は、かなり特徴的な出題をする大学もある。早稲田大や慶應義塾大の一部学部で見られる「自由英作文のテーマが読解問題の英文に関連しているタイプ」などが典型として挙げられる。こうした出題は類題での演習が必須となる。
現時点での課題を明確化するために、2段階で過去問を解こう。まず、試験本番と同じ条件(試験時間)で解いてみて、「解き終わらない」「わからない問題が多い」など現状をざっくりと把握する。次に、時間内に解き終わらない場合は時間無制限で解く(それでも解けないなら、スピードだけの問題ではない)、知らない単語が多い場合は辞書で調べながら解く(それでも解けないなら、語彙力だけの問題ではない)など、条件を変えて解くことで克服すべき弱点が明確になる。

英文中に未知の単語が頻繁に現れると、その英文を正確に読み解くことは困難。目安としては、2~3行に1個までが限界だろう。単語を学習しているのにこの目安を超える場合、そもそも使用している単語集が適切かどうか検討すべきだ。
過去問を試験本番と同じ時間で解いたうえで、全問題を解き終わるのかどうか、見直しの時間まで確保できるのか、また、解き終わらない場合はあと何分あれば解き終わるのか、どの問題に時間をかけすぎたのか、などの確認が必要だ。
この時期、志望校の英作文を完璧に書けるものではないが、「どの程度書けるのか?」「語彙の知識を増やせば対応できるのか?」「文の組み立てからまったく見当もつかないレベルなのか?」など、冷静に分析して対策に生かしたい。
「文法は得意なつもりだったのに、実は全然解けなかった」「会話文は苦手だと思っていたけれど、志望校の会話文は易しく感じた」など、過去問を解くと意外な発見がある。あらためて気づいた苦手分野は、集中的に対策を講じる必要がある。

現時点での学習の到達度を正確に把握するため、本番同様の試験時間で、辞書や参考書などに頼らず自力で解こう。1年分を分割せずに、1回で解くこと。
POINT
難しく感じても、とにかく最後まで解き切る
すぐに答え合わせをするのではなく、条件を変えて解き直そう。例えば、辞書を使えば合格ラインに達するのであれば、課題は語彙力ということになる。
POINT
条件を変えて、解けない原因を探る
採点結果に一喜一憂せず、解説を熟読する。たまたま正解できた問題でも、実は根拠を理解していないというケースもあるので、すべての解説を読んでおきたい。
POINT
正解しても安心せず、何か課題がないか探る
解いた全問題を振り返ったうえで、「これまでの勉強法で合格は可能か?」「使用中の単語集で必要な語彙をカバーし切れているか?」などを冷静に分析しよう。
POINT
過去問は学習の軌道修正のためにこそある!
苦手な出題形式がある場合は、類題を解くのが効果的だ。市販の問題集のほか、同じ大学の他学部の問題、同レベルの他大学の問題などが練習の素材になる。
POINT
練習量をこなして徹底的に弱点をつぶす

過去問演習のスタートは基本的に早いほどよい。過去問演習を通じて随時、学習法・学習内容を見直せば、最短ルートで合格ラインに達することができる。もちろん、あまりにもレベルが違いすぎてまったく解けないようなら、過去問への取り組み自体が時期尚早ということ。そもそも、2学期の時点で手も足も出ないようでは、志望校として適切とは言えない。9月頃からスタートし、計画的に、最初は月に1~2年分ずつ解き進めよう。


入手可能な志望校の過去問はすべて解くべきである。過去問以上に役立つ素材はないので、市販の問題集などより、1年分でも多くの過去問に取り組んだほうがプラスになる。もっとも、ある年度を境に急激に出題傾向が変化したという場合は、その年度以前の問題の利用価値は下がるので注意してほしい。また、全学部入試などで複数日程の入試を実施する大学は、各日程の問題が同傾向の場合が多いので、別日程の過去問も利用する価値がある。


多くの受験生は、過去問演習をスタートした時点では試験時間内に全問題を解き終えることができないだろう。これは、練習量や知識量が足りないので仕方がないとも言える。そこで、例えば90分の試験なら、最初は100~120分かけて解いてもよいが、徐々に減らしていき、年末頃には時間内で、そして最終的には80分で解いてじっくり見直しができるレベルを目指したい。解くのに要した時間は、毎回記録しておくようにしよう。


楽に解けた問題はミスした箇所を軽く確認する程度でよいが、苦戦した問題は時間を空けて(1か月以上)再挑戦しよう。意外に忘れている知識も多いし、同じ問題を間違えたりすることもある。さらに、1回目は時間内に解答するのに精一杯だったのが、2回目になると多少は余裕ができるので、選択肢の作られ方、引っかけの見分け方、難しく考えすぎていた点など、さまざまな発見もあり、1回目以上に得るものが大きいはずだ。

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