
河合塾 藤田 貴志 先生
数学的読解力と計算力を高める独自の指導法を展開し、認識に基づく評価基準を取り入れた自己評価の仕組みを構築。高校の定期・実力テストや日々の演習にも対応する観点別評価ツール「テストDE学ぶ」を開発。

全分野がまんべんなく出題されるとは限らない。頻出の単元やテーマ、融合問題の出題比率を確認しておこう。過去問集に記載された出題内容のまとめを読むだけでなく、自分で実際に問題文から出題単元をすぐに判断できるかも確認すること。
大問数だけでなく、小問単位で何問くらい出題されているか確認しよう。そのうえで、全小問数を制限時間で割り算し、1つの設問につき「読む→考える→解き切る」まで、どれぐらいの時間で実行する必要があるか大まかにつかんでおこう。
前の設問が解けなくても、次が解けることは多い。証明問題なら結果のみを次に生かすことができるし、求値問題なら答えが出なくても方針など途中までの議論を進めることは可能だ。こうした部分点をどれだけ狙えるかも確認しておこう。
合格するのに全問正解は必要ない。標準問題を確実に解けば十分な大学もあれば、難問で差がつく大学もある。制限時間・問題構成・合格最低点なども併せて確認して、「何をどこまで解けば合格できるか?」を把握し、得点戦略を立てよう。
まずは直近2~3年分の過去問を用意する。古すぎる問題は出題傾向が近年とは異なる場合があるため、新しい年度を中心に分析を行いたい。最初は解くことを目的とせず、問題全体を眺めて出題単元や設問数、構成を確認。続いて問題文を丁寧に読み、「設定や要求内容を正しく把握できるか?」「大問全体の流れや解きやすい設問はどこか?」を考える。その後、自分ならどう解くかを考え、最後に解答例と比較しながら現状の到達度や改善点を整理しよう。

問題文にある条件を正しく読み取って「全体の状況を把握できるか?」、また「設問の要求内容を理解できるか?」を確認しよう。数学では「読む力」が解答力を左右する。解けるかどうか以前に、問題を正しく読み取れるかの確認が重要だ。
解答例を見る前に、「どこまで自力で考え続けられるか?」を確認しよう。最後まで解けなくてもかまわない。「方針を立てられたか?」「途中式を書けたか?」など、自力で到達できた地点を明確にすることで、今後伸ばすべき力が把握できる。
解答例を見て、「設問の内容に沿った解答方針が理解できているか?」を確認してみよう。前から順に読んでいくと末端の枝葉に目が行きがちなので、最終結論からさかのぼり、「なぜこの結論になるのか?」を読み解きながら進めるとよい。
解き方がわかっていても、答案として得点できる形で表現できなければ意味がない。途中式や論証の書き方、記号の使い方などを解答例と比べ、自分の答案との違いを検討しよう。得点につながる答案の書き方について注意を払っていきたい。

分析で把握した傾向を踏まえ、まずは1年分を本番と同じ条件で解こう。得点だけでなく、時間の使い方やつまずいた場面まで記録し、自分の現状を把握する。
POINT
現状と目標との差を記録して「見える化」する
失点は計算ミスや方針の誤りなど、数学の内容面ばかりではない。要求内容の見落としや時間配分など意識面に関するものも含めて、とりこぼしを洗い出そう。
POINT
内容・意識の両面からミスを探る
「このミスさえなかったら…」「ここに気をつけていれば…」と「たられば」で得点をシミュレーションし、“得点を伸ばせるところ=課題”を洗い出そう。
POINT
「たられば」を得点差の挽回につなげる
洗い出した課題を、得点につながる順に整理しよう。頻出テーマの強化ととりこぼし対策の両面から優先順位を決める。優先順位の高いものから着実に改善しよう。
POINT
「点になる」ものから優先して対策する
リストで挙げた課題を意識しながら次年度の過去問に取り組もう。同じミスを繰り返さなければ、確実に前進している。改善できたかを毎回検証することが重要だ。
POINT
「分析→改善→検証」を繰り返す

できれば夏休み中に1年分は解いておきたい。さらに、模試が集中する10月後半から11月中旬までには数年分に取り組んでおこう。一気に何年分も連続して解くのではなく、1回1回を大切にし、毎回新たな課題を発見して次回で検証するサイクルを構築したい。また、過去問演習と並行して弱点単元の復習も進めることで、演習結果を日々の学習に反映させやすくなる。焦って量だけをこなすより、改善の積み重ねを優先しよう。


第1志望校は5~10年分、共通テストは5年分、併願校は3年分を目安に取り組もう。ただし、大切なのは年数ではなく、1回ごとに課題を見つけて次の演習へ生かすことだ。特に併願校は試験直前まで後回しにしがちだが、それでは大学ごとの出題傾向を踏まえた対策や、時間配分を調整する機会を失ってしまう。出願する可能性がある大学は早めに1年分は取り組み、残りの期間で必要十分な対策を講じたうえで本番に臨めるようにしよう。


はじめは時間制限や完答にこだわらず、問題の特徴や傾向をつかむことを優先しよう。その後もあまり時間を気にせず、正確な読解や解答方針の検討を徹底したい。そして、落ち着いて解けば合格点が狙える実力がついたら、直前期には本番と同じ時間で演習しよう。「時間内で何を解き、何を後回しにし、どこまで書くか?」を判断しながら、限られた時間で得点を最大化する練習へ移行したい。まずは解く力を育て、最後に時間と戦おう。


過去問がそのまま出題される可能性はきわめて低い。過去問は大学ごとの出題形式や時間配分、自分の課題を把握する分析と、本番を想定した実戦演習のためのツールだ。一方、問題集は弱点単元の補強や、典型解法・類題の定着に活用するものである。過去問で課題を見つけたら、参考書や問題集で同じテーマを繰り返し演習しよう。そして、再び過去問で成果を検証する。このサイクルこそが、数学の得点力を着実に伸ばす最短ルートだ。

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